人魚の涙! 世界初の黒真珠養殖に成功「琉球真珠株式会社」【石垣島】

石垣島黒真珠
沖縄県石垣島は黒真珠の養殖で世界一を誇ります。黒真珠は自然界では何十万個に1つほどしかできません。幻の黒真珠養殖に世界で初めて成功した、琉球真珠株式会社を取材しました。

世界で初めて黒真珠の養殖に成功

石垣島黒真珠
「世界一」の称号を持つ会社は日本に多数ありますが、ここ沖縄県石垣島の琉球真珠株式会社(りゅうきゅうしんじゅかぶしきがいしゃ)は意外に知られていないのではないでしょうか。実は日本は世界に先駆けて真珠の養殖に成功している真珠王国です。中でも黒真珠の養殖に成功しているのは石垣島のみ。黒真珠は真珠の中の真珠。極めて高い希少性があります。

数十年に一度しか見られない天然黒真珠

石垣島黒真珠
人魚の涙とも言われる天然の黒真珠は、川平湾でも数十年に一度しか発見できないと言われていました。それもほとんどが変形しており、真球状の真珠は自然界ではまず見ることができません。いかに価値が高いかがお分かりになるでしょう。川平の養殖黒真珠はほんの数ミリの真珠でも数十万円のお値段がつきます。

金、白、緑、青、赤、黄──不思議な色合い

石垣島黒真珠
「黒」真珠とは言いますが、その色は真っ黒ではありません。光の当たり具合によって、金、白、緑、青、赤、黄──と様々な色が交じり合った不思議な色合いをしています。七色に変化する真珠光沢はまるで生き物のよう。写真では全くお伝えできないのが残念です。

クロチョウガイ(黒蝶貝)で育つ黒真珠

石垣島黒真珠
黒真珠はクロチョウガイ(黒蝶貝)と呼ばれる、ウグイス貝科の大型二枚貝で育まれます。普通の真珠はアコヤガイによって作られるのですが、アコヤガイが7cm〜10cmほどに対して、クロチョウガイは15cm〜20cmにもなります。この貝は沖縄、特に八重山地方に多く生息しています。沖縄では「ヒーガイ」「ヒークヌウ」などと呼ばれます。

いぶし銀のクロチョウガイ

石垣島黒真珠
普通のアコヤガイの真珠層は白っぽい銀白色ですよね。でもこのクロチョウガイの真珠層は、独特の黒いいぶし銀色(鋼鉄色:スチールカラー)をしているのです。これが黒真珠の独特の光沢に反映されているんですね。

真珠王・御木本幸吉も断念

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真珠養殖と言えば「真珠王」と言われた三重県の御木本幸吉が有名です。御木本真珠も大正3年から川平の黒真珠に目をつけて、昭和15年まで真珠養殖事業を行いました。しかしアコヤガイと違ってクロチョウガイの養殖は非常に難しかったようで、御木本は撤退してしまいました。

1970年に黒真珠の量産に成功

石垣島黒真珠
川平養殖場で黒蝶真珠の養殖に取り組んだ功労者は渡嘉敷進、南風野喜孝、仲野源一の三氏です。台風で母貝の養殖場が壊滅状態に陥ってもあきらめず、来る日も来る日も真珠の核入れを続けて20年。地元の方々の努力によってようやく昭和43年に世界初の養殖黒真珠・黒蝶真珠が完成しました。

失敗・困難にもめげず黒真珠養殖研究

石垣島黒真珠
クロチョウガイは幼貝から母貝に成長するまで数年かかります。真珠の核入れも試行錯誤。核を抱いたまま死んでしまう母貝も続出。台風が過ぎ去った後、地元の人総出で海に潜って母貝を探したエピソードなど、目頭が熱くなるような思いがしました。

今も受け継がれる真珠養殖の技

石垣島黒真珠
昭和45年にはそれまで数百個がやっとだった黒真珠が、1600個も量産できるようになりました。しかもどれも10mmを超す見事な黒真珠ばかりでした。渡嘉敷式と言われる黒真珠養殖法は琉球真珠株式会社に受け継がれ、現在も良質の黒真珠を生産し続けています。

近年憂慮される川平湾環境汚染

石垣島黒真珠
黒真珠も川平の美しい海があってこそです。近年になって川平湾の汚染が進み、黒真珠が死んでしまうことも多くなったといいます。日本が世界に誇る黒真珠。なんとしても死滅を防ぐため環境保全に務めねばなりません。いつか黒真珠のネックレスを買うその日まで、私も頑張る!(2014年11月19日訪問)【麻理】

参考文献

石垣島黒真珠
黒蝶真珠誕生物語 大浜英祐著 1200円(琉球真珠株式会社のみで販売)

地図&情報

琉球真珠株式会社(りゅうきゅうしんじゅかぶしきがいしゃ)

住所 :沖縄県石垣市字川平934
電話 :0980-88-2288
休業日:年中無休
時間 :09:00~18:00
駐車場:無料
関連URL:琉球真珠|沖縄県石垣島川平湾、世界初黒蝶真珠・国内初白蝶真珠の養殖場直売店

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