日本三大がっかり名所。一つ目は札幌の時計台、二つ目は高知のはりまや橋、3つ目は諸説ありますが、今回訪れた2番手の高知市のはりまや橋のがっかり度合いは半端なかったですよ。
観光客であふれるはりまや橋
はりまや橋は高知市の中心部、はりまや橋交差点にあります。訪れたのは夜の8時頃。周辺は交通量が多く高いビルばかりですが、橋自体がライトアップされていたのですぐに見つかりました。がっかり名所とは言え、やはり名所。はりまや橋はたくさんの観光客で溢れていました。
はりまや橋の歴史
江戸時代の高知の町人街は一部の商人に支配されていました。中でも播磨屋(はりまや)と柩屋(ひつや)は長宗我部時代に土佐に移り住んだ豪商でした。この2大商家は城下町の建設にも積極的に参加しており、はりまや橋は堀で隔てられた播磨屋と柩屋をつなぐために架けられました。
川の上にない橋
もともとは堀川に建設された橋でしたが、1928年の街路整備により周辺が整備され、1960年代には水質汚濁のために堀川が埋め立てられてしまいました。だから現在はりまや橋は流れている川の上には架かっていないのです。
がっかりの原因
夜でちょっと見にくいですが、橋の下にあるのは人工の水路。はりまや橋は何度も架け替えられ、現在の朱塗りの太鼓橋は1998年に整備・復元された新しいもの。橋自体も20メートルほどしかありませんし、この作り物っぽさが「日本三大がっかり」の原因なのかもしれません。
はりまや橋の悲恋話
はりまや橋にまつわるお話に、純信とお馬の恋物語があります。幕末も近い安政の初め、若い僧侶・慶全は鋳掛屋の娘お馬に一目惚れをします。しかしお馬は住職である純信に惹かれていました。慶全はお馬の心を引きとめようと、はりまや橋でかんざしを買ってお馬に贈りました。
引き離される二人
(写真は高知県の龍馬歴史館の蝋人形)しかし全くなびくことのないお馬。慶全は嫉妬にかられ「かんざしを贈ったのは純信じゃ」と触れ回りました。僧侶の恋愛はご法度です。純信は取り調べを受け謹慎の身に、お馬は出入り禁止となりました。

坊さんかんざし買うたを見た
思い余った純信とお馬は関所破りをして駆け落ちをしましたが、すぐに捕まり連れ戻されました。二人は晒し者にされて引き離されます。よさこい節の「土佐の高知のはりまや橋で 坊さんかんざし買うたを見た よさこい よさこい」はこの悲恋を歌ったものです。
地下広場へ行ってみよう
純信は当時37歳、お馬は17歳だったという説もあります。年の差婚を夢見る中年男性に希望を持たせるようなお話ですな。他にはそれほど見るところもないので(だって橋しかないんだもん)、はりまや橋公園をぶらぶらしていましたら「地下広場入口」の看板が。行ってみましょう。
誰もいないひっそりした地下通路
観光客でごった返すはりまや橋とは打って変わって、誰もいないひっそりとした地下通路。おや、向こうの方に赤いものが見えますよ。
はりまや橋の古い欄干、解説パネルなど
そこにあったのは昔のはりまや橋の欄干。解説パネルや写真も展示されていました。はりまや橋の歴史がよく分かりますね。がっかり観光地を期待していらっしゃった方は、地上のはりまや橋だけで素通りするのではなく、この地下通路も必ず見てほしい。なぜなら、こここそが真のがっかりスポットだからです!
本当のがっかりスポットはここだ!
散乱するゴミやペットボトル、ベンチで寝ているホームレス、いちゃつくカップル、地面にくずおれている酔っぱらい──これはかなりハイレベルのがっかりです。このブログを見ているような天邪鬼なあなたは、きっと「さすが日本3大がっかり観光地は伊達じゃない!」とおっしゃることでしょう。(2009年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
はりまや橋(はりまやばし)
住所 :高知県高知市はりまや町1
電話 :088-823-9457(高知市観光振興課)
入場料:無料
時間 :見学自由
駐車場:付近の有料駐車場を利用