明治・大正・昭和にかけて天下の奇人としてその名を全国に轟かせた、徳田真寿(とくだしんじゅ)。彼の奇行は死後70年経っても、歴史雑誌などで時々話題に上る筋金入りの奇人です。
徳田真珠とは何者か?
徳田真寿(とくだしんじゅ 1867~1944)あだ名は頓痴奇屋(とんちきや)。いつもシルクハットに、ジャケット、袴という奇妙な格好をしていました。金融業を営み、77歳で亡くなるまでの間に様々な奇行で全国的に知られました。
徳田氏の故郷・長崎県江迎町で遺品を拝見
長崎県江迎町。佐世保と平戸に挟まれたのんびりした田舎町です。江迎町中央公民館で役場商工観光係・Sさんに貴重な品々を解説付きで見せていただきました。お話を伺いつつも彼の奇人ぶりに圧倒されるばかりでした。
徳田真珠氏の遺品の巨大懐中時計
まずその出で立ちが珍妙。紋付きの背広と袴。お腹に特大の懐中時計。シルクハットに丸眼鏡。パイプをくわえて、引き出し付きの下駄をカランコロンと響かせて闊歩する。写真は徳田真珠氏の懐中時計。直径は4寸(12.12cm)もあります。
三角形に特別なこだわり
徳田氏のこだわりは三角形。家具、調度品、皿、杯、箸までもが三角形をしていました。そのどれもが特別にあつらえた輪島塗の高級品というのだから、かなりのお金持ちだったんですね。
実印も特別仕立ての三角形
実印だって特別注文の三角形です。氏曰く
三角は円に通じる。三角形を繋ぐと円になる。円は時間、空間、無限の発展性を表し、一円融合の精神につながる。三角形の膳を付き合わせて車座となり、共に喜びを分かち合うことができる
なるほど……。よ、よく分かりません。
旅行には警察官が護衛
名刺もこの通り。裏はお墓のイラストにテケレッツノパア。彼をよく知らない人の中には「精神に異常をきたしているのでは」と警察に通報する者もいました。そのため旅行の時には事前に警察に連絡しなければならず、警官が護衛についてのものものしい旅になりました。
公民館向かいのお墓もおまいり
中央公民館の向かいには墓地があり、徳田翁のお墓もここにあります。ぜひおまいりしましょう。たくさんのお墓が並んでいますが、彼の墓石を見つけるのはそれほど難しくないでしょう。
なんとお墓まで三角形!
なんとお墓も三角形なんです! 正確には三角錐ですが。しかも台石も鉢までも三角形という徹底ぶり。こりゃあ、職人さん泣かせだったでしょうね。生前につけた戒名「○十院殿釈有耶無耶大居士」。なんとも人を食った戒名です。
徳田氏の奇行の数々
生前の徳田氏は、奇天烈な格好で一銭銅貨をメリケン袋に入れ、天秤棒でかついで闊歩する徳田翁。買い物は全て一銭銅貨でジャラジャラと支払いをしました。お店の人は大弱り。年賀状やお祝い悪口におちゃらけ、駄洒落だらけのふざけた手紙を送っていました。
もっと大々的に宣伝すれば良いのに
生前も没後も奇人を貫くなんて徹底してます。でもご遺族の方は「ごく普通の優しい人だった」とおっしゃっているそうです。ご家族にとっても愛すべき人物だったのでしょうね。もし現代に徳田氏のような人がいたらきっと人気者になると思いますよ。(2007年11月08日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
徳田真寿の墓(とくだしんじゅのはか・江迎町中央公民館)
住所 :長崎県佐世保市江迎町長坂 江迎地区生涯学習センター向かい
電話 :0956-66-2175(江迎地区生涯学習センター)
入館料:お参りは自由
駐車場:無料
関連URL:徳田真寿…三角にこだわった奇人(長崎県江迎町) : 語り継がれる人びと : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(※リンク切れ)