大分県には臼杵磨崖仏と呼ばれるたくさんの石仏があり、日本初の国宝磨崖仏として観光名所となっています。ここにはミステリアスな言い伝えと黄金の埋蔵金伝説が残っているんですよ。
豊後の国の真名の長者伝説
ここで臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)に伝わる伝説をご紹介しましょう。
昔、豊後の国に真名の長者と呼ばれる男がいました。もともとは貧しい炭焼き職人でしたが、金鉱を見つけて大金持ちになりました。その後真名の長者には般若姫という美しい娘が生まれました。美女なのに般若とはこれいかに。
あはれ、泡と消えゆく般若姫
それはともかく、美女の般若姫。のちに用明天皇になる皇太子に見初められ、都へとのぼることになりました。しかしその時に嵐に遭い、般若姫は無くなってしまったのです。美人薄命であります。
般若姫の供養のために寺を建立
長者夫婦は娘の供養のために、インドの祇園精舎を真似てお寺(満月寺)を建てました。しかし工事は難航。長者夫婦は中国の寺から高僧を呼び寄せて供養し、たくさんの石仏を作らせました。これが現在の臼杵磨崖仏であるという伝説です。
残念ながら年代が合わず
ただし臼杵磨崖仏のガイドさんもおっしゃってましたが、真名の長者伝説と磨崖仏の制作年代は合わないようです。伝説は6世紀末、制作は彫刻の特徴から10世紀以降(平安時代後期)と考えられているからです。
製鉄を生業とする臼杵一族
しかし臼杵磨崖仏は造立者、理由、年代など一切記録が残っていないため、様々な伝説が入り込む余地があります。またこの地方には古代、鉄の技術を持った臼杵一族が住んでたと言われます。炭焼き職人とは製鉄を生業とする鋳物師を差しているという説もあります。
真名の長者=炭焼き小五郎
真名の長者は炭焼き小五郎とも言われ、採掘や金属加工で莫大な富を得たらしいんですね。その炭焼き小五郎、石仏と寺を建立しただけでなく、莫大な財産を子孫のために残したという埋蔵金伝説があるんです。
大分県は金の生産地
なぜ作られたのか誰が作ったのか分からない巨大で精巧な石仏郡に、埋蔵金伝説。なんだかワクワクするお話ではありませんか。実際、大分県は別府の金山や鯛生の金山などがあり、金が採れる土地なんですよね。
丸くてほっこりした仏像に心なごむ
ほんのりと色が残った大日如来様はやさしいお顔だちで、伝説だとしても般若姫の魂も救われたのではないかと思います。昔の大日如来は首が下に落ちていたので首だけの奉納が多いですが、今は綺麗に修復されています。
誰にも内緒ですよ
ブログを読んでくださっているあなたにだけこっそり極秘情報をお教えしますね。磨崖仏の近くの満月寺に日吉塔という宝筐印(ほうきょういん)塔があるんですが、どうもここが埋蔵金の隠し場所らしいですよ。内緒ですよ。ガイドさん情報ですけどね。(2006年12月13日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)
住所 :大分県臼杵市深田延内804-1
電話 :0972-65-3300
時間 :06:00~19:00(04月〜09月)06:00~18:00(10月〜03月)
休業日:年中無休
拝観料:大人540円
駐車場:あり
関連URL:国宝臼杵石仏