驚異の性のコレクター・九十九黄人氏「東洋民族博物館」【奈良】

東洋民族博物館
九十九黄人氏は海外旅行が一般的でない時代に一人で世界各国を調査して珍品を集めた民俗学者&探検家&収集家。奈良県東洋民族博物館には黄人氏の貴重なコレクションがぎっしり!

黄人氏の4000本の陰毛コレクション

東洋民族博物館
黄人氏を(局所的に)有名にしたのは、あるコレクション。それはなんと4000本の女性の陰毛! 一本一本をきちんとスクラップブックに貼り付け、女性の名前、年齢、職業などを明記したラベルで分類したという凄すぎる蒐集物です。

博物館はモダンな洋館の建物

東洋民族博物館
奈良県奈良市の東洋民族博物館は九十九黄人氏が昭和3年に設立した私設ミュージアムです。ルネッサンス風の建物は当時最先端の洋館。窓にはステンドグラスがはめ込まれ、屋根には強化ガラスが張り巡らされているスーパーモダンな作りです。

黄人→エロマン?

東洋民族博物館
黄人氏のご子息で、理事長をなさっている九十九弓彦さんに展示物の解説をして頂きました。さきほどから黄人氏と御大をお呼びしているのですが本名は九十九豊勝さんです。黄人とはエロい人→エロマン→イエローマン→黄色い人というシャレでつけたもの。人を喰った御仁です。

人類学者スタール博士と共に旅

東洋民族博物館
黄人氏は独学で英語、朝鮮語、ドイツ語を身につけ、アメリカ人人類学者のフレデリック・スタール博士の通訳兼助手として日本国中を共に旅しました。スタール博士は、『菊と刀』のベネディクト女史の先輩にあたる、日本文化の研究家なんですよ。

この写真は庭にあるスタール博士の彫像です。博士和服姿で各地の神社を訪れてお札を集めたところから「御札博士(おふだはかせ)」と呼ばれて親しまれていたんだとか。

世界中を旅してコレクション

東洋民族博物館
黄人青年はその後世界各国を単独で調査。モンゴル、中央アジア、東南アジア、南米──。あちこちで集めた民俗資料の主なテーマはもちろん「性」。黄人氏はお固い柳田國男よりも自由な南方熊楠の方がお好きだったようです。

時代が早すぎたのか、権威主義的なアカデミズムの世界で浮いてしまったのか、民俗学の本流に乗ることはなかったのですが、私はそんな孤高の民俗学者にとても心惹かれるのです。

陳列ケースそのものも骨董品

東洋民族博物館
館内に入って思わず声をあげてしまいました。物、物、物! 世界各国の珍奇な骨董品がそこかしこに並べられています。そして陳列ケースの美しさといったら! このケースは創立当時から80年以上も使われているものだそうですよ。陳列ケースそのものも骨董品です。

コレクション1:絵馬

東洋民族博物館
では具体的にコレクションを見て行きましょう。こちらは絵馬。日本国中から集めた古い絵馬が壁にたくさんかかっています。絵馬が神社に奉納されるようになったのは平安後期から鎌倉時代ごろといわれています。

元々は生きた馬を献上

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絵馬はもともと生きた馬を献上するかわりに、馬の絵を描いた板を奉納したのが始まりです。他にも干支の動物が描かれたりしていましたが、明治以降は様々な絵柄の絵馬が流行しました。

おわんにムカデ!?

東洋民族博物館
こちらはおわんにムカデを入れて食べている女性の絵馬。これはダジャレになってまして、ムカデは足が多い、つまり「お足が多い」にかけているんですね。「お足」とは、足が生えているみたいに行ったり来たりするお金のことなんです。お金に困らないようにって願い事が込められてます。

離婚祈願絵馬

東洋民族博物館
これは離婚祈願の絵馬。大正時代のものです。昔は神様にお願いしなければなかなか離婚が成立しなかったのだなあとしみじみ。

コレクション2:纏足

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これは中国の纏足(てんそく)の靴。纏足とは漢民族の女性の習慣で、子供の頃に足を折って縛り、小さくなるように矯正した人体改造。美しい纏足のことを「三寸金連」と言いますが、本当に10センチ足らずの小ささです。ちっさ! 纏足の作り方は詳しくは「幻想画廊」の「纏足」というページに書きましたのでご参考まで。

