万座毛で人魚修行(マーメイドスイム)「万座毛」【沖縄本島】

万座毛と人魚
沖縄観光の景勝地として名高い万座毛。切り立った珊瑚礁の芝生大地からは、東シナ海を望むことができます。今回はマーメイドスイム(人魚泳法)というスポーツについても解説します。

万人が座れる原っぱ、万座毛

万座毛と人魚
万座毛(まんざもう)は沖縄海岸国定公園の一部です。「万人も座ることができるという草原」を意味する断崖絶壁。「毛」とは広い原っぱのことを意味します。その名の通り、断崖の上は芝生の広場になっていて、その周りの植物群は天然記念物に指定されています。

不用意に覗きこまないこと

万座毛と人魚
ここは絶えず強い潮風が吹き付けていますが、柵が設置されていないところが多く、不用意に覗きこむと大変危険です。観光客は度胸試しとして崖のギリギリに立って記念撮影をしたりしていますが、どうぞふざけて落っこちないように気をつけてくださいね。

ダイビングスポットとしても有名

万座毛と人魚
万座毛の真下はダイビングスポットとしても有名です。ゴツゴツした岩を下りていくと、棚状のエントリーポイントに行き着きます。上を見上げると観光客が遥か上の岸の上を歩いているのが見えますよ。私はここでスキンダイビングのレッスンを受講してマーメイドスイム(人魚泳法)のトレーニングをしました。

マーメイドスイムと青人魚連盟BML

万座毛と人魚
マーメイドスイムとはなんぞやというと、要は人魚の格好(コスプレ)をして海やプールなどで泳ぐスポーツです。今年は「青人魚連盟(Blue Mermaid League 略してBML)」という秘密結社を立ち上げましたが、現在のところ正式会員は総帥である私と、6歳のフランス人幼女の2人だけです。

【動画】人魚スイムはこんなスポーツ

どんなふうに泳ぐかはこの動画をごらんになってください。日本で広まるといいなと思い自作の人魚スーツを身につけて各地で泳いで啓蒙活動をしています。ただし見た目のチャラさに比べ、実は大変危険なエクストリーム・スポーツ(過激なスポーツ)です。その注意喚起のためにこの記事を書きましたので、興味のある方は以下読んでください。

ルール1:水深10メートルまで潜れるようにする

万座毛と人魚
万座毛の下の海です。浅く見えますが、ほんの20メートルも泳ぐと水深50メートルのドロップオフがあります。マーメイドスイムは主に水深5メートル以内の海の中を泳ぎます。それ以上深いと暗くて辺りが見えなくなるので、人魚スーツを着ている意味がなくなるからです。しかし一応水深10メートルぐらいは簡単に潜れるようにしておいた方が良いでしょう。

ルール2:モノフィンでの立ち泳ぎ必須

万座毛と人魚
万座毛のエントリーポイントからすぐの海の中です。魚がたくさんいますね。この先は急に水深が深くなるポイントです。マーメイドスイムでは背の届かない場所で泳ぐことが多いので、立ち泳ぎのマスターは必須です。それもバタ足、あおり足ではなく、モノフィンによる立ち泳ぎです。

ルール3:モノフィンで泳ぐ

万座毛と人魚
モノフィンとは一枚ヒレのフィンです。つまり両足首ががっちり固定されています。最初はこのフィンで息継ぎなしの潜水50メートル、息継ぎありで何キロでも泳げるまでプールでトレーニングをします。いきなりモノフィンで海に飛び込んだら溺れます。これは人魚用の魚の尾びれの形をしたモノフィン・マーフィン(MERFIN)です。

ルール4:垂直に潜れるようにする

万座毛と人魚
海で行うトレーニングでは、最初はモノフィンでなく二枚ヒレのビーフィンを履いた方が良いですね。水深10メートル前後の岩にロープを結んで、そのロープを伝いながら垂直に潜る練習(ジャックナイフ潜行など)を何度も繰り返します。

ルール5:無駄な動きをしない、何も考えない

万座毛と人魚
スキンダイビングではスクーバダイビングと違って、空気の入ったタンクなどは使用せずに自分の一息だけで潜ります。だから酸素の消費を最小限にするために無駄な動きをしないよう、よけいな事を考えないよう(脳が一番酸素を消費します)に潜行しなければなりません。

