宮城県には鬼の頭と手のミイラを展示している博物館があります。妖怪のミイラが博物館の収蔵品となっているのは大変珍しいケース。 多くは神社仏閣の宝物となっているからです。
全国にある鬼のミイラ
鬼のミイラと呼ばれるものは、全国に複数存在しています。例えば、岐阜県の念興寺や、大分県の十宝山大乗院など(愛知県の桃太郎神社の鬼のミイラは焼失)。たいていお寺や神社などの宝物となっているのですが、博物館に収蔵されているものはあまりありません。



姥が懐の鬼伝説
村田村は姥が懐(うばがふところ)と呼ばれ、昔から鬼にまつわるお話が語り継がれています。前回は渡辺綱(わたなべのつな)の鬼退治について書きましたが、鬼の手掛け石からクルマで10分ほどにある村田町歴史みらい館では鬼の頭と手のミイラを常設展示しているのです。

一見ごく普通の博物館
館内には旧石器時代から「宮城の小京都」と呼ばれるまでの歴史、郷土芸能についての展示があります。出土した土器、骨、お祭りの道具、庶民の道具が並んでいます。このあたりはごく普通の博物館。
蔵屋敷の一角に鬼の箱
昔この地では紅花の栽培が盛んに行われており、その繁栄を物語る蔵屋敷も再現されています。その一角に「鬼」と書かれた箱がぽつんと置かれています。これに違いありません。
姥が懐の商家から見つかったミイラ
姥が懐の集落に住む人の多くは渡辺綱の子孫だと言われています。事実集落の多くの人々の名前は渡辺姓なのです。そして1994年(平成6年)、村田村のある商家の蔵から鬼の頭と手のミイラが発見され、村田町歴史みらい館に寄贈されました。
箱の中の鬼
ミイラの頭と手は、鬼と書かれた木の箱の中に入っています。上はガラスがはめ込まれていて下の方はすりガラスになっているためよく見えません。もうちょっと近づいてみましょう。
大人の倍ぐらいの大きさの頭
ギザギザとした牙が見えるでしょうか。鬼の頭の大きさは縦35センチ、幅25センチほど。普通の大人の頭の2倍近い大きさがあります。この頭の大きさだと身長は3メートル近くになるでしょうね。
渡辺綱が切った右手?
目は落ち窪んでいて、鼻はもげてしまっています。角は5センチぐらいで額の左右から突き出ています。手のミイラは3本指でカッと指を広げたような形。ところどころ皮膚がなくなって骨が露出しています。1センチほどの尖った爪が生えていて、どうも右手のように見えました。これが渡辺綱が切った鬼の手なのかしら。でも鬼は腕を取り返したのよね……?
由来は全く不明
商家の蔵から見つかった時には他に何も記録が残っておらず、家の方々もミイラについて何も知らなかったとのこと。このミイラがどういう経緯で蔵で保管されてきたのは不明なままです。ガサガサとした表皮を間近で見ると結構迫力がありましたよ。妖怪好きのあなたはぜひ足を運んでみてください。(2014年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
村田町歴史みらい館(むらたちょうれきしみらいかん)
住所 :宮城県柴田郡村田町大字村田字迫85
電話 :0224-83-6822
時間 :09:00〜17:00(入館16:30)
休館日:月曜日、祝日の翌日
入館料:無料
駐車場:無料(隣の道の駅)
関連URL:宮城県村田町 | 施設案内