動いているSLは日本各地にありますが、私が乗ったのは日本最古の1874年(明治7)製。なんと約140年前の蒸気機関車です。愛知県犬山市の博物館明治村へ、いざ出発進行ー!
山まるごと明治時代の野外博物館
愛知県犬山市の博物館明治村は敷地面積100万平方メートルという広大な土地に、明治時代の建物を移築・復元した野外博物館。山まるごと一つが明治時代というダイナミックな施設です。
老朽化のため2010年12月から運行休止
でも大変残念ことに明治村の蒸気機関車と路面電車が、老朽化に伴う車両点検のため、2010年12月20日より運行休止になってしまったのです。運転再開の見通しも立っていないとのこと。
あれ? そんなに人がいない……
大慌てで明治村まですっとんで行きましたよ。訪問日は2010年の12月18日。最後の週末だし名残を惜しむ鉄っちゃんでごったがえしているかと思いきや、全然人がいない。あれ? 鉄ちゃんは博物館の中で運行してる蒸気機関車には興味ないのかな?
とうきやう駅へ行ってみると
北口入ってすぐのとうきやう(東京)駅へGO。ラッキーなことに、2号ある蒸気機関車のうちの古い方、1874年製の12号が停まっていました。この時代の蒸気機関車はちっこくて可愛いですね。
明治人の度肝を抜く陸蒸気
明治時代、蒸気機関車は陸蒸気(おかじょうき)と呼ばれていました。歴史の授業で先生は、福沢諭吉が陸蒸気という言葉を作ったとか言ってましたが、本当かどうかは不明みたい。ウィキペディアには、蒸気船に対して作られた言葉とありましたよ。
昭和時代の蒸気機関車に比べて小さいと思いましたが、明治の人たちは度肝を抜かれたでしょうね。
私も明治時代の格好で探訪
この日は明治時代の女性の髪型と着物ででかけました。レトロな長羽織と花柄の着物に『はいからさんが通る』の花村紅緒さんの髪型です。明治村は着物のイベントがよく開催されるので、和服姿で訪れる方も多いんですよ。
汽笛の音にどよめく
発車時間が近づくと、パラパラと人が集まってきます。カメラやビデオを持っている人も多いですが、鉄道マニアってわけではないみたい。ピーッという甲高い汽笛の音がなると乗客の間で「おおーっ」という溜息が漏れます。
逆さまに書かれた文字もレトロ
明治村の蒸気機関車は明治村とうきやう駅と明治村なごや駅間の約700メートルを往復しています。なごや駅は「やごな」と今の書き方とは逆方向に書かれていて、明治の雰囲気たっぷりです。懐かしい感じがしますね。
見所はターンテーブルの方向転換
ここ明治村の蒸気機関車の一番の見所は、ターンテーブルの方向転換です。2つの駅を行ったり来たりですから、駅に着いたら逆向きになる必要があるんですね。写真のように、円形に地面がくり抜かれていて、その上の線路が可動式になっているのです。
180度ぐるりとまわる
機関士さんが線路に飛び降りて、ターンテーブルの両側にあるレバーを持ちます。ゴゴゴゴという音がして、機関車がゆっくりターンします。180度回ってこちらを向いてピタリと止まり、またこちらに向かって走り出します。
動画で見る蒸気機関車方向転換
動画でも撮影しましたのでどうぞご覧になってください。汽笛の音がなんとも素敵でしょう? 意外に素早く方向転換するんですよ。ホームで眺めている乗客のみなさんも思わず拍手。
尾西鉄道蒸気機関車1号
さてところ変わってなごや駅から東に10分ほどあるいた所にある六郷川鉄橋です。ここには尾西鉄道蒸気機関車1号が野外展示されています。1897(明治30)年、アメリカ・ブルックス社製の蒸気機関車です。尾西鉄道は1925(大正14)年に名古屋鉄道と合併したので、名古屋鉄道所属となりました。
機関室も見学可能
階段が設けられているので、機関室に入ることもできるんですよ。気分は機関士。快晴の青空のもと汽車は走るよどこまでも〜♪
ちびっ子に大人気の機関室
こちら機関室の内部。メカメカしさがたまりません。この蒸気機関車は男の子たちに大人気で、中の機械をいじる順番がなかなか回ってきません。お子様優先。辛抱強く将来の鉄道マニアに混じって並びました。
ぽつんと寂しそうな錆びた蒸気機関
こちらは園内にぽつんと置かれていたかつての蒸気機関車。雨ざらしなので全体が錆びてます。なんだか悲しくなってきますね。蒸気機関車を運休してしまうのは本当に残念。
一度止まってしまった機械を再び動かすのは、ずっと動かし続けているよりも難しいものです。もうここで再び蒸気機関車に乗ることは今後ないのかもしれません。
映画・ドラマの撮影で活躍
明治村ではしょっちゅうテレビや映画のロケが行われています。明治時代の駅のシーンではこの蒸気機関車も何度も活躍しています。映画会社、テレビ局も明治村で動く蒸気機関車が撮影できないとなると、今後はロケハンに苦労するのではないでしょうか。
さようなら蒸気機関車
愛知県民は子供の頃に遠足で訪れたことがあるはずです。蒸気機関車がなくなるというと、しみじみとした思いになる方も多いことでしょう。最後に乗車できて本当に良かった。さようなら蒸気機関車。長い間おつかれさまでした。(2010年12月18日訪問)【麻理】
追記:その後の明治村・蒸気機関車(2010年12月23日)
再び12月23日(木)にも行ってみました。パンフレットはすべて刷り直されて「蒸気機関車は運休」の文字。時刻表があった場所も「現在運休中」の看板がかかっていました。ホームにたたずむ三等車。機関車は車庫の中でじっとしていました。のんびり余生を過ごせるといいね。(2010年12月23日訪問)【麻理】
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参考文献
地図&情報
博物館明治村(はくぶつかんめいじむら)
住所 :愛知県犬山市字内山1
電話 :0568-67-0314
休業日:火曜日・年末年始(季節によって変動するので要確認)
時間 :09:30~17:00(季節によって変動するので要確認)
入場料:大人2000円(乗り物料金別)
駐車場:有料500円(季節によって変動するので要確認)
関連URL:博物館明治村