骨仏のお寺として訪れた香川県高松市の法然寺。しかしこのお寺の真骨頂は、寝釈迦と鳥獣人物52類によるジオラマ仕立ての3D涅槃図。こんな迫力ある涅槃像は見たことがありません。
法然上人が住んだお寺を復興
法然寺(ほうねんじ)は建永2年(1207)に法然上人が75歳で四国に流されて住んだという、生福寺の遺跡でした。これを高松藩祖・松平頼重が復興して菩提寺としました。当時に建てられたものも多く、江戸時代初期の建築物としては県内屈指と言われています。
遺骨で作られた仏像・骨仏
私が見たかったのは骨仏。骨仏とは人の遺骨を使って作られた仏像のこと。以前記事にも書いた大阪の一心寺が最も有名です。法然寺の骨仏の仏師は一心寺と同じく今村輝久氏なんですよ。骨仏はこの写真の祖師堂にあります。
江戸時代初期から続く骨仏の歴史
白くつやつやとしたお体に淡い彩色がされています。江戸初期から宗派を問わず納骨されていて、戦後はほぼ10年ごとにお骨を仏像の形にしているそうです。美しい仏様でした。
予想していなかった素晴らしい光景!
美しい骨仏を拝観できて満足した私でしたが、その後に入った涅槃堂(ねはんどう)ではさらなる感動が待ち受けていました。お堂に入ったとたん、心臓がドクリと脈打ちました。そこには予想もしていなかった素晴らしい光景が広がっていたからです!
釈迦入滅の風景をそっくり再現
(※↑クリックすると大きな画像で見られます)
中央にまもなく一生を閉じようとするお釈迦様。周りには嘆き悲しむ十大弟子の羅漢。じっと見守る、象・馬・羊・猿・鶏などたくさんの動物たち。天上には雲に乗ってお釈迦様を迎えに来た母・摩耶(まや)夫人。そう、紀元前5世紀、旧暦2月15日の釈迦入滅の風景がそのままそっくり再現されているんです!
こんな涅槃像、見たことない!
あなたもお寺で涅槃図と呼ばれる絵をご覧になったことがあるでしょう? その2次元の涅槃図を、3次元的に表現しているのです。法然寺の涅槃堂では寝釈迦と鳥獣人物52類がジオラマ仕立てで並んでいます。背後には本尊である阿弥陀、釈迦、弥勒の三仏が並んでいます。
あなたも釈迦入滅の時に立ち会える
お堂に入ったとたん、私たちも仏陀入滅の現場に立ち会っているような心持ちになります。リアルな彫刻の動物たちも釈迦の入滅を見守っています。静まりかえったお堂はまるで時が止まっているかのようでした。
歴代の等身大住職像がずらり
またお堂の壁ぐるりに、法然寺歴代のご住職の等身大座像が並んでいて迫力があります。拝観者はじっと座っている住職像の前を進むことになるのですが、これが結構怖いんです。夢の中にいるような、怖いような不思議な気持ちになりました。
金箔が貼られた出世大黒天
この金箔をはりつけて拝む出世大黒天もご一緒にどうぞ。私が行ったときにはまだ全身が金で覆われておらず、荒いデジタル表示のような大黒天でしたよ。
山高帽をかぶったお地蔵様
このお地蔵様は小粋な山高帽(ダービーハット)をかぶっていらっしゃいます。なぜいきなりクラシカルな帽子なの? でもこれは帽子ではなくてほうろく。ほうろくとは素焼の平たく浅い土なべのことです。ほうろく地蔵と呼ばれています。
ぞうりの上に猫ちゃんが
門のところに奉納されていた巨大なぞうりのてっぺんに、ネコちゃんが住んでました。器用に上り下りしていてびっくり。誰にもじゃまされずにのんびりできる場所なのかもね。法然寺は見どころが一杯で大満足のお寺でしたよ。(2009年05月06日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
法然寺(ほうねんじ)
住所 :香川県高松市仏生山町甲3215
電話 :087-889-0406
時間 :09:00~16:00
拝観料:釈迦涅槃像拝観料 350円
駐車場:無料