廃墟? 工場? 正解は喫茶店。徳島でも屈指の珍名所・大菩薩峠です。オーナー・島利喜太氏自らが建築したセルフビルドの建物。ツタがはうレンガ造りのレトロな外観が魅力的です。
日本一周で出会った大菩薩峠
徳島県阿南市の喫茶店・大菩薩峠(だいぼさつとうげ)はこれまでも何度もテレビ、雑誌などで取り上げられています。オーナーの島利喜太(しま りきた)さんは20歳の頃から日本一周の旅に出て、山梨県小菅村の大菩薩峠を訪れました。その時「自分の山に万里の長城を築きたい」と願い、大菩薩峠という名の喫茶店の建築を思い立ちます。
10万個のレンガを一人で焼き、積み上げる
1966年に工事着工。当初はレンガの調達にも苦心し、裏山に窯を作って自分でレンガを焼いたそうです。建築に使われたレンガはおよそ10万個。ついに5年後の1971年に大菩薩峠はオープンしました。もう今から40年以上も昔のことなんですね。
ノスタルジックでワクワクする外観
レンガの外壁にはツタがからまり、そのコントラストがとても美しい建物です。前に和歌山県友ヶ島の戦争遺跡をご紹介しましたが、雰囲気がよく似ています。ノスタルジックでワクワクする外観です。

とても一人で作ったとは思えない規模
駐車場にあった街灯も手作りのようです。建物の巨大さはとても一人で作ったとは思えない規模です。島さんの情熱は凄まじいものがありますね。鬼気迫るという表現がまさにぴったり。旅で出会った山梨の大菩薩峠によほど感激したのでしょうね。
外国の一角にいるような錯覚
こちらのスロープは工事の資材搬入のために作られたものなのだそうです。ここは本当に日本の徳島なんだろうか、どこか外国の一角にいるのではないだろうか……と錯覚してしまいそう。クルマのまま上に上がっていくことができます。上は駐車場になっています。
喫茶店への歩行者用階段
喫茶店店内に続く、歩行者用の階段です。屋根の隙間からもれるやわらかい光が、素朴なレンガ造りによく合っています。
オーソドックスなメニュー
残念ながら店内は撮影禁止です。昔ながらのオーソドックスなメニューで、カレー、ピラフ、サンドイッチ、ピザ、コーヒーフロートなど。店内もレンガに囲まれた、落ち着いた雰囲気です。メニュー表はこのお店独自のちょっと変わったものですがこの記事では内緒。ぜひ訪れた時に楽しんでくださいね。
大菩薩峠はまだ建築中?
お店の外にはレンガや石、木などが積み上げられていました。島さんが20代の頃に建築を初めてもう40年以上が経つのだから、もう60代のはず。大菩薩峠はまだ建築中なのでしょうか。島さんの情熱を見習いたい。
徳島の大菩薩峠はちゃんと出られます
山梨の大菩薩峠は濃い霧が発生するスポットがあり、そこに迷い込むと二度と出ることはできないと言われます。徳島の大菩薩峠を訪れた時、まるでタイムスリップして時間のひずみに落っこちてしまったかのような不思議な感覚を覚えました。でも山梨のとは違って、ここは喫茶店ですからお会計をしたらちゃんと出られますよ。ご安心あれ。(2009年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
大菩薩峠(だいぼさつとうげ)
住所 :徳島県阿南市福井町土井ケ崎
電話 :0884-34-2701
時間 :10:00~20:00
休業日:金曜
駐車場:無料
関連URL:喫茶・大菩薩峠