モミジ、花かご、水辺のジオラマ──和菓子で作られているなんて信じられますか? 信玄餅で知られる山梨県の和菓子店・桔梗屋の和菓子博物館で、驚きの芸術品をぜひご覧ください。
工芸菓子の美しさと職人技の競演
パンフレットに「工芸菓子の美しさと職人技の競演」とあるとおり、この美術館は職人の技術の粋を集めた素晴らしい和菓子が展示されています。信玄餅の工場見学の方は観光客で一杯でしたが、美術館はひっそり。実にもったいない!
鮮やかな紅葉に息を呑む
黄色から赤に移り変わる、鮮やかな紅葉。これは本物のモミジではなく、和菓子なんです。近づいてよく見ると本物より若干葉に厚みがありますが、葉脈もちゃんとあってぱっと見分かりません。造花よりも色が自然なので本物みたい。
エイプリルフール企画覚えてますか?
以前当ブログのエイプリルフール企画で、創作和菓子でどんなものでも作ってしまう達人のレポートをいたしました。「今年はウソだってすぐ分かりました」というメールをいただきましたが、実はそういう和菓子職人はちゃんと実在するんですよ。この美術館を見れば一目瞭然。
自然を真似て作る日本古来の文化
「和菓子は自然を模倣する遊びとして生まれたので、作れないものはないんですよ」という架空の和菓子職人・本庄さんの言葉にはウソはありません。創作和菓子は自然を真似て作る日本古来の文化を引き継いでいます。植物だけでなく、鳥や魚などの動物も作り出せるんですね。
創作和菓子の作り方
花の和菓子の作り方の解説パネルがありました。白あんに餅粉と上新粉をまぜて練ったものを着色し、花びらの形に切り抜いて成形します。別に作っておいたがくや茎に糸で縛り付けて完成。さすがに糸はお菓子じゃなさそうですが。
日本の春夏秋冬がいっぺんに存在
美術館内には四季折々の草花がガラスケースに展示されています。スイセン、藤の花、アジサイ、桔梗、モミジ、コスモス、ツバキ──『夏の庭と冬の庭の話』というグリム童話がありますが、ここには日本の春夏秋冬がいっぺんに存在しています。不思議〜。
「工芸大賞」を受賞の『花爛々』
この作品は『花爛々』。桔梗屋の菓子職人が半年以上かけて製作したという傑作です。牛車に積まれた5種の花々は全てお菓子でできています。日本画の花車そのものです。岩手菓子博’98の「お菓子の芸術館」に山梨県菓子工業組合を代表して出品されました。最も栄誉ある工芸大賞を受賞したのだそうです。
心弾む華やかな展示
花が咲き乱れる花爛漫(らんまん)と、光り輝くさまを表現する爛々(らんらん)を組み合わせた造語『花爛々』がタイトル。「ハナランラン」なんてなんだか楽しい語感の言葉ですね。華やかで見ているだけで心が弾むようです。
甘党の人にオススメ
目に美しい和菓子を堪能した後はやっぱり舌でも堪能したいもの。お土産コーナにはたくさんの和菓子が並んでいますよ。塩豆大福は絶妙な塩っぱさが甘さを引き立てます。工場見学やお菓子作り体験もできますので、甘党の方はぜひどうぞ!(2007年04月14日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
桔梗屋 お菓子の美術館(ききょうや おかしのびじゅつかん)
住所 :山梨県笛吹市一宮町坪井1928
電話 :0553-47-3700
休館日:年中無休
時間 :09:00~18:00
入館料:無料 (※桔梗信玄餅作り包装体験は大人390円)
駐車場:無料