南国宮古島。でも風景はドイツ。だってライン川のマルクスブルグ城がそびえ立っているんですもの。ドイツの古城保存教会から見取り図を取り寄せて再現された本物そっくりのお城です。
宮古島南のドイツテーマパーク
うえのドイツ文化村は宮古島の南に位置するドイツテーマパークです。ドイツ村のすぐ近くには、ちゃんと宮古島まもる君も立っていますよ。真っ青な空と南国特有の熱い空気に対して、ドイツの古城というかなりシュールな光景。当然「なんで宮古島とドイツが関係あるの?」とききたくなりますよね。

1873年ドイツの商船が難破
展示イラストを使ってご説明しましょう。1873年(明治06年)07月、ドイツの商船・R.J.ロベルトソン号がアデレードに向かう途中台風に遭遇し、船は宮古島の南岸・上野村の海岸に座礁してしまいました。
地元漁師がロベルトソン号の乗組員を救出
翌朝、地元の漁師がロベルトソン号を発見。力を合わせて8名の乗組員を救出しました。
37日後に無事ドイツへと帰国
宮古島の人々は手厚く乗組員を介抱し、身振り手振りでコミュニケーションをとって交流を深めました。そして37日着には乗組員は中国を経由して無事ドイツへと帰国しました。
ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が感激
ロベルトソン号の船長はドイツの新聞に事の顛末を発表しました。それを読んだドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が感銘を受け、3年後に軍艦を日本へ派遣しました。かくして宮古島とドイツは友好関係を結び、1876年には平良港に記念碑が設置される運びとあいなったのでした。
全く知られていなかった事件が1929年に広まる
この事件は日本のどの文献にも載っていなかったのですが、1929年に探索を趣味としていた松岡益雄さんが記念碑を発見したことによって、世に知られることとなりました。そしてドイツとの友好親善を後世に伝えるために、1996年にうえのドイツ文化村がオープンしたのです。
ゲアハルト・シュレーダー元首相も来日
2000年07月21日には九州・沖縄サミット会議に出席していた当時のドイツ首相・ゲアハルト・シュレーダー氏もうえのドイツ文化村を訪れています。実に良いお話です。美談ですね。
お姫様ベッドの婦人の間
再現マルクスブルグ城の中には、騎士の間、婦人の間、礼拝堂、台所など、ドイツの文化に触れられる貴重な展示物がたくさん。この婦人の間のベッドは実に美しく、ドレープたっぷりの天蓋にため息。お姫様のベッドだー!
本物のベルリンの壁
そしてうえのドイツ文化村の目玉はこれ、ベルリンの壁。1961年08月12日の深夜、予告なしに封鎖されてから28年後、1989年11月09日に民衆の手によって崩壊した壁です。あの映像は何度見ても感動的ですね。そのベルリンの壁の本物が展示されているなんてすごい。
感動ばかりはしていられない
──と感動の連続のテーマパークなんですが、このブログのタイトルは「日本珍スポット100景」。珍妙なものを真面目な施設の中で探すのもまた楽しきことなのであります。こちらの展示室はドイツの文化を紹介しているお部屋。
なぜこんなやっつけ仕事に
南部バイエルン地方の民族衣装と題されたコーナーのマネキンが実に珍なるテイスト。不自然なポーズで斜めに立つ男性と、髪の毛ボッサボサの女性。なんかかなりやっつけな感じがします。うーん、もうちょっとマネキンの顔とポーズなんとかならなかったのでしょうか。
騎士の間の二人
そして騎士の間。西洋甲冑や暖炉、彫刻の施された衣装ケースなど見所はたくさんあるのですが、どうしても視線があるものに釘付けになってしまうのです。
意味の分からないポーズ
それがこの騎士のお二人。なぜこんな中途半端なポーズなの? せっかく騎士なんだから剣を振り回してるところとか、睨みをきかせて仁王立ちとか、他にいくらでもカッコいいポーズとれるはずなのに……。
はっ、もしかしてこれって、博物館用の特製マネキンじゃなくて、普通の洋品店に置かれているマネキンなのでは──? シュレーダー元首相がどう思ったのか非常に気になります。
お約束のトイレ探し
私は全国各地のトイレ巡りを趣味としていますので、ドイツのお城のトイレも要チェックです。通路の奥まったところの突き当りにちゃんと木製トイレがありますよ!
観光客は使用不可
さすがドイツ人は抜かりないな。部屋の隅や庭で用足ししていたヴェルサイユ宮殿とは違う。マルクスブルグ城は12世紀に建設された後増改築を繰り返しているから、最初からトイレはなかったのかもしれませんけどね。当たり前ですが観光客は実際にはこのトイレを使用してはいけません。別の場所に水洗トイレがあります。
後日談・失敗談
知らなかったドイツ交流の歴史も学べるし、珍妙テイストな展示もあるしで大変満足しました。ところで私、ここでちょっと失敗をしてしまったのです。トイレ(本物の水洗トイレの方)に行った時に、うっかりサングラスを落としてしまったのです。それに気づいたのは翌日のこと。
サングラス落としちゃった
もう飛行機の時間が迫っていたので、ダメ元でうえのドイツ文化村の事務所に問い合わせたところ、それらしきものは見当たらないとのこと。気に入っていたものだったので、しょんぼりしつつ帰りの飛行機に乗ったのでした。
スタッフの方に大感謝です
そしたらなんと1週間ほどして小包が届き、中から私のサングラスが! 嬉しかったなあ! お手数とご迷惑をお掛けしてしまって申し訳なく思いましたが、同時にドイツ人漂流者を助けた宮古人気質が今も存在しているのだなあと感動しました。うえのドイツ文化村のスタッフのみなさま、本当にありがとうございました。(2011年04月20日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
うえのドイツ文化村(うえのどいつぶんかむら)
住所 :沖縄県宮古島市上野宮国775-1
電話 :0980-76-3771
時間 :09:00〜18:00(入館は17:30まで)
入場料:入園は無料だが、博愛記念館とキンダーハウス共通券は850円
休業日:火曜(04月~09月)火曜・木曜(10月〜03月)
関連URL:宮古島 観光|うえのドイツ文化村