山の斜面に背中を預けるようにして立つ巨大仏像。熊本県山鹿市のお寺・日輪寺のおびんずる様です。高さ30m。この大きさのおびんずる様としては日本一。胎内巡りもできたのですが……。
平安時代から続く古刹・日輪寺
山鹿市の日輪寺(にちりんじ)は平安時代に天台宗のお寺として開山され、鎌倉時代になって曹洞宗へと変わりました。3月下旬には200本以上の桜、4月中頃からは3万5000本のツツジが咲く、山鹿市民の憩いの場ともなっています。
私の目的は桜でもツツジでもありません
私が訪れた5月はオフシーズンということもあって参拝客の姿はありませんでしたが、新緑が美しく気持ちが安らぐようでした。でも私がここへ来た目的は桜でもツツジでも、日輪寺自慢の精進料理でもありません。それはおびんずる様!
おびんずる様(賓頭盧尊者)とは?
おびんずる様(賓頭盧尊者)とは、お釈迦様の弟子の一人。十六羅漢の一人で神通力に優れ、病の人びとをいやしたと言われています。おびんずる様を撫でてから自分の体の悪いところをさすると治癒すると言われていて、よく本堂の前におびんずる様像が祀られています。岐阜の宗休寺(関善光寺)にもいらっしゃましたね。
30m!? 直立不動!?
おびんずる様は撫で仏ですからせいぜい実物大のものが多いのですが、日輪寺のおびんずる様はなんと30mもの巨大仏像。しかも座っておらず直立不動。なぜか斜めっているというものすごく変わったおびんずる様なのです。
胎内巡りができるおびんずる様なんて聞いたこと無い
なぜ斜めになっているのかというと、仏像の横に階段があって上っていくとおびんずる様のお腹の中に入れるようになっているから。胎内巡りもできるおびんずる様なんて聞いたことがありません。これは見るしかない!と階段へ向かうとロープが張られて立入禁止になっています。
現在おびんずる様の中には入れません
そう。ここもやはり2016年の熊本地震の影響からか胎内へ入れなくなってしまっていたのでした。残念。上に行けないので現在のところ巨大おびんずる様を撫でられるのは足元のみです。この先中に入れるようになるのかどうかは不明です。
おびんずる様の足をナデナデしました
というわけで、旅をする私にとっては足が命なので足の裏をナデナデしてきました。ネットの情報によると本来この中には金色のミニおびんずる様(と言っても3mもある)が横たわっていて、どの部分でもなでやすくなっているとのことだったのですが、ミニおびんずる様はどこへ?
ミニおびんずる様はこちらにいらっしゃいます
実はこちらの建物の中にいらっしゃいます。震災の後に移されたようです。だからなんとしても病を治してほしいという方は、がっかりして引き返さずにこのミニおびんずる様を撫でるのをお忘れなく。
重力に逆らう数珠が妙におかしい
ミニおびんずる様は斜めでもなく座ってもおらず、寝ていらっしゃいます。もともと金色をしているのですが、撫でられたところの色がはげていて黒光りしていますよ。数珠が垂れ下がっておらず重力に反した形で宙に浮いているのが妙に面白いですね。
おびんずる様ご自身が良くなりますように
頭が良くなりますように、目がよくなりますようにと、顔面を集中して撫でさせてもらいました。衣に比べて顔が黒ずんでいるのはそれだけ顔を撫でる人が多いからなんでしょうね。あとおびんずる様自身の胎内巡りが再開できるよう、お腹を撫でて手を合わせました。
他には境内に赤穂浪士の遺髪等も
本来は胎内巡りのための拝観料250円がかかるのですが、中に入れなくなっているため現在は拝観無料です。日輪寺は赤穂浪士の17士の遺髪を納めた遺髪塔があることでも有名です。中に入れないのは残念でしたが珍しいおびんずる様が見られただけで満足です。(2017年05月06日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
日輪寺(にちりんじ)・おびんずる様
住所 :山鹿市杉1607
電話 :0968-43-5802
拝観料:無料
駐車場:無料