日本最西端の地、沖縄与那国島の東崎(あがりざき)には放牧された牛や馬がいっぱい! 目もくらむ断崖絶壁には柵がなく、高所恐怖症の人は失神しそうな世にも美しい絶景です。
なぜ東崎をあがりざきというのか
なぜ東崎は「あがりざき」と読むのか。それは沖縄では太陽の昇ることを「あがる」と言い、日が沈むことを「いる」と言うからです。東は太陽が登る方向だから「あがりざき」。東崎から見える西表島が「いりおもてじま」なのも、日が沈む西側という意味が込められています。
西表島の名前の由来
ついでにどうして西表島が「西の島」なのかについて。18世紀ごろの八重山諸島の行政の中心は石垣島でした。つまり石垣島から見て西の島なのです。また西表島は昔、東側の古見島(こみじま)と西側の西表島、2つの名前がありましたが、のちに西側が炭鉱で栄えたため、西側の西表島で名前が統一されたのでした。
与那国島の東の先にある東崎
閑話休題。与那国島の話に戻りましょう。この写真の図の左上のように、与那国島はさつまいもが横になったような形をしています。大きさは東西約12km、南北約4km。車だと1週1時間ぐらいの島。その東の先端に東崎があります。
遠くに点々と黒い動くものが……
雲ひとつない真っ青な空と緑の牧草。広々とした牧草地は清々しい気持ちになれます。展望台のところまで来ました。遠くで何やら点々と黒いものが動いているのが見えてきます。
牧草地はウシでいっぱい
あっちにもこっちにもウシがいっぱい! 実は東崎は牧場なのです。広大な牧草地でウシがゆったりと草をはんでいる風景は心が洗われるようです。ウシは人間を見ても特に驚くこともなくのんびりしていますので、怖がらなくても大丈夫(でも絶対にいじめたり、ちょっかいを出したらだめ)。
ウシばかり見ていてはダメ
しかしウシがおとなしいからと言って、油断してはいけません。ウシの可愛さに目を奪われているととんでもない悲劇に見舞われます。ここを歩く時にはウシよりも地面に注目しなければならないのです。
辺り一面フンだらけ
そう、あたり一面フンだらけなのです。牧場ですからね、仕方ないです。写真を撮る場合はなるべく遠景で撮影したほうがいいですね。これだけウシがいたら、いずれ地面がフンで埋まってしまいそう。
フンを掃除しているのは誰?
ところでこのフン、いったい誰がどうやって掃除していると思いますか? 答えは「誰も掃除していない」。なぜなら、台風が来るたびに風雨がフンを崖へと吹き飛ばしてくれるからなのです。家屋を破壊する台風はやっかいですが、牧場では役になっているんですね。
高所恐怖症に向かない場所
ウシとフンをかいくぐり、さらに岬の先端へと歩いていきます。実は東崎は高所恐怖症の私にとって大変辛い取材でした。台風がしょっちゅう来るからか、しっかりした柵が作られていないのです。めちゃくちゃ怖い。
柵が壊れている断崖絶壁
木の杭だけが残っている崖から覗くと、下は断崖絶壁。しかもあたりに遮るものが何もないので、風がビュービュー吹きさらし。個人的には観光地に無粋な柵や「危険」「近づくな」といったの注意書きをやたら設置するのは反対です──しかし、東崎は相当な自己責任ポイントですね。
岬の先端にようやく辿り着く
私が崖から落っこちても誰にも気づかれないまま海の藻屑。心臓バクバク、足ガクガクで、ようやく灯台にたどり着きました。灯台も台風の直撃を受けているからかかなり風化していて、コンクリートの壁や手すりもボロボロ状態。東崎は一番与那国島らしい美しい風景ですが、高所恐怖症の人は覚悟して観光してくださいね。
あれ? ウシはどこ?
膝を震わせながらへっぴり腰で戻ってくると、あれ、なんだか風景が違う……。たくさんいたウシが1頭もいなくなっていて、代わりに牧草地はウマがたくさんたたずんでいます。実は東崎はウシだけでなく、ウマの牧場でもあるのです。
ヨナグニウマの群れ
てことは地面の落し物は、牛糞だけでなく馬糞も混ざってるのね。ウシとウマは群れを作って、場所を移動しながら草を食べているみたい。これらのウマは、与那国島特有の在来馬・ヨナグニウマ。次回はヨナグニウマについて書いてみたいと思います。(2012年05月13日訪問)【麻理】


参考文献
地図&情報
東崎(あがりざき)
住所 :沖縄県八重山郡与那国町与那国
電話 :0980-87-2241(与那国町役場)
時間 :見学自由
入場料:無料
駐車場:無料(トイレあり)