久米島七不思議のその5。松の木は枝を横に伸ばすものの、普通は上に上にと成長していきます。けれど、沖縄県久米島の五枝(ごえ)の松は、なぜか横に横にと広がって育っています。
横に平べったい不思議な松
枝の長さ12メートル以上、幹は4メートルを超える巨木。枝は傘の形に広がっていて大きさは320平方メートルもあります。ところが横の大きさに比べて、高さはたった6メートルしかありません。つまり非常に平べったい松なのです。
天然記念物&日本の名松百選
この珍しい松は、国指定の天然記念物であり日本の名松百選にも選ばれています。横に広がった松は、盆栽でよく見かけますね。盆栽の松は人間の手で捻じ曲げたり枝を刈り込んだりしているのですが、五枝の松は自然にこの形になっているんです。人が剪定して育てたわけじゃないんですね。
艶っぽい歌碑も
五枝の松の近くには歌碑があります。
久米の五枝の松 下枝ど枕 思童無蔵や 我腕まくら
これは「久米の五枝の松は下枝を枕にしているけれど、私の愛しい彼女は私の腕を枕にして寝ているよ」という意味です。なかなか艶っぽい歌ですね。
樹齢は175〜300年?
初代の五枝の松は18世紀初頭に土帝君(とうていくん:中国から琉球に来た農業神)を祭って植えられたものだそうです。また上江洲家の記録によると1839年に2代目の松が植えられたとあります。ということは初代の松は樹齢300年ほど、現代の五枝の松は樹齢175年ですね。(※)
祠を中心に四方に伸びる枝
松の根本には祠があり、その祠の屋根のように松の枝が伸びています。あいにくの雨模様でしたが、レインコートを着た小さな男の子が祠の前で手を合わせている姿が可愛らしかったです。
パワースポットとしても人気
祠の前でしゃがんで上を眺めると、枝がぐるぐると渦巻いて神秘的な雰囲気です。最近はパワースポットとしてガイドブックにも載っている観光地。力強い松の生命力が訪れる人にエネルギーとして伝わるのかしら。
クメジマボタルと共に見たい
この辺りは以前ご紹介したクメジマボタルの生息地です。初夏にはたくさんのホタルが飛び交うそうですよ。ホタルは人の魂が現れ出たものと言いますが、くねった枝の間に飛ぶ蛍の光はさぞ幻想的なことでしょう。(2013年11月01日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
五枝の松(ごえのまつ)
住所 :沖縄県島尻郡久米島町字上江洲
電話 :098-896-7010(久米島町観光協会)
休業日:年中無休
時間 :見学自由
料金 :無料
駐車場:無料