沖縄県与那国島の浦野墓地。たくさんの巨大亀甲墓群が見られることで知られていますが、その中にひときわ目立つ建築物があるのです。それがこの凱旋門。いったいなぜこんなところに?
なぜお墓の中に凱旋門が?
祖納から東崎へ向かう間にある浦野墓地(うらのぼち)は「ニンバラ」と呼ばれていました。沖縄県のお墓は本州のものよりも大きく亀の甲羅の形をしています。中は8畳ほどもある巨大なものも少なくありません。
これらを亀甲墓(かめこうばか、きっこうばか、かめこうぼ)と呼びます。そんな亀甲墓が点在する浦野墓地ですが、凱旋門やピラミッドの墓はかなり目立っています。
リビングまであるピラミッド型のお墓
凱旋門がある壁に近づいてみると、その奥にピラミッド型の建物があります。『ワンダーJAPAN1号』の「風変わりなお墓と供養」のページによると、このピラミッドはお墓であって中にはリビングまでしつらえてあるのだそうです。まるで一軒家のような豪華なお墓ですね。
誰のお墓なのか
与那国島のダイビングショップで訪ねてみたところ、このお墓は町役場のすぐ裏にあるスーパーふくや」のご先祖様が祀られているのだそうです。でもネットで調べてみると、八重山の離島の船会社のご先祖様という説もあるようで。小さな島だからどちらも血のつながりがあるご親戚なのかもしれませんね。
夢のなかのような不思議な風景
丘一面に遺跡のように巨大な亀甲墓がたくさん。人影がほとんどないこともなって、夢の中の風景を歩いているような不思議な気持ちになります。
ところで与那国島で購入した本『与那国島異聞』には、浦野墓地にまつわる不思議な話が書かれていました。
小人の葬列の伝説
浦野墓地の墓から小さな小人のたち100人ばかりがぞろぞろと出てきて葬列を作り、死者の家まで歩いていって死人の口へと次々に入っていく。すると小人を飲み込んだ死者がよみがえる──という昔話でした。独特の雰囲気がある浦野墓地なら、小人の葬列を見たとしてもおかしくないなと思いました。(2012年05月14日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
浦野墓地(うらのぼち)
住所 :沖縄県八重山郡与那国町
関連URL:与那国民族資料館