沖縄奥武島にある、世にも不思議な光景・畳石。直径1メートルほどの四角形、五角形、六角形の石が1000個以上、250メートル×50メートルにわたってびっしりと並んでいます。
かつては死者の島だった奥武島
久米島と海中道路でつながっている奥武島(おうじま)。実は「奥武」と名付けられた地名は沖縄に多く存在します。
沖縄民俗学の第一人者仲松弥秀氏は奥武島がかつて墓地であったという説をとなえています。奥武島は船で遺体を運んで葬った島であり、「青(オウ:かつては黄色のことを沖縄では「青」と言った)島」が「奥武島」と書かれるようになったといいます。
青=オウ=奥武の島
なぜ黄色(青)なのか? 仲松氏は死者の住む世界が「黄色い光」で満たされているからであると述べています。沖縄に点在する奥武島は、死の世界に近い神秘的な島として崇められており、島自体が信仰の対象となっているため無人島になっている島も多いのです。ここ久米島隣の奥武島の人口は現在約30人ほどです。
カメの甲羅? 幾何学模様?
さてそんな奥武島にある畳石(たたみいし)。幾何学型の石が畳を敷き詰めたように広がっていて、なんとも不思議な光景です。これらはカメの甲羅のようにみえることから亀甲石(きっこういし)とも呼ばれています。畳石は今年2014年07月に国の天然記念物に指定されました。
溶岩のひび割れが地下100メートルも続く
この岩の正体は溶岩です。2万年前に火山の噴火で流れ出した溶岩が地中で冷えた時に、垂直にひび割れる現象・柱状節理(ちゅうじょうせつり:columnar joint)によってできた奇岩です。このひび割れは地下100メートルも続いていて、その岩の表面が波によって削られて亀甲型の敷石のように見えるのです。
宇宙人や超古代文明によるものではありません
柱状節理は柱状になった崖としては全国に点在していますが、これほど大規模に平面的な柱状節理が見られるのは世界でも大変珍しいのです。昔、宇宙人が来て作ったとか、超古代文明の証とか言われても信じてしまいそうな不思議な風景ですが、これは自然が作った芸術なんですね。
魂が震えるような素晴らしい光景
子供の頃に本で知って以来ずっと訪れたかった畳石を、とうとうこの目で見ることができて魂が震えました。これを目の当たりにできただけでも久米島に来た甲斐がありました。実に素晴らしかった!(2013年11月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
畳石(たたみいし)
住所 :沖縄県島尻郡久米島町奥武
電話 :098-896-7010(久米島町観光協会)
休業日:年中無休
時間 :見学自由
入場料:無料
駐車場:無料