コレクション3:チベット人形

東洋民族博物館
この人形は舌を出してあっかんべーしてますよね。チベットでは敬礼するときに舌を出します。つまり「あなたには嘘は言いませんよ」という忠誠を表しているんです。そして手の平を見せて「私は裏表はありません」とジェスチャー。チベットで舌を出されても、手をヒラヒラされてもバカにされているわけではありません。

コレクション4:パラオの石貨

東洋民族博物館
これは太平洋の島・パラオで使われていた石のお金。大理石でできていて穴に丸太を通して運んだといいます。持ち上げさせてもらったのですが結構な重さでした。こりゃ不便だなあ。現代はおサイフ携帯で軽々持ち運びできるのにね。

コレクション5:ミイラの男性器

東洋民族博物館
5000年前のチリのミイラの男性器です。「ミイラのチンコ」という身も蓋もないラベルが実に清々しくていいですね。リマ博物館から寄贈された貴重品です。黄人氏の言によると、ミイラまるごと一体の提供を受けたけれど持ち帰ることができなかったので局部だけもらったとのこと。頭部とかでなく局部ってのが黄人氏らしいです。

コレクション6:昭和天皇のお箸

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皇室関係ではこんな逸品も。なんと昭和天皇陛下ご使用のお箸! 実際に陛下がお使いになったものを女官から頂いたのだとか。なんかやくみつる氏みたいだな、黄人先生。

コレクション7:珍品クイズのブツ

東洋民族博物館
九十九理事長が民俗資料クイズを出してくださいました。これなーんだ? 答えは岡山県美作地方の「花嫁の尻叩き」。村に来た花嫁さんのお尻を村の若者が叩くための道具です。お尻を叩かれた女性はたくさん子供を生むという言い伝えがあるんですね。この形、精子の形に似てますね。偶然かしら?

憧れの秘宝コレクション「森羅萬象窟」

東洋民族博物館
そして九十九理事長のご厚意により、黄人氏の性関係のコレクションが集められた森羅萬象窟(しんらばんしょうくつ)という秘密のお部屋も見せていただきました! 残念ながら写真はNG。春画、陰陽石、チンマン系のエログッズが所狭しと並んでいました。

中でも目を見張ったのは、性関係の稀覯本(きこうぼん)です。なんとカストリ雑誌の代表格『あまとりあ』が創刊号から全巻そろっているのです! 全巻を初めて見ました。手が震えました。これらの稀覯本は大学の関係者や図書館関係者から何度も譲って欲しいと言われるそうです。そりゃ、そーだろ。

黄人氏の最後の言葉

東洋民族博物館
黄人氏は1998年に103歳で大往生されました。これは亡くなる直前に紙に鉛筆で書いた、最後の言葉。館長によると、goodbyと書かれているそうです。ああご存命の時にお会いしたかった。そして私の陰毛を献上したかった(いらんわ!)。

読者のカルロスさんからご指摘がありました。氏の最後の言葉は、英語のgoodbyではなく、ドイツ語のGod gem(神の思し召しにしたがって)ではないかと。ドイツ語に堪能だった黄人氏ですから十分考えられます。どちらなのか黄人氏亡き今となっては分かりませんが、こんな謎も残してくださる黄人氏は本当に粋な方ですね。あなたはどちらだと思いますか?

入り口の珍品もお見逃しなく

東洋民族博物館
最後に博物館の入り口にあるちょっとユニークなものをご紹介します。吾唯足知(われ ただ たるを しる)に似てますね 。龍安寺のつくばいで有名な禅の言葉。「現状で満足することが満ち足りた豊かな心につながる」という意味。

でも黄人流では舌吸足知(した すって たるを しる)。意味は……まあ言うまでもないですね。黄人翁っておちゃめ!(2013年02月02日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

東洋民族博物館
住所 :奈良県奈良市あやめ池北1-5-26
電話 :0742-51-3618
時間 :不定期
休業日:不定期(※必ず電話してから訪問のこと)
入館料:大人500円
駐車場:無料1台のみ
関連URL:朝日新聞デジタル:【東洋民俗博物館】ウフフ わしゃピンクや – 関西
※情報修正2016年08月

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