青森県、旧・戸来村に伝わるキリスト伝説。6月に開催されるキリスト祭りは、なんと神道式で行われます。不思議なメロディ「ナニャドヤラ」の盆踊りをぜひ動画で御覧ください。
国会議員・県会議員もどっさり参加
この日はマスコミも押しかけて大変な人出。キリストの里公園入口に祭壇がもうけられ、貴賓席には国会議員、県会議員などお偉いさんがどっさりいますよ。そして神主さんがしずしずと登場。
なんと神道式のキリスト慰霊祭
驚くべきことにこのキリストの慰霊祭は神道式なのです。神父でも牧師でもなく、神主が「かしこみ~かしこみ~」と祝詞(のりと)を唱えています。みなさん玉串を手に祭壇の前で二礼二拍手一礼。ピーヒャラドンドンと響くお囃子。クラクラしてきた。
どうか上手く写っていますように
玉串奉奠(たまぐしほうてん)がすむとキリストの墓がある丘へダッシュ。ものすごい人で前が見えません。しかもここ、丘っていうかガケ。転がり落ちないかヒヤヒヤしながら精一杯手を伸ばし「どうか写っていて!」とシャッターを切りました。
浴衣にも「ナニャドヤラ」の文字
浴衣姿のご婦人方がゾロゾロと丘を登ってきました。本日の主役です。浴衣には「ナニャドヤラ」と書かれています。ナニャドヤラとは、村に古くから伝わる盆踊り・唄です。不思議な節回しと音階だけでなく、その歌詞が非常に特徴的。
ナニャドヤ~ラ~♪
ナニャドヤ~ラ~
ナニャドナサレ~ノ
ナニャドヤ~ラ~
このナニャドヤラ、近隣の町村ではお囃子が入りアップテンポなんですが、新郷村では唄と太鼓のみ。何度も繰り返しながらキリストの墓の周りを踊るのです。懐かしいような寂しいような奇妙な音階で、聴いているうちに体がユラユラと揺れてくるような気がします。
ナニャドヤラはヘブライ語か恋歌か?
日本語では意味をなさない歌詞ですが、神学博士・川守田英二はこの歌詞を古代ヘブライ語であるとし、次のように翻訳しています。
御前(おんまえ)の聖名を褒め讃えん
汝の毛人を掃蕩(そうとう)して
御前(おんまえ)の聖名を褒め讃えん
ただし川守田博士は、キリストの墓とナニャドヤラの関連は否定していますし、ナニャドヤラは青森から秋田一帯に伝わる定番の盆踊りの歌で、特に新郷村だけで歌われているものではありません。
反ナニャドヤラヘブライ語説
また民俗学者の柳田国男はこの唄はヘブライ語ではなく
なんなりとおやりなさい
なんなりとなされませんか
なんなりとおやりなさい
という異性に呼びかける恋歌であるとしています。ちょっとエッチな響きがありますね。ナニャドヤラの歌詞については諸説あるようです。不思議な唄ですね。ナニャドヤ~ラ~
駐日イスラエル大使も祭りに参加
第41回のキリスト祭りには、駐日イスラエル大使館のエリ・コーヘン大使が出席しています。大使、激怒しなかったのかなあ……。でも友好の証としてエルサレムストーンという石が贈られたとのことで、穏便に事が運んだようです。大使は「ヘブライ語であるようだがはっきりした意味は分からない」と語ったそうです。
この祭りを見てみたい方へ
キリスト祭りは交通の便が悪い場所(八戸駅からクルマで約1時間。電車なし、バスは日に数本)で行われる上、午前10時開催です。私は青森市内に宿をとったために朝5時起きでした。行ってみたい方は八戸市内に宿泊しクルマで訪れることをおすすめします。
バスツアーが便利だと思います
ただし当日はキリストの墓付近は交通規制があり、どのみちシャトルバスに乗り換えねばなりません。今後もバスツアーが開催されたらバスツアーでの訪問をおすすめします(2006年06月04日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
キリストの墓・キリスト祭
住所 :青森県三戸郡新郷村大字戸来字野月33-1
電話 :0178-78-2111(新郷村村役場:観光協会)
開催日時:毎年6月
駐車場:無料(ただし当日は交通規制あり)