三重県の熊牧場は以前よりもさらに寒々しく、悲惨な状況になっていました。これほど胸の痛む場所があるでしょうか。訪れたのを後悔する気持ちでいっぱいです。2013年に閉鎖。
寒々しく寂しさ漂う場所
実はここを紹介するべきか否か最後まで迷っていたのですが、いろいろ考えて記事を書くことにしました。都築響一氏の『珍日本紀行』にも載っている三重県の熊牧場です。日本カモシカセンターの帰り道に寄りました。

入り口の案内板には「当園の熊は昭和48年にハンターに発見され……」という内容が書かれていますがいくらなんでもそんなに長生きしているとは思えません。クマの平均寿命は20〜30年。最高寿命は47年です。(クマの平均寿命とクマの最高寿命 万物寿命事典)
ほのぼのしたスポットではない
手前左右にアイヌ犬の入ったオリがあり、奥が熊のオリになっています。三重観光協会のサイト(現在該当ページは削除)には「ここには、ツキノワグマやヒグマが飼われていて、それぞれに名前があり餌をおねだりするしぐさに愛嬌がある熊たちです」と書かれていますが、決してほのぼのした場所ではありません。
檻に入った寂しいイヌたち
アイヌ犬と書かれた看板がある檻には、イヌが一頭ずつ入っています。声をかけても近づいても全く反応がありません。まるで精気がない。どんよりと死んだような目をしています。あまり世話をしてもらっていないのか動物臭が鼻を突きます。寒そうに震えています。
あまりに劣悪な飼育環境
この狭い檻から散歩に出してもらうことはあるのでしょうか。糞尿もそのまま檻の中でしています。イヌにも喜怒哀楽があると思うのですが、彼らは無表情でぼんやりと空(くう)を見つめているだけです。非常に劣悪な飼育環境です。
冷たいコンクリートに横たわるクマ
オリは全部で6棟ありますが、クマは2匹しかいませんでした。クマの飼われている檻は地面の下の方にあり、コンクリートで四方が囲まれていて外が見えません。床は糞だらけ。クマは冷たい床にうずくまったり、横になったりしています。声をかけても無反応。寒そうです。
パンに見向きもせず全く動かない
100円でパンのエサを買って与えることができるのですが、パンを放ってもぴくりとも動きません。よく見るとクマの周りに食べ残しのパンが落ちています。パンは一袋ありましたが結局全部を投げるのが辛くてやめてしまいました。
珍スポットは自らを楽しむ努力をする観光地
私はこれまで珍スポットの良い部分に目を向けてポジティブな記事を書いてきました。有名観光地や巨大テーマパークは、プロの係員やキャストがあの手この手で楽しませてくれます。どんな人でも行けば楽しい気分になれます。
でも珍スポットは自分で面白がらなければ楽しくない観光地。私は「つまらないと思うのは自分の面白がる能力が低いせいで、珍スポットそのものがつまらないのではない!」と考えています。でも例外はあります。私はどうしてもここを楽しむことができませんでした。
ここを楽しいと思える人とは友達になれそうもない
もちろん人の価値観は様々ですから「熊牧場って楽しい!」と感じられる人もいるかもしれません。でも私はたぶんその人とは友達になれない気がします。ここは悲惨すぎる。辛い。
すぐ近くにはペットのための温泉が
この熊牧場のすぐ近くにはペットのイヌが入れる温泉があります。飼い主に愛されて元気に走り回り温泉に入っているイヌたちを見て、なんだかやりきれない気持ちでいっぱいになりました。同じイヌとして生まれてもこんなに人生(犬生)が違うのか……。何もできない自分が哀しくなります。(2006年11月24日訪問)【麻理】
追記:2013年10月
熊牧場は2012年に最後のクマが亡くなったため、2013年に閉鎖されました。熊牧場の惨状について以下のページにも書かれています。
- 日本のクマ牧場について|Sophisticate sweet Stencil
- 悲哀に満ちた熊牧場・三重県菰野町|Sophisticate sweet Stencil
- 危険覚悟!!非・動物愛護都市・三重に潜入!!~熊牧場編1~:東海秘密倶楽部 魔界ゆらゆら – livedoor Blog(ブログ)
参考文献
地図&情報
熊牧場(くまぼくじょう)
2013年に閉館しました。ご注意ください。
住所 :三重郡菰野町大字千草7093
休業日:火曜
料金 :大人200円
駐車場:無料