宮城県の仙台大観音は高所恐怖症の人にとっては震えるような場所。真っ白な観音様の体内に入ると、まるでSF的なタワーが内蔵されているかのよう。いわゆるタマヒュンスポットです。
街を襲う巨人? 怪獣?
仙台市泉区。社の都を足もとに、仙台駅の方向を見据えて立っている巨大な観音様。仙台大観音(せんだいだいかんのん)は高さが100m(ビル25階建て相当)もあり、周りは平地のニュータウンが広がっているため、まるで観音様が『進撃の巨人』的に街を襲っているかのように見えてしまいます。
仙台市市政100周年を記念
仙台大観音の開眼は1991年。当時は世界最大の大きさだったのですが、前述の牛久大仏、小豆島大観音に記録を抜かれてしまいました。本当は当時の技術でも十分それ以上の高さにすることは可能だったのですが、仙台大観音は仙台市の市政100周年を記念して高さを100メートルにぴったりにした経緯があったのです。
企業が建てた巨大観音
市政100周年ということは仙台市の建造物なの? と思われるかもしれませんが、仙台市とは全く関係ありません。実は仙台市のパチンコ店、ホテル、ゴルフ場などの経営を展開していた双葉グループという企業が建てたもの。写真の双葉グループ菅沼萬氏がその創設者。
起業家と宗教的施設
菅沼氏は「事業の成功は常日頃信仰していた観音様のおかげ」と、この観音様を建立しました。巨万の富を得た経営者が宗教的施設を建てるというのは、福井の越前大仏や、石川のユートピア加賀の郷など、わりとよくききますね。
現在は宗教法人として経営されている
ところが双葉グループの双葉綜合開発と石原建設が合併して発足した会社は2004年に破産宣告を受け倒産。しかし仙台大観音は宗教法人・大観密寺として双葉グループからは切り離されたため、閉鎖されることもなく、今も仙台の街を守り続けているってわけ。
龍の口から胎内巡り
では仙台観音の胎内巡りをしてみましょう。入り口は巨大な龍が大きく口を開けています。階段を上って、龍の口へGO!
1階は十二神将像
1階部分はちょっとしたおみやげやお守りなど買えるショップと、十二神将像のフロア。これは他の観音像胎内巡りでもよく見る光景ですね。
最上階は68メートルの高さ
エレベータで最上階へ向かいます。仙台大観音の高さは100メートルですが、エレベータは観音様の胸のあたり68メートルまでしか昇ることができません。ここも海抜で言えば249メートルもあるので十分高いのですが、どうせなら観音像の目の部分まで登れるようにしてほしかったなあ。
ゴージャスなご神体の部屋
最上階でぜひみていただきたいものが2つあります。その一つはご神体の部屋。辺り一面、キラキラ、ピカピカのゴールド。ゴージャスです! あれ、大観音ってことは仏教系よね、なのにご神体ってのはこれいかに? その疑問は横に置いておいて御覧ください。ご神体は金色の玉なのですよ。
パチンコ球がモチーフ?
なぜ玉なのか? それは仙台大観音を建てた双葉グループが、パチンコ店から始まったからだと噂されています。つまりパチンコ球がモチーフってこと? 仙台大観音が右手に持っている宝珠(ほうじゅ)もパチンコ球を表しているとか。でもこの玉、直径3メートル、重さ34トンもあるんですよ。いったいパチンコ何個分?
SF映画のような大迫力の吹き抜け
そしてもう一つの見どころは、この巨大な吹き抜け。仙台大観音は外壁で支えられているため内部は空洞なのです。中心部分の踊り場には合計108の胎内仏がまつられていて、各踊り場は螺旋階段でつながっています。60メートルもの吹き抜けになっている階段は電飾で装飾されていて、まるでSF映画の1シーンのような不思議空間。
高所恐怖症の人にとっては恐怖スポットかも
普通、高層ビルやマンションの吹き抜けは安全のために途中にネットやガラスがはられています。でも仙台大観音は最下段しかネットがありません。最上階はいわゆるタマヒュンスポット。高所恐怖症の人なら足がガクガク震えるに違いありません。
足の指で大きさを実感
勇気ある方は階段で、目眩がする方はエレベータで下までおりてきましょう。登竜門と書かれた扉から出ると、観音様の足の周りから景色を眺めることができますよ。足の指の大きさはこの通り。地震にもびくともしなかった、力強い観音様でした。(2014年05月04日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
仙台大観音(せんだいだいかんのん)
住所 :宮城県仙台市泉区実沢字中山南31-36
電話 :022-278-3331
入館料:大人500円
休業日:年中無休
時間 :10:00~16:00(05月〜10月)10:00~15:30(11月〜04月)
駐車場:あり(無料)
関連URL:大観密寺・仙台大観音/オフィシャルサイト/縁結び大黒天