アットホームなステキ博物館「与那国民俗資料館」【与那国島】

与那国民俗資料館
沖縄県与那国島で必見のスポット、それは与那国民俗資料館です。館長の池間苗(いけま なえ)さんは、1919年生まれ。与那国島の生き字引で、島のことなら何でもご存知なんですよ。

館長苗さんのご自宅兼資料館

与那国民俗資料館
与那国民俗資料館(よなぐにみんぞくしりょうかん)は、祖納集落の郵便局のそばにあります。ブロック塀に青い文字で民俗資料館と書かれているのですぐに見つかりました。お庭には南国の花々が咲き乱れています。ここは池間苗さんのご自宅兼資料館。

気さくに話しかけてくださった苗さん

与那国民俗資料館
2階建ての建物の1階部分が資料館です。声をかけると奥から苗さんがニコニコしながらいらっしゃいました。どこからきたの? 与那国島は初めて? と気さくに話しかけてくださいます。お茶まで頂いてしまって、資料館の館長さんというよりは、世話好きのおばあちゃまといった印象。

苗さんのこれまでの歩み

与那国民俗資料館
苗さんのお父様は地元の郵便局長で、苗さんは10人兄弟の一人として生まれました。本島の女学校を出て、医師として働いていた池間栄三さんと結婚。与那国島のただ一人のお医者さんとして働いていた夫を手伝いました(リアルDr.コトーだ!)。そして栄三さんが亡くなった後、実家のあった場所に資料館を開いたのだそうです。

ドラマを見てからでかけよう「Dr.コトー診療所」【与那国島】
2003年〜2006年に放映された『Dr.コトー診療所』というフジテレビのドラマ。そのロケ地となった沖縄県与那国島の志木那島診療所(Dr.コトー診療所)を訪ねました。

おっとりしていておだやかな苗さん

与那国民俗資料館
苗さんはとても話し好きで、集められた品物を一つ一つ手にしながら、何に使うものなのか、与那国島ではどう呼んでいるのかなど説明してくださいました。物腰はおっとりしていて、話し方もおだやか。きっと郵便局長という地元の名士の元で育ったお嬢様だったからだろうなと思いました。

戦争中は大変なご苦労も

与那国民俗資料館
でも決して世間知らずのお嬢様というわけではなく、与那国島で育ったことにおける差別を体験したり(昔は方言を使うのがためらわれたとか)、ご兄弟が戦死されたり、集落が爆撃で焼き払われたりと戦争中は大変なご苦労をされたそうです。

楽しんで仕事をしていらっしゃる様子

与那国民俗資料館
でも戦前に直接船で台湾に行った話、沖縄本島の女学校でのエピソード、与那国島に伝わる風俗や昔話などについてお話される時は、実に楽しそうなニコニコ顔で、聴いている私も思わず笑顔になってしまいました。苗さんは館長のお仕事を楽しんでいらっしゃるのだなあと思いました。

与那国島のゆりかご

与那国民俗資料館
これは与那国島で昔から使われていた赤ちゃんのゆりかご。アミナグ。天井から吊るして使っていました。枕元には、わらを結んだおまもりが置かれています。紐を結んだものが魔よけになるというのは、日本各地で見られる風俗ですね。

死者のためのお金

与那国民俗資料館
これ何でしょう? 中国の文化に詳しい方ならご存知ですよね。これは紙のお金。家族が亡くなった時には、この黄色いわら半紙でできたお金を焼くのです。あの世でもやっぱりお金は必要なので、この紙のお金を焼けば死者は焼いたお金をあの世で使うことができるんですね。

死者のお金の作り方

与那国民俗資料館
苗さんは「こんな風にして紙のお金を作るのよ」と、木槌と10センチほどの木の棒を手にして実演してくださいました。なるほど、こうやってトントンと木槌で棒を叩いて、黄色い紙の上にお金の形の印をつけるのですね。与那国島は台湾と近いので、こんな風習も伝わっているのです。

台湾とつながりの深い与那国島

与那国民俗資料館
こちらは台湾のホーローの食器。お祝いの時にはこれにごちそうを並べたりしたのよと苗さん。1945年までは与那国と台湾は自由に行き来できたので、資料館にはたくさんの台湾の品々が保存されています。今も与那国島から直接台湾に旅行できるといいのにね。

MADE IN OCCUPIED JAPAN

与那国民俗資料館
「これ見て、珍しいでしょう?」。お皿の裏をひっくりかえすとそこには「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字。戦後占領期の日本では、輸出向けの製品には「占領下日本製」と明記する必要があったんですね。この表示が使われたのは、1947年から1952年までの5年間のみなので、コレクターの間では人気なんだそうですよ。

とても90歳を超えているとは思えない

与那国民俗資料館
米寿のお祝いに使う竹(トゥガティ)、農具、ヨナグニウマの馬具、もろみを入れたかめ……。次から次へとよどみなく説明してくださる苗さん。本当に90歳を超えているとはとても思えません。

与那国島の不思議な埋葬法

与那国民俗資料館
一番興味深かったのが、与那国島のお葬式や埋葬の方法についてのお話。昔与那国島ではお墓の中に遺体を置いて、7年後に遺骨を取り出して、洗って清めてまた埋葬していたのだそうです。洗骨といって沖縄の島々に伝わる埋葬法です。

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久米島は琉球で一番美しい島という意味の「琉美島(くみじま)」と呼ばれていました。その名の通り実に美しい島です。最初は久米島博物館。風葬に使われた骨壷や、豚便所に興味津々!

この作業をお嫁さんである自分がやらなくてはならなくて、苗さんはもう怖くて怖くて仕方なかったとこぼしていました。確かにそんな作業を一人でやるのは怖いよねえ。

リピーターになるのも納得の資料館

与那国民俗資料館
もっとお話を聞いていたかったのだけど、飛行機の時間が迫っていておいとましなければなりませんでした。苗さんはわざわざ外まで出ていらして、また来てねと手を降ってくださいました。

ネットで与那国民俗資料館について調べてみると、ここを訪れた誰もが苗さんのことを褒め称えています。リピーターになってしまう人も少なくありません。こんなアットホームなミュージアムなら、何度も来たくなるのは当然ですね。(2012年05月14日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

与那国民俗資料館(よなぐにみんぞくしりょうかん)

住所 :沖縄県八重山郡与那国町与那国49−2
電話 :0980-87-2885
休館日:不定休
入館料:100円
時間 :09:00~17:00
駐車場:無料(2台)
関連URL:与那国民族資料館

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