沖縄県名護市は沖縄本島で最も北に位置する市です。2000年にはサミットも開かれました。名護市庁舎は1981年に総工費約10億円かけて建てられた、迷宮のような外観の建築物。
国道58号線の不思議な建物
名護市の国道58号線にそびえる三階建ての不思議な建物。枠組みでできた壁と回廊で一見スカスカのように見えます。赤瓦の屋根にコンクリートの柱はいかにも沖縄的です。名護市庁舎(なごしちょうしゃ)は第33回日本建築学会賞作品賞を受賞している名建築。
まるで古代の遺跡のような雰囲気
これは市庁舎の裏手にあたる部分を、全体が分かるようにつなぎ合わせたパノラマ写真です。中央の建物はスロープになっています。外壁は格子状のブロックが連なっています。回廊が張り巡らされた建物は市庁舎というより、古代の遺跡のような雰囲気です。
自然の風を通す構造……だけど今は
市庁舎の特徴となっている格子状の穴あきブロック。これは当初、人工的な空調を使わず自然の風を通して温度を下げるために取り付けられたものでした。しかし市庁舎では10年以上前から冷房機を入れています。あまりの暑さに熱中症になる職員が何人も出たからだそうですよ。
スロープも今ではあまり使われず
そして高齢者や足の不自由の方のために作られたスロープですが、2011年にはエレベーターが設置されたため今ではあまり使われていません。スロープは階段を登らなくて良いものの、長距離歩かねばならないので大変なんですよね。30年も経つと、エコでバリアフリーな設計も現実的ではなくなってしまうのかもしれません。
56体のシーサー
名護市庁舎にはシーサーがあちこちに置かれています。ちょっと見えにくいですが、赤の矢印で指しているところにいろんな形のシーサーがいるんですよ。シーサーは56体。よくこの56体は「市内にある55の集落と市役所を足した56」と噂されますが事実ではありません。
たまたま乗っけただけさぁ
「週刊レキオ ~LEQUIO WORLD~」の記事によると、これは後付で言われていることで、市庁舎の柱を数えてみたら56本あったので、せっかくだからシーサーを乗せよう──となったんだとか。ま、案外そんなもんかもね。
植物と建物が融合
30年前はドピンクと白のブロックが目に眩しい外壁でしたが、現在は落ち着いた渋い桃色になっています。建物の随所に植えられたブーゲンビリアやウッドローズが清々しいです。植物と建物が融合したような不思議な景観。こんな格好良いオフィスで働いている名護市職員は誇らしいでしょうね。
回廊にはくつろげるスペースも
回廊のテラスにはテーブルや花瓶など置かれていて市民や職員の方がくつろげるスペースがありました。この日はあまり時間がなかったので駆け足で見て回っただけなのですが、テラスで読書なんてのもいいなあと思いました。名護市市庁舎は日本一癒される市庁舎だと思います。
ラビリンスのような不思議な市庁舎
観光客はほとんどいませんが、名護市庁舎はいかにも沖縄!という珍しい建物。まるでラビリンスのような回廊を歩くと不思議な感覚を覚えますよ。56体のシーサーを探してみるのも一興。ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。(2012年09月13日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
名護市庁舎(なごしちょうしゃ)
住所 :沖縄県名護市港1-1-1
電話 :0980-53-1212
休業日:土日、祝日、年末年始、6/23
時間 :08:30〜17:15
駐車場:無料
関連URL:名護市役所