愛媛を代表する珍スポット・石手寺。珍スポミシュランがあるならば確実に三ツ星認定。四国霊場八十八ヶ所の中でも屈指の人気観光地でもあります。前後編に分けてご紹介します。
第一の顔「超人気観光地・石手寺」
石手寺(いしてじ)の第一の顔、それは「超人気観光地としての石手寺」。冒頭の写真は鎌倉時代に作られた仁王門。国宝です。重要文化財の本堂、三重塔、護摩堂、鐘楼、五輪塔──また歴史的にも仏教界的にも貴重な仏像がごろごろ。シーズンには大型観光バスがガンガン乗り付け、境内はお遍路さん、観光客でごったがえしているほどです。
第二の顔「大蛇奇談の寺・石手寺」
このブログをご覧になっている皆様には石手寺の第一の顔はあまりご興味がないかと。なので以下略。第二の顔、「大蛇奇談を伝える石手寺」をご紹介しましょう。石手寺の近くにある湧ヶ淵(湧ヵ淵:わきがふち)がその伝説の舞台です。湧ヶ淵は現在はホテル奥道後の敷地内にあります。
石手寺の大蛇伝説とは
昔、この淵には大蛇が住んでいて、人々を丸呑みにしたり、石手川を氾濫させたりしていました。苦しむ村人をみかねた石手寺の住職は蛇退治におもむき、寺宝の石剣で見事大蛇の首を切り落としたと言います。やれやれこれで安心と村人は胸をなでおろしました。
庄屋の家の妖しい下女
しかし話はこれで終わらない。ある時、村の庄屋の三好家にそれはそれは美しい女が下働きとして勤めることになりました。美しい上によく働くので重宝していたのですが、その女、夜になるとどこかへこっそりと出かけていくのです。不審に思った庄屋の主人は、念のため猟銃を持って女の後をつけることにしました。
下女の正体は!?
女は湧ヶ淵まで来ると、水の中へと入っていきます。すっかり身を沈めると、突然巨大な蛇が水面を波立たせて現れました。そう、下女の女は石手寺の住職に首をはねられた大蛇の妻で、復習の機会を狙って人間に化けて庄屋の家に入り込んでいたのでした。主人は猟銃で大蛇を撃ち殺し、村には真の平和が訪れたと言うことです。
私の頭の中の「大蛇イメージ」
私はこのお話を子供の頃、学研『ムー』で読みました。この手のお話は全国的によくある大蛇伝説。で・す・が! 私が心をわしづかみにされたのは、「大蛇の頭の骨と、住職が武器として使った石剣が石手寺に残っている」と書かれていた点です。
村人を襲う大蛇の物的証拠があるの!? 一気にテンション上がりました。えっ、あなた、上がんない? じゃあ上の動画見てみて。映画『アナコンダ』の一場面。頭の骨の実物、見たくなるでしょ?
まずは女が化身した湧ヶ淵へ
まずは、湧ヶ淵からごらんあれ。ホテルのフロントの方が湧ヶ淵への遊歩道を丁寧に教えてくださいました。全く観光客がいなくて静まりかえっている上に、うっそうとした森に日が遮られて、伝説の雰囲気そのまま。しかし歩いて15分ほどすると湧ヶ淵の手前で「落石のため通行止め」の看板が……。
残念、行き止まり
ここで女が大蛇に変化したのかな。昼間でも妖しい雰囲気なのに、よく夜中に庄屋さんはこんなとこに一人で来られたよね。真っ暗な中冷静に大蛇を撃ち抜けるとは、ゴルゴ並のスナイパーだなあ、庄屋さん。残念ですが、ここで引き返しました。
石手寺宝物館の「石剣」と「蛇骨」
こちらは石手寺の石剣です。石手寺の宝物館に納められています。石剣は長さ37.4センチメートル、幅8センチメートル、厚さは7ミリ。両刃です。市の重要文化財になっているそうです。ほほう、これで蛇の首を切り落としたのね。
あれ……?
そして、ジャジャーン! 蛇の頭蓋骨蛇骨です! あれ、なんか小さくない? 骨が乗っている木箱はだいたい10センチ四方といった感じ。私の握り拳よりもやや大きいというぐらいでしょうか。
思ったより小さい
うーん、村人を襲ったりするぐらいだから、アナコンダ並だと思ってた。いやむしろ、異人が持ち込んだアナコンダが湧ヶ淵で野生化したんだとか、勝手に盛り上がってました。意気消沈。
いやいやいや、否定はできない
いやいや、この蛇骨は二匹の蛇の一方で確かに本物だけど、もう一方の蛇はもっと大きかったという可能性も捨てきれぬ。だってYouTubeで見たし。でも十分収穫はあったからいいんです。その収穫は後編で!(つづく)(2009年05月04日・05日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
石手寺(いしてじ)
住所 :愛媛県松山市石手2-9-21
電話 :089-977-0870
時間 :08:00~17:00(宝物館・地底マントラ)
入館料:境内自由 宝物殿200円
駐車場:有料(200台)
関連URL:石手寺制作公式HP-悩み相談・駆け込み寺・四国霊場/仏教信仰遍路解説・国宝重文7点厄よけ子宝安産
ホテル奥道後(ほてるおくどうご)
住所 :愛媛県松山市末町267
電話 :089-977-1111
関連URL:【公式ホームページ】奥道後 壱湯の守(いちゆのもり)(旧ホテル奥道後)