岐阜県高山市は祭屋台(山車)のからくり人形で有名。そこで日本唯一のカラクリをテーマにした博物館、からくり上演館・飛騨高山獅子会館からくりミュージアムを見学しました。
一年中飛騨の匠のからくり技を見られる
獅子会館という名称は、祭りをテーマに全国から集められた獅子頭300点が展示されているから。でももちろん目玉はからくり。お祭りの期間でなくても一年中飛騨の匠のからくり技を見られるお得スポットなのです。
和時計師・津田助佐衛門
からくり人形は1600年代の始め、徳川家お抱えの和時計師・津田助佐衛門によって尾張の地で誕生しました。津田助佐衛は日本で最初に時計を作った人です。日本の職人はヨーロッパからの舶来品・西洋時計に使われたゼンマイ、歯車、カム、クランクなどを見てからくり人形に応用しました。
井原西鶴が「茶をはこぶ人形の車はたらきて」と詠んだように、江戸時代の人びとは生きているように動く人形に興味津々でした。
東海地方で多く見られる山車からくり
時計作りのからくり技術と大阪・竹田近江のからくり人形芝居の仕掛けが融合してできたのが山車の上で動く人形。岐阜、愛知などの東海地方で多く見られる山車からくりに発展していったのです。
空中ブランコのように舞う
いよいよからくりの上演。舞台でスポットライトを浴びた角兵衛獅子がサーカスの空中ブランコのように次々と綾から綾へと渡っていきます。これは放れからくり。ぐるりぐるりと回って、がっしり綾をつかみます。最後なんぞは大サービスの大車輪。
牛若丸の乱杭渡り
お次は弁慶と牛若丸の棒からくり。京の五条の橋の上~♪ と童謡に歌われるように牛若丸が乱杭渡りをします。杭に足をかけるたびにぐわんぐわん揺れますが、しっかり足下を確かめながら確実に登っていきます。
獅子舞に茶運人形も
この棒からくりの公開は日本では獅子會舘だけの出し物。この他にも糸からくりで演じられる大黒様の獅子舞、座敷からくりの茶運人形なども演じられます。ああ、動く人形ってのはなんてワクワクするんでしょう!
あたたかみを感じる日本のからくり
1770年代にスイスのピエール・ジャケ・ドローが息子のアンリ・ルイとともに精巧な筆写人形を作っています。金属の歯車やシリンダー、カムがぎっしり詰まった胴体はメカ好きの心をときめかせる造形。一方、木や絹糸、鯨のヒゲなどでできた日本のからくりは温かみや優しさを感じます。どちらも捨てがたい魅力です。
さて、恵比寿様が書いた文字は?
最後の恵比寿様の文字書きからくりがすごい。ジャケ・ドローの人形のように筆で字を書いてくれるんですよ。文字を書いた紙は観客の1名様にプレゼントされます。欲しいのはやまやまでしたが、女子小学生がいたので譲りました。
やっぱり獅子頭よりからくり
つけたしのようになってしまって申し訳ないのですが、上演の後は獅子頭や美術品をざっと眺めて見学終了。でも仕方ないって。それほどからくり人形の方が面白いんだもの!(2007年10月21日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
飛騨高山獅子会館(ひだたかやまししかいかん)からくりミュージアム
住所 :岐阜県高山市桜町53-1
電話 :0577-32-0881
時間 :09:05~16:45(10月日~4月20日は09:00~17:00)
休館日:年末年始、不定休
入館料:大人600円
駐車場:無料(7台)