ワット・プラヤイ寺院はタイ・サムイ島の人気観光スポットです。でもここの見どころは巨大な黄金仏像だけではありません。今回はなんともヘンテコなタイの人魚伝説をお話しましょう。
寺院の奥にある人魚とは?
ワット・プラヤイ寺院をガイドのワンチャイさんと訪れた時に、人魚の話になりました。と言うのもこの前日に、タオ島のダイビングツアーに連れて行ってもらっていて、自作の人魚スーツで泳いだのでそんな話題になったのです。「あなた人魚好きならこれ絶対見ないと!」と寺院の奥まで案内してくれました。
お坊さんの観光旅行
そこにはどういうわけかタイのお坊さんがワイワイと集まっていました。聞くとお寺の観光旅行でお坊さんの集団が遊びに来てたみたい。以下の写真にお坊さんがたくさん写っているのはそういうワケ。
タイでは超有名な昔話
ワンチャイさんにタイに伝わる人魚伝説『プラアパイマニー』を教えてもらいました。なんでもタイでは知らない人がいないくらい有名な話で、絵本、マンガ、アニメ、映画で今も親しまれているそうです。ワンチャイさんは学校のテストにも出たと言ってましたよ。日本でいうと桃太郎みたいなポピュラーな昔話なのかな。
笛の名手、王子・プラアパイマニー
むかしむかしあるところに、プラアパイマニーという王子がいました。見目麗しい青年で笛の名手でした。ある日海辺で笛を吹いていると、突然海の中から何者かが現れて王子の方へぐんぐん向かってきました。
鬼女・ピースアサムットゥ
それは鬼女・ピースアサムットゥでした。王子の美しい笛の音に惹かれてやってきたのです。鬼女は王子を小脇に抱えると海の中へと引きずり込みました。震え上がる王子。しかしとある島へ着くと鬼女は美しい女の姿に変わりました。
仲良く一緒に暮らし始めた二人
すると王子はたちまち恋に落ち、鬼女と一緒に島で暮らし始めました。しばらくすると王子と鬼女の間には二人の男の子も誕生しました。
美しい人魚と駆け落ち
しかしある日王子が海辺で笛を吹いていると、今度は美しい人魚が海の底から上がって来ました。王子は人魚の姿を見ると恋に落ち、二人は一緒に駆け落ちしてしまいます。
鬼女は二人を追いかける
それを知って怒り狂った鬼女は二人を追いかけます。王子と人魚、絶体絶命のピンチ。
応戦する二人の息子
その時二人の息子がそこに駆けつけました。お父さんを助けるために一生懸命逃亡を手助けする息子。それでも鬼女は二人を追いかけ続けます。
死の曲を吹く王子
王子は腰から笛を引き抜くと、鬼女に向かって笛を吹き始めました。それは相手に死の呪いをかけるという恐ろしい曲でした。
鬼女が死んでめでたしめでたし
鬼女はみるみる弱っていき、愛する夫に裏切られた悲しみでとうとう死んでしまいました。こうして王子と人魚、そして二人の子供たちは仲良く暮らしましたとさ。おしまい。
突っ込みどころ満載
おい、ちょっと待て。この話にはたくさんの突っ込みどころがある。
タイでは鬼って海に住んでるの? 王子は海に入っても溺れなかったの? ドブスな鬼女でも美女に変身したらOKなの? 新たに美女がでてきたらさっさと前の奥さん捨てるの? 二人の息子はなんで実の母より浮気相手の味方するの? 呪いの笛が吹けるならなんで誘拐された時に吹かないの?……
ものすごく理不尽な話
なんかこの話、1ミリも納得できないんですけど。タイの文化的にはとても良い話なんでしょうか。解せぬ。この物語をモチーフにした像は、サムイ島だけでなく、タイのあちこちのビーチで見ることができます。ご旅行の際に見かけたら、どうぞこの伝説を思い出してくださいね。(2013年04月27日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
ワット・プラヤイ寺院(Wat Phra Yai)
住所 :Big Buddha Samui Island Ko Samui Surat Thani