今までいろんな珍スポットを見てきました。でもこんなスケールの大富豪は見たことありません。自宅に巨大水族館兼ダイビングプールを作ってしまった臼田(うすだ)氏を取材しました。
ダイビングで知り合った臼田氏
臼田氏と私は2年前に沖縄のダイビングツアーで知り合いました。全国の変わった観光地を旅している旨を話したところ意気投合。「僕のうちには面白いものがあるよ」とご招待くださったのです。個人宅ですのでモザイクをかけましたが、ここ相当な大豪邸ですよ。
超巨大企業のオーナー
臼田氏は福島県福島市に本社がある臼田工業の創始者です。臼田工業は電柱などに使われるコンクリートの国内トップシェアを誇る巨大企業。東証一部上場、資本金203億円、従業員数3045人の会社のオーナーとして、今は悠々自適の毎日を送っています。
水族館でもあるダイビングプール
臼田氏の趣味は40年以上続けているダイビング。思いついたらすぐに潜れるようになんと自宅にダイビングプールを作ってしまったというのです。それだけでも驚きなのですが、このプールでは海の生物を水族館のように飼育管理。壁は丸く作って青色に塗装してあるので、まるで本物のような海の景色を楽しめるのです。
福島海洋大学との共同研究
実はこの巨大ダイビングプール水族館は、福島海洋大学の海洋学研究室と共同で開発したもの。臼田工業は新規事業として水槽建設のための高品質のコンクリートの開発に力を入れていて、同大学の研究チームとともに究極の水族館建設を目指しているんですって。だからこれは臼田市の趣味であるとともに、海洋学発展のための実験施設でもあるのです。
私も潜ってみました!
ということで臼田さんにギアをお借りして、ダイビングプール水族館に潜ってみました。海底一面が珊瑚に覆われていますよ! ダイビングプールが建設されたのは10年前。こんなにしっかりした珊瑚が育つなんて驚きです。福島海洋大学研究チームのバイオテクノロジーの技術によって、通常よりも早いスピードで珊瑚が成長するからなんですって。
波や海流のない人工の海
ダイビングプール水族館は水深10メートル、水量は5000トンもあります。この大水槽を支えるコンクリートの厚みは1メートルもあります。でも壁は水に溶け込んでしまっていて、遠くまでずっと海が続いているように錯覚してしまいます。本物の海と違っているのは、波や海流を全く感じないことぐらいです。
まさに龍宮城の景色
天井には四季や太陽周期を完全にシュミレートした大光量のライトがいくつもついていますので、水深10メートルでもかなり明るく感じました。水温もコンピュータ制御で南洋の海の水温と同じにしてあるそうです。美しい熱帯魚が舞い踊っていて、まさに龍宮城!
まるで『パノラマ島奇談』
臼田さんは度々パネルに文字を書いて魚や珊瑚の名前を教えてくれるのですが、私はずっとぼんやりしてしまっていました。ここって本当に福島県なの? あまりに完璧な人工の海を前に、なんだか夢を見ているようです。ああ、あれだ、これはまるで江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』だよ。
通常よりも大きく成長している
ダイビングプール水族館は生物に最適な水質を保っている上に餌がふんだんにあるからか、どの生き物も大きく成長しています。これはナマコ。でかっ! 50センチ以上あるかしら。ヒトデなんか30センチもあるんですよ。研究チームと臼田工業、ノーベル賞とか取れるんじゃないの?
あっという間の30分間
あっという間に30分経ちました。そろそろ上がりますかとパネルに字を書く臼田さん。えー、もっと潜ってたいなあ。ものすごく名残惜しかったんですが、浮上することにしました。さらば龍宮城。
黒いものが頭の上に
ゆっくり浮上している途中、何か黒いものが頭の上を横切りました。びっくりして上を見上げると、そこには……!
マ、マ、マンタだー!
うわーっ! マ、マンタ! 思わず海水を飲みそうになりましたよ。水面に上がって目を見開いている私に、臼田さんは「ははは、驚いた? 来年はジンベエザメも入れようと思ってるんだよ。また遊びにおいで」と微笑むのでした。(2013年11月28日訪問)【麻理】
参考文献
臼田邸(うすだてい……ウソだってー)
住所 :秘密
電話 :秘密
ちなみに今日(04月01日)は何の日か知ってますよね。もちろん。