直径12.8メートル、高さ5.9メートル。推定重量1000トン。沖縄県石垣島の津波大石はサンゴ礁の塊です。2000年前に発生した津波によって打ち上げられたと言われています。
大浜小学校の東の崎原公園へ
大浜集落にある大浜小学校の東側にある崎原公園(さきはらこうえん)。海岸のすぐ近くに広い芝生が広がっていて、気持ちのよい風が吹いています。選挙のいざこざで大浜村の中で対立が起こり、その和解策として昭和27年に建設された公園だそうです。津波大石(つなみうふいし)は崎原公園の一角にあります。
小山のような大岩に木がびっしり
立っている私と比較して津波大石の大きさがお分かりになりますでしょうか。小山のような大岩に、びっしりと木々が生えています。あたりに看板も何もないので探すのが大変かと思っていたのですが、足を運んでみると明らかに異様な光景なのですぐにそれと分かりました。
昔は上に登れたのかな
津波大石にはコンクリートの階段が作られています。「きけん 立入禁止」の立て札があるので登ることはできませんでしたが、ひょっとしたら上に慰霊の御嶽などがあったのかもしれません。
明和の大津波によるものではない
直径12.8メートル、高さ5.9メートル。推定重量1000トン。沖縄県石垣島の津波大石はサンゴ礁の塊です。近づいて良く見ると、珊瑚が付着しているのがわかります。間違いなく海の中にあったものです。
ところでこの津波大石は昔は1771年4月24日(明和8年3月10日)に起きた、明和の大津波で打ち上げられたと言われていました。ところが表面に付着している珊瑚の年代測定により、明和の大津波ではなく、今から2000年前の津波(先島津波)によって打ち上げられたことが分かっています。
85メートルの津波にも動かなかった
古地磁気の研究により、津波大岩は明和の大津波でもほとんど動かなかったことが分かりました。明和の大津波はマグニチュード7.4の巨大地震によって発生した津波です。この津波で亡くなった死者・行方不明者は1万2000人以上。最も大きかった津波の高さは85メートルで、これは東日本大震災の津波の最高値約40メートル(岩手県大船渡市)の2倍の高さです。
2000年前の津波のすさまじさ
明和の大津波でさえこの津波大石を動かすことができなかったのです。2000年前の津波はどれほどすさまじいものだったか! 津波の恐ろしさをまざまざと見せつけられます。
泳いで逃げられる……わけがない!
東日本大震災後の現在では誰も誤解していないでしょうが、昔の私はおろかにも「津波が来ても泳いで逃げればいいんじゃないの?」と思っていました。無理無理無理! こんな巨大なサンゴ礁がぶっ飛んでくるような大津波では、あっという間に瓦礫や岩に押しつぶされてしまうでしょう。
後世への教訓として貴重な史跡
津波大石は海岸から直線距離で80メートルほどの場所にあります。海は穏やかでしたが、時には1000トンもの岩を運んでしまう圧倒的な力も持っているのだなあとしみじみ。今後の地震防災、教訓としても津波大石を後世に伝えていくことは大変重要なことであると思いました。
オヤケアカハチの像もぜひ
崎原公園には他にオヤケアカハチの像があります。15世紀にここ大浜を根拠地とした豪族で、琉球王国の圧政に苦しむ島民のために戦った伝説的英雄です。島の人はオヤケアカハチの物語に子供の頃から親しんでいるそうですよ。津波大石と一緒にぜひこちらもご覧になってくださいね。(2012年05月12日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
津波大石(つなみうふいし)
住所 :沖縄県石垣市大浜(崎原公園内)
電話 :0980-82-9911(石垣市役所)
時間 :自由
入場料:無料
駐車場:無料
関連URL:石垣島東海岸の津波石群 – Wikipedia