リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人・市橋達也受刑者が潜伏していた無人島・沖縄県久米島の近くにあるオーハ島(東奥武島)に、彼と同じ方法(徒歩)で渡ってみました。
リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件
沖縄県久米島に隣接する無人島・オーハ島(東奥武島:あがりおうじま)。かつては100人ほど住民がいましたが、現在では無人島になっています。この島が一躍有名になったのは、ある殺人事件がきっかけでした。
日本中が騒然となった事件
リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件をご存知ですか? 2007年に千葉で英会話講師をしていた英国人女性リンゼイさん(当時22歳)が殺害された事件。犯人は市橋達也(当時28歳)。彼は千葉県警の警察官の追跡を振りきって、2年間日本全国を逃亡し続けました。送検の際にマスコミが押しかけて騒動になったり、市橋達也の追っかけ(市橋ギャル)が話題となりました。
殺人犯・市橋達也が潜伏していた島
逃亡中に市橋受刑者が3ヶ月間潜伏していたのがオーハ島です。当時は70歳の男性が1人だけ島で生活していましたが、市橋達也は海岸近くの小屋に寝泊まりし、魚を捕って自給自足の生活を続けていたのです。私は彼が2011年に出版した手記を読んで、不謹慎ながら大変興味をひかれました。
本島の漫湖公園でホームレス生活
以前沖縄本島の漫湖公園(まんここうえん)を訪れたのも、ここで市橋受刑者がアルミ缶を集めて収入を得ながらホームレス生活を送っていたからです。漫湖公園についての記事は以下のリンクでお読みください。犯罪者は全く擁護しませんが「犯罪を犯して逃亡するのはいったいどんな気持ちだろう」と好奇心がわきおこったのです。
オーハ島が隣の奥武島から歩いて渡れる無人島
市橋受刑者がオーハ島を選んだのはわけがあります。それはオーハ島が隣の奥武島から歩いて渡れる無人島だからです。船を使う必要がないので目撃者を作らずに島に侵入できるんですね。この男、意外に頭がいい。
彼と同じく歩いて上陸してみよう!
ということで一番水位が低くなる干潮時を見計らって、私も市橋受刑者と同じく歩いてオーハ島に上陸してみることにしました。しかし一番水位が低いと言っても、距離が400メートルありますから深い部分もあります。最終的には腰までがっつり浸かってしまいました。まあ着衣での水泳訓練も受けてるし、いざとなりゃ泳いでいけばいいさ。
猛毒のイモガイに注意!
ただしご注意を。沖縄にはハマナカーと呼ばれる、猛毒のイモガイがいます。刺されたら浜の真ん中まで辿りつけずに死ぬからハマナカー(浜中)。別名は毒蛇ハブのようなハブガイとも言います。私のダイビングブーツは特殊加工してありますが、万が一イモガイを踏んだりして刺されたら死にます。
人っ子一人いない……
とかなんとか言ってるうちに、20分ぐらいで上陸しました。奥武島を出発した時もそうでしたが、周りには人っ子一人いません。なるほどこれなら昼間でも堂々と島に侵入できるわね。
港にはボロボロのボート
小さな港にはボートが3艘置いてありました。一つは木の船でしたが潮風にやられてボロボロです。長い間使われいないような感じ。
「ハブはうじゃうじゃいるさー」
ウィキペディアにはオーハ島は「標高が低いためハブは生息していない」と書かれていますが、地元の人にきくと「ハブはうじゃうじゃいるさー、遊びに行くときは気をつけてねー」と言われました。人が手入れをしていないので、道は草だらけです。
その辺りにある木のツルをナイフで切ってムチのように加工。よし、これで草むらをビシビシ叩きながらハブを追い払えば大丈夫ね! ハブちゃんーどいてどいてー!
民家は無人
民家発見。昔ながらの琉球瓦の真ん中にシーサーが乗っています。雨戸が閉められていますし、声をかけても人の気配がないのでやっぱり無人のよう。
道のどん詰まりに民家
行けるところまで行ってみましょう。道のどん詰まりに民家が見えてきました。ツルのムチであたりを叩きながら進みます。
誰も住んでいないよう
「こんにちはー! 誰かいますかー?」……返事なし。やっぱり今は無人島になっちゃったのかしらね。
最後の住人のお宅だろうか?
家の周りをぐるっと一周してみました。井戸がありましたがこれも使われている形跡がありません。おそらく最後までお住まいになっていたという70代男性のお宅なんでしょうね。
時々訪れる人がいるのかも
納屋の戸が開いていました。中にビニールシートが敷き詰められていますが、台風で飛ばされたりしていないので全くの無人というわけではなさそう。他所様のお家ですし、早々に引き上げることにしました。
ムチでハブをよけながら進む
ここが道の最終地点のよう。これ以上行けないので、元来た道を引き返しました。ムチでビシ! ビシ!
逃亡犯市橋の潜伏小屋?
海岸近くに小屋がありました。これが逃亡犯市橋が潜伏していたというコンクリートブロック製の小屋ね。でも港に近すぎるしひょっとしたら違うのかもしれない。ちょっと見に行ってみましょう。
よく3ヶ月暮らせたわね……
残念。鍵がかかっていて中には入れませんでした。窓から覗いてみても真っ暗で何も見えない。ここで市橋受刑者が寝泊まりしていたんだろうか? 普段は物置みたいに使われてるみたい。こんな危険な島で3ヶ月も潜伏してたなんて彼のサバイバル技術、結構すごい。
めっさ怒られた……
というわけで小一時間オーハ島を探検して帰ってきました──が、名古屋の自宅に帰宅してから旦那様にたっぷり怒られました。「そんなところに一人で行って、ハブに噛まれたらどうするの、海の真ん中で毒貝に刺されたら死ぬよ!」 ごもっともです。ご心配をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした。皆さんは絶対に真似しないでください。(2013年11月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
オーハ島(東奥武島:あがりおうじま)
住所 :沖縄県島尻郡久米島町