アメリカ合衆国アリゾナ州に広がる広大な大地、グランドキャニオン。そんな風景が愛知県瀬戸市にあるのをご存じですか? その名も瀬戸グランドキャニオン。でも以前とは違った光景に。
広大な陶土採掘場
Googleマップの航空写真をご覧あれ。空から見てもかなり巨大なことがお分かりになるのではないかと。これ一体何かと申しますと、瀬戸もの、つまり陶磁器の陶土採掘場なんです。
瀬戸物と言ったら、瀬戸
夏目漱石の『坊ちゃん』の主人公も「瀬戸で出来る焼物だから、 瀬戸と云うのだそうだ」って言っていますよね。陶磁器の代名詞となっている瀬戸は、このだだっ広い採掘場が支えているんです。
一望を見渡せる場所が全くない
でも、なんたることか! この絶景を見渡せる場所は全くなく、周りは立入禁止の場所ばかりで鉄条網や木々に邪魔されほとんど見ることが出来ません。お土産屋さんで地元の人に聞いても「瀬戸キャニオン? 初めて聞いた」なんておっしゃるぐらい。瀬戸市も観光資源として見ていないのです。
学生時代の写真で(しぶしぶ)
これだけはやりたくなかったけれど(再訪した地でも初めて訪れた気持ちでレポートしたいから)、私が学生時代に撮影した写真を掲載いたします。当時はここまで近づくことができたんです。どうです、この素晴らしい眺め!
危険なのは分かるけど……
ところが近年採掘場ギリギリまで宅地化が進み、周りは高い柵に覆われてしまいました。危険だというのも分かりますが、瀬戸物の歴史も学べる観光資源になると思うのになあ。安全な展望台を作るとか、ツアーを組むとかもうちょっと観光地として盛り上げてもいいんじゃないでしょうか。
わずかに覗ける場所は2ヶ所
観光協会の方のお話では、ちらりと覗けるところが2ヶ所あって、一つは冒頭の写真の部分、暁町西町の信号の辺り。もう一ヶ所は窯神(かまがみ)神社の北側。神社の後ろ側にまわったところ。窯神神社は瀬戸焼の発展を支えた磁祖・加藤民吉を祀った神社です。
木が生い茂っていない冬がお薦め
しかしこの時期は木が生い茂ってほとんど見えません。冬に来る方が良いですね。「web-setomono/瀬戸だより※リンク切れ」様のサイトによると、1955年公開の松竹映画『青銅の基督』のロケ地となっており、なんとあの大女優・山田五十鈴先生もいらっしゃっているんですよ。確かにスペクタクル映画のクライマックスにはぴったりです。
映画のロケ地として使われたことも
本家グランドキャニオンと比べるとややスケールは小さいものの、瀬戸キャニオンはそれでも人の心を打つ風景です。この記事を読んだあなたにもそんなワクワク感を味わっていただきたかったんです。しょんぼり。(2008年06月15日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
窯神神社(かまがみじんじゃ)
住所 :愛知県瀬戸市窯神町112
電話 :0561-82-0812
時間 :参拝自由
駐車場:なし