人形の数2000点、明治時代から昭和初期にかけてのおもちゃ、農具、雑貨、戦争関連の遺物が1万点。宮城県大鷹沢中学校の故・佐藤好一郎先生による素晴らしい博物館、人形の蔵です。
築100年以上の蔵の博物館
宮城県最南端の市、白石(しろいし)市。蔵王連峰と白石川の自然に育まれた静かな街です。白石人形の蔵は明治時代の築100年以上経過した蔵を改造した個人の博物館です。訪れた時、佐藤先生の奥様にお話を伺うことができました。
中学校の先生だった佐藤好一郎氏
佐藤先生は近くにある中学校の社会科の先生。子供たちに歴史を身近に感じてもらおうと、20年近く前に白石人形の蔵(しろいしにんぎょうのくら)を開館されました。展示物は佐藤先生の蒐集物です。
本館1階は昭和初期のレトロおもちゃ
本館1階にはマンガ、おもちゃ、生活雑貨、レコード、着物……と昭和初期のレトロなコレクションが並んでいます。大人はもちろん昔を思い出して楽しめますが、小さなお子さん向けに遊べるおもちゃも用意されています。
本館2階は戦争遺物
本館2階は、明治から昭和にかけての戦争に関する展示となっています。ここは館長だった佐藤先生が、「弱い者いじめがこの世からなくなるよう念じる」ために開設されたそうです。蔵の博物館だけに「戦争は永久にお蔵入り」というわけです。
東北ならではの戦争ポスター
「俺は供米 倅は戦地」というポスター。宮城県と言えばヒトメボレ、ササニシキなど米の産地として有名ですもんね。息子さんは戦地で頑張って、お父さんとしての自分は農家でのコメ作りを頑張る!というプロパガンダ。家族離れ離れなのが本当は悲しい。
寄贈されたり佐藤先生がコツコツ集めたもの
軍服や千人針、寄せ書き、出版物、写真が並んでいます。これらのものは近所に蔵を取り壊すところがあると佐藤先生が出向いて行って譲ってもらったり、「うちにこんなものがあるのだけどいる?」と寄贈されたものです。もう少しで捨てられてしまうかもしれなかったんですね。
膨大な個人コレクション
後世の人のために懸命に尽力した人が日本各地にいらっしゃいますが、佐藤先生のように一般の方が個人的に、これだけの数を蒐集されたのはすごいですね。こういう熱心な先生がたくさんいるといいなあ。
別館では企画展を開催
白石人形の蔵は、別館もあります。こちらは本館と体面する形で建っている蔵。1階フロアは企画展のスペースになっていて、年に数回展示物の入れ替えがあります。私が訪れた時には五月人形展をやっていました。
明治時代の米問屋の倉庫
この蔵は明治時代の米問屋の倉庫として使われていました。見上げると思った以上に天井が高くて驚きます。昔はここにぎっしり米が蓄えられていたのでしょうか。天井にはひらひらと昔の着物が下がっていました。
市松人形がズラリ!
階段をあがると息を飲むような光景が! 人形の蔵という名前の通り、美しい市松人形が所狭しと並んでいるんです。色とりどりの着物を着ていて華やか。でもこの手の人形が怖いって人にとっては背筋がぞっとするコーナーかも……。
2009年に急逝された佐藤先生
佐藤先生はお元気に活躍されていたのですが、2009年の05月11日に急逝されました。教育熱心で地元の方々に愛された佐藤先生。その精神は人形たちが後世に引き継いでくれることでしょう。(2014年05月06日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
白石人形の蔵(しろいしにんぎょうのくら)
住所 :宮城県白石市城北町4-18
電話 :0224-26-1475
時間 :10:00~16:00
休館日:水曜
入館料:大人400円
駐車場:無料
関連URL:白石・人形の蔵 公式ページ