奇妙キテレツ! からくりと迷路の建築「忍者寺・妙立寺」【石川】

忍者寺 妙立寺
石川県で面白い観光地は?」と地元の方にきいてみたら、忍者寺を勧められました。迷路のような構造で、隠し部屋や落とし穴などお寺全体がカラクリ屋敷みたいになってるんですって。

加賀藩三代藩主・前田利常が移築建立

忍者寺 妙立寺
忍者寺の正式名称は妙立寺(みょうりゅうじ)。加賀百万石の三代藩主・前田利常が寛永20年(1643)に金沢城近くから移築建立したお寺です。加賀藩の前田家は利家、利長、利常の三代で知られています。前田利常は13歳で家督を継ぎました。

鼻毛を伸ばしてバカ殿を演じた利常公

忍者寺 妙立寺
この利常公、表向きには鼻毛を伸ばしてバカ殿を演じていたのですが、実は賢人・名君。当時徳川幕府は日本統一のためにささいなことで難癖をつけては大名を取りつぶしてきたからです。「謀反なんてこんな間抜けにはできませ〜ん」と幕府にアピールしていたんですね。

隠し階段、隠し部屋、落とし穴、見張り台、地下通路

それと同時に、軍事力を蓄えるために、武士が待機できる寺を次々に建立しました。その中心が妙立寺。「忍者寺」と言われますが、忍者がいたわけではなく、隠し階段、隠し部屋、落とし穴、見張り台、地下通路のある井戸など、要塞化した建築のためそう呼ばれます。

注文の多い料理店……じゃなくてお寺

ただ、この妙立寺、やたらと注文が多いお寺でして。見学には必ず予約が必要。時間厳守。ショートパンツなどの軽装やサングラスや帽子は禁止。酒気帯び厳禁。幼児の拝観不可。あぐらはかいちゃだめ。もちろん撮影もダメ。拝観料800円プラス有料の駐車場500円もかなりイタイ。

2018年現在の拝観料は1000円となっています。

観光客がたくさんの人気スポット

写真撮影禁止なので、写真が少ないのは勘弁してください。予約時間に着くと、2、30人の観光客が待っていました。タクシーもたくさん停まっていて人気スポットであることがうかがえます。

美人ガイドさんに従って見学ツアー

境内にはおそろいの制服を着た女子社員が7、8名いました。みんな若くて美人。彼女たちがガイドさんです。最初にテープの案内を本堂で聞いて、ガイドさんに従ってお寺の中を見学するみたいですね。

建物全体で階段が29カ所も

「別に自由に見せてくれたっていいじゃない」と最初は思ったのですが、部屋のあちこちを見て回るうち「やっぱりガイドがないと」と思いました。だって建物全体で階段が29カ所もあるんですよ。上がったり下がったりしているうち、今何階にいるのか、どっち向きに進んでいるのかが分からなくなります。

外観は2階建てだが、内部は4階建て、7層構造

このお寺は、外観は2階建てなのに、内部は4階建ての7層構造。迷路状になっているのは、侵入した敵を混乱させるためのものなので、見学している私たちも迷子状態になります。掛け軸の後ろに入り口がある部屋、どんでん返しになっている部屋、入ったら内側からは開かない部屋など奇妙な部屋ばかり。

名も知れぬ天才建築家の技術

約40分のキテレツ建築ツアーはあっという間でした。素晴らしい建築なのですが、このお寺を設計した職人さんは誰だか分かっていないそうです。名も知れぬ天才建築家の技術をぜひあなたも体験してみてください。(2006年07月23日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

忍者寺(妙立寺 みょうりゅうじ)

住所 :石川県金沢市野町1-2-12
電話 :076-241-0888(要予約)
時間 :09:00~16:30
休業日:1月1日と法要日
拝観料:大人1000円
駐車場:有料500円(70台)
関連URL:日蓮宗/正久山 妙立寺(忍者寺)

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