じんじんとは何でしょう? じんじんは沖縄の幼児語でホタルのこと(大人は「じーなー」と言います)。天然記念物にもなっているクメジマボタルを学びに久米島ホタル館を訪ねました。
沖縄に多く生息するホタル
沖縄の童謡『じんじん』。地方によって「酒屋」の部分が、「高山」や「久茂地」になっていたりします。「沖縄にもホタルがいるの?」と思った方も多いでしょう。実は沖縄には日本全体の55%にあたる29種類のホタルがいて、そのうち26種が沖縄固有種。本州でも見られるゲンジボタルは久米島に生息するクメジマボタルが祖先と言われています。
じんじん じんじん (ホタル ホタル)
さかやぬ みじくわてぃ (酒屋の水飲んで)
うてぃりよ~じんじん(落ちろよ ホタル)
さがりよ~じんじん(さがれよ ホタル)
豊かな水源のある久米島
久米島は昔から良質な水が豊富に湧き出ていました。島には今も透き通った湧き水が噴き出しているところがたくさんあります。久米島ではかつて稲作が盛んにおこなわれていました。
同じ沖縄と言っても、例えば宮古島では水を確保するのが大変難しく、人々は苦労して洞穴井戸から水を汲み上げていました。また地下ダムもつくられています。島によって水事情は全く違うんですね。
光りながら飛ぶホタルが3種類も見られる
久米島にはクメジマボタルの他、クロイワボタル、オキナワスジボタルという3種類のホタルが生息しています。光りながら飛ぶホタルが3種類も見られるのは、沖縄では久米島だけです。
久米島の自然保護観察施設
久米島ホタル館(くめじまほたるかん)はホタルの保護観察施設として、平成12年(2000年)5月にオープンしました。ホタルだけでなく、島の様々な生き物について学べるように、昆虫、カエル、魚、蛇などをたくさん飼育しています。久米島ホタル会と協力して、川遊びやネイチャーゲームなどの体験学習も行われています。
手作りの解説・パネルに好感度大
スタッフのTさんがホタルや他の生き物について詳しく解説してくださいました。活き活きとご説明なさる様子に「島の生き物を守りたい」という熱意が伝わってきました。すごく生き物がお好きなんでしょうね。私は高校時代に生物部に所属していたので、手作りの解説文や写真パネルなど見て文化祭を思い出しました。
沖縄のホタルはいいかげん?
クメジマボタルと本州のゲンジボタルとの一番の違いは光り方です。東日本のゲンジボタルは4秒に1回光る「のんびり型」。西日本のゲンジボタルは2秒に1回光る「せっかち型」。クメジマボタルは2.5秒から4秒に1回で、明滅はランダムです。だから沖縄の方言で「テーゲー(だいたい、いいかげん、ほどほど)型」と呼ばれています。いかにも沖縄?
7種のホタルが生息する島
ご存知の通り、ホタルは美しい水がなければ生きていけません。だから逆に言えば、ホタルがいるということは自然が守られているということでもあります。久米島は小さな島なのに7種もホタルが生息する豊かな自然を持つ島です。
島民から動物が持ち込まれることも
こちらは国の天然記念物カラスバト。館長が怪我をしているハトを保護して以来、ここで飼育されています。久米島ホタル館には、島民から「怪我をして動けないようだったから連れてきた」と持ち込まれる動物が多いのだそうです。住民の皆さんも自然環境の保護に積極的に関わっているんですね。
春〜初夏がホタルのベストシーズン
地元の小中学校とも連携して、学習活動も盛んに行われているんだとか。久米島ホタル館の取り組みは素晴らしいと思いました。残念ながら私が訪れた時は、季節的に飛んでいるホタルを見ることはできなかったのですが、春から初夏にかけて島を訪れる方は、ぜひ「じんじん」を楽しんでくださいね。(2013年11月01日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
久米島ホタル館(くめじまほたるかん)
住所 :沖縄県島尻郡久米島町大田420
電話 :098-896-7100
時間 :11:00〜16:30
休業日:月曜・火曜・年末年始(※夏休み期間は無休)
入場料:大人100円
駐車場:無料(5台)