ルール6:耳抜きをマスターする

万座毛と人魚
水深3メートルを超えるぐらいで、水圧により耳が痛くなりますので、耳の内外の圧力を調節するために耳抜きを行う必要があります。しないまま潜ると鼓膜がやぶれます。普通の耳抜きは鼻をつまんで息を吹き込むのですが、マーメイドスイムではあまり美しい動作ではないので、できればあごを動かして耳抜きする方法を練習しましょう。

ルール7:マーメイドキックで泳ぐ

万座毛と人魚
ダイビングでは通常ウェットスーツを着用しますが、マーメイドスイムでは上半身はビキニ、下半身は両足を固定するマーメイドスーツを着ます。バタ足が使えないのでドルフィンキックというイルカが泳ぐような泳法を練習します。体全体をくねらせて泳ぐ泳ぎ方ですが、できれば腕を使わず(腕は体の横につけて動かさない)、下半身のみで泳ぐマーメイドキックも使いましょう。

ルール8:浮力のない水着で泳ぐ

万座毛と人魚
マーメイドスーツにはウェットスーツと違って浮力が全く無いので、浮力のないラッシュガードやラッシュパンツで泳ぐ練習をします。水深5メートル前後で中性浮力といって、浮きも沈みもしない状態になりますが、さらに深く潜るとどんどん体が沈んでいきます。よって自力で浮上できる筋力をつける必要があります。

ルール9:危険生物に注意する

万座毛と人魚
海はクラゲなど毒のある危険生物もたくさんいます。ウエットスーツなしで海で泳ぐことは危険と隣り合わせです。海の生物に関する知識も頭に入れておかなければなりません。海の中では決して生物に触っていはいけません。不用意に足をつくのも危険なので、長時間自在に泳げるよう十分に水泳の練習を積むべきでしょう。

ルール10:水温と体温に気を配る

万座毛と人魚
いくら熱帯の海でも水温は30度ぐらいで、体温よりも10度近く低いです。ウエットスーツには保温性がありますが、水着で泳ぐマーメイドスイムではすぐに体温が奪われていきます。低めの水温で泳ぐ練習もしますが、自分の体力がどのくらい持つのか見極め、どのくらい水に浸かっているのか時間に注意します。

ルール11:マスクとスノーケルをつけない

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それと人魚が水中でマスクやスノーケルをつけているのは不自然です。本番では裸眼で泳ぎます。だからほとんどあたりが見えません。笑ったり(ちゃんと歯を見せて笑おう!)、しゃべっているかのような演技をします。マスクが外れるとパニック状態に陥ってしまう人もいますので、マスク無しの潜水も練習して平常心を保ちましょう。

実は危険なエクストリーム・スポーツ

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……といったように、見た目のイージーさと比べてマーメイドスイムは非常に危険なスポーツです。やってることは、足のつかない水温28度以下、危険生物いっぱいの海で、足首を縛って、マスク・スノーケルなし、ウェットスーツなしで泳ぐという、ほとんど自殺行為に近いスポーツです。危険度で言えば、ロッククライミングやスカイダイビングなどとあまり変わりません。

必ずプールで練習しましょう

万座毛と人魚
モノフィンは通販で簡単に購入出来ますが、生まれて初めてモノフィンをつけて、いきなり海に飛び込むみたいなことは絶対に絶対にやめてくださいね。必ずプールで練習してから海に出ましょう

でもそれだけの価値はある

万座毛と人魚
とは言え。魚舞い踊り、極彩色の珊瑚が広がる海の中、空から光が降ってくる様子はこの世のものとも思えないほど幻想的で心とらわれます。そんな夢の様な世界を、重力を感じることなく、水の中を自由自在に飛んだり、回転したりするのは本当に素晴らしい体験です。危険と隣り合わせのスポーツですし、ある程度の訓練は必要ですが、それだけの価値はあるといつも思います。(2012年09月13日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

万座毛(まんざもう)

住所 :沖縄県国頭郡恩納村字恩納
電話 :098-966-2893(一般社団法人 恩納村観光協会)
時間 :見学自由
入場料:無料
駐車場:無料(50台)

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