愛知県の犬山焼徳利盃館館長・土田晃司氏は自らの徳利(とっくり)コレクションを博物館化するという、収集家の夢を実現された方。1800点もの徳利がひしめく部屋に圧倒されました。
どうみても普通の民家ですが……
観光パンフレットの「300年前に始まった犬山焼の徳利を集めた、全国的にも珍しい博物館」という文章が目にとまり、行ってみてビックリ。どう見ても普通の民家です。一応小さな「犬山焼徳利館」という看板があるのでここみたいだけど……。
奥へ進むとプレハブの建物が
不安に思いつつ足を踏み入れると、予約の電話でお話をした女性が出てきてくださいました。この方は犬山焼徳利盃館館長・土田晃司氏の娘さん。どうぞどうぞとうながされて奥へ進むとプレハブの建物が。確かにここが犬山焼徳利盃館のようです。
マニアのお宅訪問
中に入って二度ビックリ。所狭しと徳利が並んでいます。これは博物館見学というよりも「マニアのお宅訪問」と言った方がふさわしいでしょう。個人の趣味のお部屋にお邪魔している感じ。
犬山焼を中心に個人でコレクション
館長さんは外出中とのことで、娘さんにお話を伺うことができました。この博物館に集められた徳利は1800点、盃(さかずき)は700点、その他の犬山焼1000点、美濃焼500点。これらぜーんぶ土田館長が個人でコレクションしたもの。犬山焼は紅葉や桜など雲錦(うんきん)と呼ばれる模様で知られます。
ご家族はどう思っているのか?
ここまで集めるのに40年もかかったそうです。私がコレクターのご家族に必ずする質問を娘さんに聞いてみました。「コレクションに関してご家族はどのように思っているのでしょうか?」。だって他の蒐集家のご家族は苦い顔をなさっていることが多いから。
家族が気づかない間に……
でも意外や意外。「集めていることを知らなかったんです」。なんでも美術教師として勤める傍ら、家族にも告げずにコツコツと蒐集していて、気がついた時には膨大な数になっていたんだとか。なんと、この手があったか!
一つ一つはそれほど高価ではないみたい
その資金はいったいどこからときくと、犬山焼は骨董ではなく日用品なので、高くても1000~2000円で買えるのだそうです。またはお手頃なお値段の古い徳利をのみの市で見つけてきたり。解説も丁寧に手書きで書かれていて、元美術教師というご職業ならではだと思いました。
コレクターにとっての究極の夢
お茶とお菓子をいただきながら、のんびりとコレクションを拝見しました。親戚のおじさんの家に遊びに来ているような憩いの空間。きっとここは館長さんの夢のお城なんだろうなあ。コレクターにとって、蒐集品ぎっしりの部屋で過ごすのはロマンなんだろうなあ。
温かみのある犬山焼徳利
犬山焼の徳利は日用品であるため割れたりしたものが多く、最近はなかなか見つからないそうです。生活の中で愛されていた温かみがあり、名も無き職人の素朴な技が光る、素敵な焼き物だなと思いました。館長さんとご家族の愛情を感じるミニ博物館でした。(2007年11月23日訪問)【麻理】
追記:2012/07/17
『犬山焼徳利盃館』を紹介したケーブルTVの映像が見つかりました。ぜひご覧あれ。
参考文献
地図&情報
犬山焼徳利盃館(いぬやまやきとっくりさかずきかん)
住所 :岐阜県可児市塩河3431
電話 :0574-65-6416
時間 :09:00~21:00(要予約)
休館日:年中無休
入館料:無料
駐車場:無料(5台)
関連URL:『犬山焼徳利盃館』