タイのサムイ島にあるワットクラナム寺院には自然にミイラになった徳の高い僧侶のご遺体が祀られています。しかしこのミイラ仏は日本人には理解し難い、驚きのお姿をしているのです。
大雨でもたくさんの人が訪れる
岐阜県の両界山横蔵寺や福島の貫秀寺の即身仏をご紹介したことがありましたね。


ここはワット・クナラム寺院(Wat Kunaram)。ワット・クナラムの「ワット」とはお寺という意味です。サムイ島の南にあり中心街からは離れていますが、多くの地元の方々・観光客で賑わっています。私が訪れた時にスコールのような大雨が降ってきたのですが、雨に濡れつつもお参りに訪れる方が続々と集まってきていました。
お寺では裸足が原則
タイの多くのお寺では裸足にならなければなりません。最近は服装や靴について厳しく言われないところも増えて来たものの、ここでは靴を脱いで建物に上がります。ワット・クナラムで唯一土足で上がっていいのは犬だけ。
タイの自由な犬たち
タイの犬は鎖につながれておらず、気ままにブラブラ歩き回っています。お寺もフリーパス。寄進された食べ物をもらえるし人間に可愛がられるし、犬にとってお寺はかなり過ごしやすそうな場所。でもタイでは現在でも狂犬病で亡くなる方が結構いるので、犬を不用意になでたりしない方がよろしいかと。
高僧・ルアン・ポー・デーン
ワット・クナラムのミイラについてご紹介しましょう。このミイラはこのお寺の住職であった、ルアン・ポー・デーンというお坊さんです。ガイドのワンチャイさんの説明によると、50歳までは一般人として普通に暮らしていたのですが、晩年になって僧侶となり瞑想の修行を重ねたのだそうです。
予言のとおりに亡くなりミイラに
彼は生前に「自分は79歳と8ヶ月で死ぬ」と予言しており、1973年に予言の通り79歳と8ヶ月で亡くなりました。そして弟子に言い残した通りにミイラとしてワット・クナラムに祀られました。しかし寺院に佇み続けるのは彼の本望であったのでしょうが、一点だけルアン・ポー・デーンさんも困惑しているのではないかと思われる事が……。
いくらなんでもこれはどうなのか
なんとこの高僧のミイラ、サングラスをかけているのです! 日本人的な感覚からすると、ちょっとどうなのよと眉をしかめたくなるセンス。これじゃあタモさんだよ。(※写真撮影は可能かどうか聞いたところ、全く問題ないとのことでした)
罰当たりじゃないのかしら
ワンチャイさんになんでサングラスなんかかけてるのと聞いたら「さすがに目玉はミイラ化しなかったの。見た目が悪いからサングラスかけてるみたい」。……見た目はともかくサングラスはファンキーすぎて罰当たりなんじゃないかなあと心配になります。
高温多湿なタイでは珍しい
それにしてもこの高温多湿なタイで、腐ることなくミイラ化し40年もずっとその姿を保ち続けているなんて、これも仏様の御加護でしょうか。自分の死期を悟っていたことも不思議。自らの意志で断食してミイラになる日本の即身仏とは違いますが、ワット・クナラムのミイラ仏ルアン・ポー・デーンさんもきっと徳の高い高僧だったのでしょうね。
今も人々の熱い信仰を集める
ミイラ仏の前で、竹筒のおみくじを手に一生懸命祈っている地元の方がいらっしゃいました。日本のおみくじのように、竹ひごの先に書かれた番号と同じ番号の棚の紙で運勢を調べるというもの。サングラスをかけたおしゃれなミイラ仏ですが、今も人々の熱い信仰を集めています。(2013年04月27日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
ワット・クナラム ミイラのお寺 Wat Kunaram
住所 :Ring Road, Moo 3, Na Muang, Koh Samui, Suratthani, Thailand