虹の泉は、陶芸家・東健次氏がたった一人で作り続けている芸術的な庭園。まるで夢の中にいるような幻想的な風景です。1978年から30年近く、今も建設中という壮大なガーデンです。
ああ、東さんにお話をうかがいたかった
いったい何のために? どうして三重県の山深いこの地で30年近くも? いったいいつ完成するの? 私はワクワクしながら山道を急ぎました。しかし残念ながら東さんがいらっしゃいませんでしたので、入場料を置いて見学させて頂くことにしました。お話をうかがいたかったなあ。
諸星大二郎のマンガが現実になったような
ここは三重県珍スポ旅行で最も楽しみにしていた場所。なぜなら『東海発バカルト紀行』に「諸星大二郎のマンガが現実になったような」と書かれていたから。私は子供の頃から諸星大二郎先生の大ファンなんですよ。
むしろグロッタや怪物公園的かも
実際に訪れてみると強烈な個性、オリジナリティを感じて驚きました。確かに諸星的雰囲気はあり、なるほどと思いましたが、私の心に浮かんだのはイタリアのグロッタや怪物公園でした。
イタリアの貴族が作った人工洞窟や奇想天外な庭
グロッタって知ってますか? イタリア語で洞窟(grotto)を意味する言葉。グロテスクの語源と言われています。16世紀のイタリアでは大貴族が莫大な費用をかけてグロッタという人工的な洞窟を建設したんです。洞窟内には女性の裸体像や妖精・神々の人形、豪華な噴水や泉が作られました。または怪物公園のような奇妙奇天烈な庭造りも流行しました。
身をくねらせる男女、天使のささやき
地の底からわき出たような雲がびっしりと地面を覆い尽くし、いかめしい顔の巨人が辺りを見回しています。身をくねらせた男女は木々の化身でしょうか。天使たちが笑い、ささやき、くつろいでいます。極彩色の花々。道に敷かれた色とりどりのタイル。
身をくねらせる男女、天使のささやき
360度、どこを向いても陶器でできた彫像やオブジェがぎっしり。地面にもいたるところに作品が置かれているので気をつけて歩かねばならないほど。これだけのものをたったひとりで……。素晴らしすぎます。
あまりの奇抜さに頭がくらくら
きっと昔のイタリア貴族が見たら「ぜひ我が庭にも!」と目を輝かせるでしょうね。匂い立つような官能に心がざわめき、あまりの奇抜さに頭がくらくらしてくるようです。なんて幻想的な場所なんでしょう。夢の中を歩いているかのよう。
実際のところ難しい技術なのでは
人形はパーツごとに焼いて、あとでパズルのように組み立てて作られているようです。私は陶芸について知識がないのですが、焼いたときに土が収縮するでしょうし、これは大変に難しい技術じゃないでしょうか。
今後も広がっていく幻想の庭園
しかもこの庭がまだまだ製作途中というのに驚きました。地面がむき出しの部分も陶器の板が敷かれつつありのが分かります。これからも幻想の庭は拡大していくのでしょうね。
いつか東さんにお会いしたい
建設資金は入場料と、見学者の作品を展示するイリスの壁という作品の参加料でまかなっているそうです。でもそれで資金が足りるのかしら、雨ざらしだし壊れたりしないかしらと心配です。またぜひここを訪れ、東さんにお会いできるといいなあ。(2006年11月26日訪問)【麻理】
追記:2017年08月29日
虹の泉のお近くにお住まいのYさんより情報をいただきました。Yさんが2017年08月27日に訪れたところ現地に情報が提示されていたそうです。
◆一般公開 (2017年11月まで)
日時:11月までの毎月第2・4日曜日 10:00〜16:00
入場料:無料 (※維持管理のため募金を受け付けます)
◆団体受付 (20名以上)
申込:波瀬むらづくり協議会 事務局(0598-47-0321)
それ以外の日の申し込みは波瀬駅(0598-47-0828 波瀬駅公式サイト)に連絡すれば対応してもらえるそうです。
大変貴重な情報をありがとうございます!
参考文献
地図&情報
虹の泉
製作者の東健次氏が2013年05月22日に74歳で急逝されました。素晴らしい作品を作り続け、私たちに感動を与えて下さった方でした。ご冥福をお祈りします。(「追悼・東健次さん - 陶芸空間・虹の泉」: 山林舎HPだより)住所 :三重県松阪市飯高町波瀬
電話 :0598-47-0828(波瀬駅)
時間 :09:00〜16:00
休業日:不定休
入場料:大人500円
関連URL:陶芸空間 虹の泉