岐阜県の桶がわ祭りは通称乞食祭りと呼ばれています。名前のインパクトに惹かれて岐阜県加茂郡川辺町を訪れました。神棚の前の座っているのは乞食っていうかホームレス!?
お祭りの時間に間に合わない!
美濃加茂市を目指していると途中事故で大渋滞。午後1時に着くはずが到着したのは2時過ぎ。開催地の縣神社(あがたじんじゃ)へと急いでみるとお囃子も全く聞こえず、もう終わっちゃったのかとがっくり。でも祭りはこれからでホッとしました。
お囃子も太鼓もない静かなお祭り
実はお囃子など鳴り物がまったくないお祭りだったんですよ。いったい主役はどこかなと探すと、いたいた! 斎場の真ん中にちょこんと座っています。乞食の姿に驚く様子もない地元の方々。非ネイティブ地元民からすると違和感がありまくりなんですが。
ボロボロの服を着た異様なルックス
ボロボロの服に、真っ黒な顔、ボサボサ髪の異様なルックス。まごうことなき乞食姿です。隣には同じくボロ着の乞食人形が座っています。コモの上にはお供え物の食べ物。そして千円札がどっさり入った金属製の壷も。
【動画】厄年の男性が扮する乞食
話しかけても構わないとのことでしたのでインタビューしてみました。この方は地元の厄年の男性なのですが、以前は実際に活動されている乞食のみなさんがお祭りに呼ばれていたそうです。今はちゃんと「乞食衣装セット」が用意されていて毎年それを着るんですって。
【動画】川辺町に伝わる民話
江戸時代の中期、この村に一人の乞食が訪れました。飢饉が予想される年でしたが、村人はこの乞食に施し物をして親切にしていました。すると不思議なことにその年は豊作となりました。やがて「乞食は神様の使いではないか」と噂されるようになりました。村人がお礼を言おうと乞食を捜すと、どこにもその姿は見あたりませんでした。以来、お祭りにはたくさんの赤飯を炊いて乞食に振る舞うようになったそうです。
民俗学のマレビト信仰とは
これは民俗学で言うマレビト信仰なのでしょうね。マレビトというのは村の外からやってきて、厄災または幸福をもたらす人物のことです。マレビトをもてなすのは厄災を避け、幸福をもたらしてくれるよう祈る意味があるのでしょう。
お赤飯をかついでわっしょい・わっしょい
午後2時半になってコモの上にビニール袋が敷かれ、人が集まり始めました。いよいよメインイベント。赤飯がたっぷり入ったたらいを男衆がわっしょいわっしょいとかつぎ、鳥居と乞食の間を何往復もします。
大混乱の赤飯争奪合戦!
わーっという歓声とともにたらいのお赤飯がビニールにぶちまけられました。すごい熱狂! 大人も子供も目が本気。一斉にお赤飯めがけてだいぶします。凄まじすぎる!
【動画】お赤飯めがけて老いも若きもダイブ
このお赤飯を食べると御利益があるというので、老いも若きももう大変な勢いでお赤飯をつかみ合っています。押すな押すなの大混乱。人が積み重なって壮絶な争奪戦を繰り広げています。ちょ、お赤飯どこ!?
あたりは米粒が散らばるのみ
20秒ほどしてやっと人垣から覗くと、すでにたらいはからっぽ、ビニールの上にはパラパラと米粒が残るのみ。意外にヨロヨロした老人が両手一杯にお赤飯を持って食べてたりします。あなどれん。私は一粒も取れなかった。
もち投げでおもち大量キャッチ
壮絶な赤飯争奪合戦に唖然とするばかりでしたが、その後に行われたもち投げは、ポジションが良かったのか大量キャッチ。縁起物をいただいて、ホクホク顔で帰りました。(2006年04月01日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
縣神社(あがたじんじゃ)・桶がわ祭り・乞食祭り(こじきまつり)
住所 :岐阜県加茂郡川辺町下麻生 縣神社(県神社)
電話 :0574-53-2511(岐阜県川辺町役場)
開催時期:4月1日