徳島県のモラスコむぎは、世界中の貝の標本6000点を集めた貝の資料館と、地元の漁師さんが捕まえた生き物を展示する手づくり系の水族館。ほのぼのした味わいに癒やされます。
建物は貝の形
この建物何かに似ていませんか? これ巻貝と二枚貝の形をしている木造建築なんです。1985年から始まった国の木材需要拡大推進緊急対策事業の一環で建設されたもので、1987年には国によるモデル木造施設事業指定を受けています。ふんだんに木材が使われている温かみのある建物ですよ。
24角形の癒し系エントランス
エントランスホールは杉の丸太を使った24角形になっています。窓ガラスから入ってくる光は木漏れ日のよう。落ち着く空間です。モラスコむぎのすぐ前は、松ケ磯のビーチが広がっていて砂浜を散歩できます。前回ご紹介した日和佐うみがめ博物館と同じく、この浜にもウミガメが産卵に訪れます。こんな別荘に滞在できたら幸せだなあ。
モラスコって何?
ところで。「モラスコ」とはスペイン語の軟体動物(mollusco)のことです。タコとかイカだけでなく、ウミウシ、クリオネ、ナメクジそして貝類の総称。むぎは所在地「海部郡牟岐町」の「むぎ」。地元の人じゃないと「モラス・コムギ」って変な所で区切ってしまいそう。
あの水族館と姉妹館契約
実はこのモラスコむぎ、珍スポマニアはご存知であろう、和歌山県のすさみ町立エビとカニの水族館と姉妹館契約しているんです。水族館に入った時になんとなくデジャヴを感じるなあと思ったら、とても雰囲気が似ているんですよ。こぢんまりした佇まいとか、手作りの温かみとかね。ガラスケースの展示物におもちゃとか並んでいたりして。
ウツボとイセエビの不思議な関係
ウツボとイセエビの水槽。私知らなかったのですが、ウツボとイセエビは共生関係にあるんですってね。共生とは例えばクマノミとイソギンチャクのように生物が助けあいながら生きる関係のこと。イセエビの天敵のタコをウツボが捕食し、イセエビはタコを呼び寄せてウツボに提供し、ウツボに守ってもらっています。仲良く岩の穴の中に並んでいたりする姿が意外でした。
ダイバーは要注意の貝
殺人貝なんておっかない説明書きがあります。これはイモガイ。色や形が美しいのでコレクションしている人も多いのですが(私も持ってます)、刺されると人が死ぬほどの猛毒を持っているものもいます。沖縄では刺されたら浜の真ん中までたどり着けずに死ぬ「ハマナカー」とか、毒蛇のハブのような貝「ハブガイ」とも言われています。
本物の貝ボタン
昔はボタンにも使われていた貝。安価なプラスチックボタンが普及してからはあまり見かけないけど、高級なシャツには今も貝ボタンがつけられていますね。貝ボタンは独特の深い光沢があって宝石のようです。なるほどこんな風にくりぬいて作るのね。
世界一高価な貝
リュウグウオキナエビスはわずか8種類のオキナエビスガイの中で、現生する最大のもの。ギネスブックには世界一高価な貝として登録されています。この説明書きには1969年に360万円で購入したとありますが、現在もマニアの間では10万円〜100万円(大きさによる)ほどで取引されているそうです。海岸を歩いている時に偶然見つけたら一攫千金ですぞ。
マリンスポーツの際にぜひ
ザリガニ釣りの体験もできたりして、アットホームな雰囲気。私はこういうスポットかなり好きですね。モラスコむぎのある牟岐町の海は、体験ダイビング、スノーケリング、クルージングなどマリンスポーツも盛んです。人があまりいないのでダイバーにとってはかなりの穴場。モラスコむぎにあるカフェでゆったりとデザートも楽しめます。海での遊びの際にぜひ立ち寄っていただきたい水族館です。(2009年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
モラスコむぎ
住所 :徳島県海部郡牟岐町灘下浜辺198-1
電話 :0884-74-0100
時間 :09:00~16:30
休館日:月曜日(国民の祝日にあたる時はその翌日)
入館料:大人400円
駐車場:無料