岐阜県美濃市で毎年2回、4月と11月に行われる大矢田ひんここ祭りは脱力系のヘタウマ人形が演じる蛇退治の人形劇が見どころです。手作り感満載の11月のお祭りを見物してきました。
そんなに有名なお祭りなの?
大矢田神社に近づくとかなり渋滞しています。そんなに有名なお祭りだったの? と首をかしげていると、どうやら観光客の目当ては同日、同場所にて行われる秋のもみじ祭りだったようで。確かに紅葉シーズンですもんね。屋台もたくさん出ていました。
500年前から続く伝統ある人形劇
会場に行ってみるといます、いますよ。主役の人形たちが。なんというアバウトな作り。でもひんここ祭りは室町時代、500年前から続く伝統ある人形劇で五穀豊穣を祈るお祭りです。こう見えても(?)平成11年に国の無形民俗文化財に指定されています。
小学生的プリミティブセンス溢れるデザイン
この人形が良い味出してるんですよね。言っちゃあなんですが、そのデザインは小学生的なプリミティブセンスに溢れています。人間なんぞは真っ茶色に塗られた張りぼての肌に折り紙で作ったような雑な目鼻が貼りついています。
子供がクレヨンで描くような顔
幼き日にクレヨンで描いた人間さんを彷彿とさせる人形たちは、なんともおまぬけでユーモラス。見ている観光客も自然と頬がゆるんでいるようです。11時30分になって、お祭り開催のアナウンスが響きました。
小高い丘の上に人形劇の舞台が
祭りの半纏を身につけた男性たちが、人形を持ち上げて歩き始めました。お囃子にのってゆっくり行進していきます。いったいどこへ行くのかと思ったら山の上。見ると小高い丘のところに幕が張ってあります。これが人形劇の舞台なのね。もうちょっと近いと見やすいのだけどかなり遠い……。
ひんここの舞、ストーリー
ひんここの舞のストーリーはこんな風。
最初は袮宜殿(ねぎどの)が舞います。これは観客の罪や汚れを祓い清める舞。しばらくして農民たち登場。麦まきをしているところへ大蛇が現れて農民を次々と呑み込んでいきます。そこへ颯爽とかけつけるヒーロー・須佐之男命(すさのおのみこと)。
須佐之男命の大蛇退治
この須佐之男命は最初に出てきた袮宜殿と同じ人形です。丁々発止と斬り結び、見事大蛇を退治します。……以上。ええっ! ちょっと、呑まれた農民は? お腹を裂いて助け出すとか無し? なんか農民、呑まれ損だなあ。カワイソ。
お客さんの前で一同礼
30分ほどであっけなく劇は終了しました。舞台を見上げる観客からは盛大な拍手。人形たちもまた山から下りてきました。するとみなさんカーテンコールのように一列に並んで一同礼。またまた盛大な拍手。あたたかい雰囲気です。
ところでひんここって何?
近くで見ると農民はヒゲやホクロなどあって個性的な顔をしています。観光客も一緒に写真を撮ったりして人気者でした。ところで「ひんここってなんだろう?」と思いません? 一説にはお囃子が「ヒンココ、チャイココ、チャイチャイホーイ」って聞こえるからみたいですよ。(2007年11月23日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
大矢田ひんここ祭り(おやだひんここまつり)
住所 :岐阜県美濃市大矢田2596 大矢田神社
電話 :0575-33-1122(美濃市観光課)
日にち:(春)4月第2土曜日の翌日の日曜日(秋)11月23日
入場料:無料
駐車場:有料