保良泉(ほらがー)鍾乳洞。通称パンプキンホール。洞窟の入口が海底に沈んでいて、干潮時にしか行けません。地元では神聖な場所として崇められる不思議な鍾乳洞を探検しました。
貴重な鍾乳洞
沖縄県宮古島は、サンゴ礁によって作られた石灰岩の島です。以前ご紹介した仲原鍾乳洞のように島のあちこちに鍾乳洞があるのですが、海中にあるのは極めて珍しく、また信仰の対象となっていることから民族学的にも大変貴重なスポットとなっています。
サンゴ礁の干瀬を観察
この洞窟に行くには、泳ぐ、シーカヤックで渡る──などの手段がありますが、私が訪れた時はちょうど干潮だったので、陸づたいにサンゴ礁の干瀬を観察しながら歩いて行くことにしました。
写真に写っているのは、お世話になった宮古島ビーチボーイズのツアーガイドさん。海中鍾乳洞は神聖な場所ですので、よそ者が勝手に訪れるのは好ましくありません。許可を受けているツアーガイドさんと一緒に行きましょう。たまたま他にお客さんがいなかったので貸切状態でしたよ。
サンゴ礁の礁池は、沖縄の言葉で「イノー(礁池)」
浅いプール状の海が続くサンゴ礁の礁池は、沖縄の方言でイノーといいます。イノーは「海の畑」とも言われ、たくさんの生物が棲んでいるんですよ。海中鍾乳洞に着くまで足元に気をつけながらイノー散歩を楽しみます。
イノー散策は見るだけです
ナマコにヒトデ、様々な貝。標本のコレクションが趣味な私は、持って帰りたい衝動に駆られますが、イノー散策はあくまで見るだけ。エコツアーでは「残していいのは足跡だけ。持って帰っていいのは想い出だけ」とよく言いますよね。
カクレクマノミも見つけられる
ガイドさんが「ニモだよ、そこそこ!」と叫ぶので見てみると、カクレクマノミがいました。オレンジ色と白の特徴的な模様です。大きいのと小さいの2匹がイソギンチャクに隠れています。親子かな?
1時間ほどのイノー観察
イノー観察は約1時間ほど。生き物を探してキョロキョロしたり、写真撮ったりで時間がかかってしまいました。普段は潜らないと見られないような生物がタイドプールにたくさんいるので、つい時が立つのを忘れてしまいそうです。
いよいよ洞窟へ
ここは洞窟の入口。ここからはスノーケルとマスクを装着して海に飛び込む必要があります。地元の方の祈りの場所ですから、洞窟の手前で手をあわせて一礼。一気に入り口をすり抜けねば頭や体をぶつけてしまいますから、慎重に波のタイミングに合わせて海に潜ります。いち、にの、さん!
洞窟入り口を抜けると──!
よし、上手くすり抜けられましたよ! 入ってすぐに目に飛び込んでくるのが、かぼちゃ型の鍾乳石。海の色は入り口からの光でブルーグリーンに輝いています。私はこれまでたくさんの鍾乳洞を訪れましたが、ここは「すごい……」と言ったっきり言葉が出ないほど美しいです。
湧き水が滝のように落ちる
この鍾乳石には登ることができます。上から膨大な量の湧き水が落ちてきますので、足を取られないよう気をつけながら上がります。この湧き水は海水ではなく、石灰岩を通り抜けて落ちる地下水の真水。この日はかなり暑かったのですが、湧き水はひんやりしていていました。
ぼんやりと30分も座っていた
ガイドさんのお話を聴きながら、30分以上も鍾乳石の上に座っていました。冷たい地下水を浴びて、青い洞窟を上から眺めていると、心がすーっと洞窟に溶け込んでいくような感じがします。ぼんやりと座っているだけのことがとても気持ち良いのです。頭が空っぽになる感じ。
めちゃくちゃビックリした
何気なく横を見ると何かヒモのようなものが。ライトを当ててみると──うぎゃ! ウミヘビだっ!!! あれ、でもよく見たら、脱皮した皮だったよ。うひー、焦ったー。最後は鍾乳石の上からブルーグリーンの水の中へダイブ! 潮が満ちてこないうちに帰らなくちゃ。
少人数で静かに訪れたい場所
入り口でガイドさんの指す上の方を見ると、岩の上に神棚がありました。確かにこんなに美しい、不思議な場所なら自然に手を合わせたくなります。ここは大勢でワイワイ騒ぎながら来るような場所ではありませんね。できれば少人数で、静かに訪れたいスポットです。
3時間の神秘の洞窟冒険旅行
パンプキンホールを訪れる探検ツアーは、宮古島でもいくつか開催されています。今回私がお世話になったのは、宮古島ビーチボーイズさんの「イノー観察と鍾乳洞ツアー」でした。全部で3時間ほどの神秘の洞窟冒険旅行。実に良い体験をしました。(2011年04月20日訪問)【麻理】
追記:動画で見る保良泉パンプキンホール
ritoucomさんがYoutbeに動画をアップされていました。動画の方がわかりやすいですね。いやー、綺麗だったなあ。
追記2:ツアーガイドのNさんのおたより(2016年06月08日)
宮古島ビーチボーイズのツアーでお世話になったガイドのNさんよりメールをいただきました。
現在、僕は沖縄本島で某ホテルのビーチスタッフとして働いて降ります。鍾乳洞ツアーはできれば続けたかったのですが、人気とともに弊害がおおきくなりガイドとしての役割が不十分と感じ辞めることにしました。
霊場として地元の方に大切にされている場所だけに、人気が出てくるといろいろ難しい問題が出てくるのでしょうね。残念です。楽しいツアーをありがとうございました。
参考文献
地図&情報
宮古島ビーチボーイズ
現在宮古島ビーチボーイズではパンプキンホールのツアーはやっていないとのことです。残念ですが、楽しい思い出をありがとうございました。住所 :
沖縄県宮古島市城辺保良585-2
電話 :0980-77-7709
時間 :09:00〜18:00
料金 :大人6,800円(イノー観察と鍾乳洞ツアー)