岐阜県の宗休寺には日本唯一という卍型の戒壇めぐりがあります。本堂の地下、卍型の迷路のような暗闇を手探りで進み、壁の錠前を触ると極楽浄土へ行ける、願いが叶うとされています。
暗闇の中、錠前を探す戒壇めぐり
戒壇めぐりとは本堂などの地下が密閉された通路になっていて、真っ暗闇を手探りで進む参拝方法です。一番有名な戒壇巡りといえば長野の善光寺でしょうね。私も昔行ったことがありますが、観光客がいっぱいで賑やかな戒壇巡りでした。
お寺の体験型アミューズメント
暗闇は死の世界や現世での修行を、錠前は仏道の悟りを、そして出口に見える光は生の世界や極楽浄土を思わせます。昔の人にとって戒壇めぐりは体験型アミューズメントとして人気だったのでしょう。現代人が遊園地で楽しむように、真っ暗闇の中「錠前を探しだせ!」というミッションにワクワクしたのでは。
暗闇の道をたどって心身を清める
さて、宗休寺の戒壇巡り。長さは49メートル。古くは僧の内観(自己を知るための修行法)行の場と言われ、暗闇の道をたどることによって心身を清め、極楽浄土を実現するという信仰から生まれたそうです。もちろん錠前もあります。戒壇巡りのある建物には卍の字が刻まれています。
目を開けているのか閉じているのか
拝観料を支払って出発。中は目を開けているのか閉じているのか分からないほどの真っ暗闇。壁を触っていないと不安でしかたないほどです。自然と姿勢はへっぴり腰。
やっぱり戒壇巡りは一人がベスト
長野善光寺の戒壇巡りは人がいっぱいで、おばちゃん観光客ご一行様が「●●さーん、こっちよー。鍵あった!」などと叫ぶもんですから、雰囲気も何もあったもんじゃなかったんですが、私一人ということもあってかなり怖い。でもこの不安感が良いんですな。じょ、錠前はどこ〜?
実際の構造は?
迷路みたいで面白かったです。実際の構造がどうなっているかは、宗休寺を訪れた時のお楽しみということで内緒。どうしても知りたいという方は「日本すきま漫遊記」様の宗休寺レポートが詳しいので行ってみましょう。
カラフルなご本尊の阿弥陀如来
本堂の大仏殿・摂取殿は関市の重要文化財。ご本尊の丈六阿弥陀如来は木像仏として県下最大(約5m)です。500年前の作とのことですが、鈍く光る黄金色の仏様はカラフルな布に囲まれて華やか。もともとは岩手県平泉中尊寺にあったものです。
十王堂も味わいがある
本堂の横の十王堂。閻魔大王を中心とした地獄の王たちです。それぞれ独自の道具を持っていて、死者の罪の重さを計るのです。極彩色に塗られていますね。渋い色味の仏像と比べて十王堂の像は、比較的彩り鮮やかなものが多いようです。大阪の全興寺もそうでした。
おびんずる様なでなで
かっと目を見開いた仏像はおびんずる様(賓頭盧尊者)。十六羅漢の一人で人びとを救うために涅槃に入らず、病の人びとをいやした方です。おびんずる様を撫でた後、自分の体の悪いところをさすると治ると言われています。ぎょろりとした目が愛嬌ありますね。(2007年09月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
宗休寺 関善光寺(そうきゅうじ・せきぜんこうじ)
住所 :岐阜県関市西日吉町35
電話 :0575-22-2159
時間 :09:00~17:00
休業日:年中無休
拝観料:大人300円
駐車場:無料(30台)
関連URL:岐阜県関市の安産祈願、子授け祈願、厄除け祈願、水子供養 – 関善光寺(宗休寺)