黄金のわくわく仏教ランド「(旧)ユートピア加賀の郷」【石川】

ユートピア加賀の郷
1987年に実業家・嶋中利男氏が280億円をかけて建設したユートピア加賀の郷。73mの巨大観音、釈迦の一生をジオラマで再現したパビリオン、金色堂の羅漢像、見るものすべてが金!

ユートピア加賀の郷は2000年に一度閉鎖。2006年に20歳の女性へのわいせつ容疑で76歳の僧侶が逮捕されました。2009年に「密教禅大本山豊星寺」と名前を変え、一時はタレントの織田無道氏が住職となりましたがが従業員への給与未払いなどで閉鎖。その後「観音院加賀寺」となり、2016年からはよろこび家族の和=天華の救済が運営し、2018年現在は「天空聖陵 加賀の郷」となっています。(※追記をお読みください)

総工費280億円をかけたバブルテーマパーク

ユートピア加賀の郷
ここは遊園地、温泉、宿泊施設、レストランがそろったテーマパークでした。1987年のバブル時代、日本中が狂ったようにいくつもテーマパークを建設したんです。お客が来るぞ、ジャンジャン儲かるぞって。

仏教をテーマにした夢の王国

ユートピア加賀の郷
数あるテーマパークの中でも、ここは仏教をテーマにしたということで異色でした。それも巨額をつぎ込んだ、豪華絢爛な仏教ランド。きらめく黄金。まばゆい仏像。「見よ、これが御仏の尊さなり!」と衆生(しゅじょう)を圧倒せんばかりのわくわくするような夢の王国。

お釈迦様のジオラマは2017年現在照明が切られており真っ暗です。

見るものすべてが金!

ユートピア加賀の郷
私が訪れた時はとっくにバブルは崩壊していましたが、それでも夢の残滓(ざんし)はまだありました。全長73メートルの巨大ゴールド観音、お釈迦様の一生をジオラマで再現したパビリオン、金色堂の羅漢像、瑠璃光殿の五重塔、見るものすべてが金!

2017年現在、瑠璃光殿の照明はなく、三階の仏像も撤去されています。金色堂も入れなくなっています。

窒息しそうなほど強烈な空間

ユートピア加賀の郷
加賀三十三間堂には1189体の千手観音が25段94列にわたって安置。4階建に相当する天井の高いホールにびっちり並んでいます。手前には鏡があるので実際よりも千手観音はずっと多く見えます。めまいがし、窒息しそうなほど強烈な空間でした。

その変貌に唖然とするばかり

ユートピア加賀の郷
しかしオープンから20年近くが経った今、その変貌には唖然とするばかりです。扉のガラスは割れ、蜘蛛の巣がはり、すっかり色あせてしまいました。遊園地もレストランも閉鎖。かろうじて温泉だけが営業している状態です。世界一の梵鐘佛堂はそれほど変化がなさそうですが、建物はボロボロ。

2017年現在宿泊施設の観音温泉ホテルは廃墟と化しており、温泉も営業していません。

あれ、こんなだったかな?

ユートピア加賀の郷
だからどこを見ても「あれ、こんなだったかな?」と首をかしげてしまうんです。当時の豪快な風情からするとあまりにしょぼくれているような気が。

ゴージャスな迷走っぷりが面白かったのに

ユートピア加賀の郷
もちろん珍スポットは、年月が経ってさびれるほど良い味が出てくる場合もあります。でもここはゴージャスな迷走っぷりが面白かっただけに、現在はシャレにならないほど寂しさが漂ってしまっています。

昔を偲びつつ、胎内めぐり

ユートピア加賀の郷
閉鎖したホールをガラス越しに覗くと、仏像が二体ポツンと置かれていました。なんとも寂しい。まだ私には「侘び寂び」として楽しむには修行が足りないようですね。昔を偲びつつ、胎内めぐりができる大観音にのぼってみることにしました。

2017年現在、大観音の胎内巡りはできません。

心臓バクバク、膝カクカク、汗ダラダラ

ユートピア加賀の郷
中は電気が消えていて真っ暗! 怖い! そして苦しい! めちゃくちゃ息切れが。延々続く階段が、もお、辛いのなんのって。心臓はバクバク、膝はカクカク、汗はダラダラ。何度やめて引き返そうと思ったことか。

変わったのはユートピア加賀の郷だけではない

ユートピア加賀の郷
頂上でへたりこみながら、一生懸命思い出そうとしました。でも学生時代にのぼった時、苦しかった想い出なんて1ミリも出てこないんです。ユートピア加賀の郷だけでなく私自身もすっかり変わってしまっていたのでした。昔は若かったんだなあ。トレーニング真面目にやろっと。(2006年07月22日訪問)【麻理】

追記:2012年10月10日

石川県在住のS様より情報をいただきました。画像もS様に送っていただいたものです。ユートピア加賀の郷→密教禅大本山豊星寺→観音院加賀寺とダイナミックに名称が変遷。閉鎖と再オープンを繰り返すユートピア加賀の郷。いったいどこへ向かって行こうとしているのでしょうか……。S様情報ありがとうございました!

添付しました、チラシのとおり観音院加賀寺として今も細々と運営していました。ただし職員は2人ほどで、観音立像の中もクモの巣が貼っていたりお世辞にも整備されているとは言えない状態でした。平日でしたが私以外は1組みの夫婦の来場者がいるだけで寂しい状態でした。それでも昔、日本珍スポット100景で見ていたので、今回たまたま近くを通りかかっただけですが、見に行ってしまいました。

ユートピア加賀追記
ユートピア加賀追記

追記:2017年11月22日

ツイッターでいただいた情報により調べてみたところ、(旧)ユートピア加賀の郷(密教禅大本山豊星寺→観音院加賀寺)は2016年に法の華三法行が名称を変更したよろこび家族の和=天華の救済が買い取ったことが分かりました。情報をいただいたHさんによると、パンフレット等の情報には「よろこび家族の和=天華の救済」が運営しているとのことです。情報をありがとうございました。

追記:2018年02月20日

名前が次々と変わっているのでややこしいですが、まとめると

ユートピア加賀の郷(1987〜2000)
密教禅大本山豊星寺(2009〜?)
観音院加賀寺(?〜2015)
天空聖陵 加賀の郷(2016〜)

ではないかと思います。引き続き調査中です。

参考文献

地図&情報

旧:ユートピア加賀の郷(ゆーとぴあかがのさと) 天空聖陵 加賀の郷

ユートピア加賀の郷は2000年に一度閉鎖。2006年に20歳の女性へのわいせつ容疑で76歳の僧侶が逮捕されました。2009年に「密教禅大本山豊星寺」と名前を変え、一時はタレントの織田無道氏が住職となりましたがが従業員への給与未払いなどで閉鎖。その後「観音院加賀寺」となり、2016年からはよろこび家族の和=天華の救済が運営し、2018年現在は「天空聖陵 加賀の郷」となっています。

住所 :石川県加賀市作見町観音山1-1
電話 :0761-73-2580
時間 :09:00~18:00
入園料:500円
駐車場:無料2000台

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