橋のようだけど橋じゃない? それは香川県高松市の交差点にある八雲橋。橋は川や鉄道などの上を乗り越えるために建設するものですが、この橋が存在するのは道路のど真ん中なのです。
道路の真ん中に橋が!?
橋とは何か? 橋(はし)bridge:道路、鉄道、水路、パイプラインなどが河川、湖沼、海峡、凹地や他の交通路などの上を乗り越えるために建設される各種の構造物の総称──(日本大百科全書 18巻 小学館)。
そんなこといちいち百科事典を引かなくても分かっとる!なんておしかりを受けそうですが、この定義に当てはまらない橋もあることをぜひ知っていただきたかったのです。
いったい何の意味があるの?
八雲橋(やくもばし)があるのは結構交通量のある道路のど真ん中。橋の長さは4、5メートルほどでしょうか。渡ったからと言って中央分離帯を歩けるというだけですから、まるで無意味。もちろん通行人はオールスルーです。いったい、この橋何のためにあるの?
もともとは明治時代にかけられた橋
実は八雲橋は、明治12年01月に玉藻城(たまもじょう)の外堀にかけられたもので、当時は長さ12メートルありました。場所はこの交差点の北西40メートル付近にあったものと言われています。橋は出雲大社分院に行く際、回り道しなくて良いようにと建設されたものでした。
発掘によりモニュメントとして蘇る
名前の由来も優雅でしゃれています。和歌でいう「出雲」の枕詞、「八雲たつ」から名付けられました。つまり「出雲大社分院に橋がかかる」と「和歌の枕詞がかかる」にかけてるんですね。
その後街の開発が進み、明治33年頃に外堀と共に八雲橋は姿を消してしまいました。それから100年後。土中から橋の柱の一本が発見されたことにより、その柱を使ったモニュメントとして平成の世に八雲橋が蘇ったのでした。
静かに余生を送る八雲橋
こういったモニュメント的な橋は、全国の都心部にちらほら存在します。都市化によって川が埋め立てられたり、地下にもぐったりなどありますからね。八雲橋は静かに余生を送っているようです。誰も渡る人はいないけど、のんびりと街行く人々や季節の移り変わりを眺めているのかもしれません。
ちょっと裏話
この橋は四国出身の読者さんに情報をいただきました。ただ道路上にあるということもあって、詳しい住所が分からず、教えていただいた八雲橋に関するサイトの画像をプリントアウトして持参しました。でも土地勘がないこともあってなかなか見つかりません。
日も暮れてきたので、その日の宿泊先の東横インにとぼとぼ向かいました。駄目もとでフロントの人に写真を見せながら聞いてみました。
目の前にあるのに地元の方も気が付かない
麻理「こんな橋知りませんか?」
フロント「……。ちょっと見たことありませんねえ」
麻理「八雲橋って名前で、川のないところにかかってるんです」
フロント「全く聞いたことないですねえ。すみません」
すると隣にいた別の係の方が「あっ! あれじゃない!?」と窓の外を指さしました。……そう、実は八雲橋は東横インのド真ん前にあったのでした。えええ-、フロントから毎日見える位置にあるのに~! 地元の人にとっては盲点に入ってしまってるんでしょうね。青い鳥は身近なところにいたってやつでしょうか。違うか。(2009年05月05日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
八雲橋(やくもばし)
住所 :香川県高松市兵庫町3-1(※東横イン高松兵庫町の住所です)
電話 :087-832-3019(香川県広聴広報課)