京都の六道珍皇寺には地獄への入り口・冥土通いの井戸がありますが、長年地獄の出口のありかは謎となっていました。しかし近年に黄泉がえりの井戸が発見されたため再訪してみました。
毎晩地獄へ通っていた平安貴族・小野篁(おののたかむら)
六道とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六種の冥界を指します。六道珍皇寺は、毎夜地獄へ通っていたといわれる平安初期の宮廷官人・小野篁(おののたかむら)を祀っているお寺として有名です。そしてここには小野篁が地獄へ行く入り口として使っていた「冥土通いの井戸」があるのです。
長年の謎であった地獄の出口がついに発見!
私が六道珍皇寺を訪れたのは今から10年前。当時は地獄の入り口の井戸はあっても、地獄から帰ってくるための出口はどこにあるのかはっきりしていませんでした。
一説には廃寺になってしまった嵯峨の福生寺にあったとされていましたが、なんと2011年になって出口となる「黄泉がえりの井戸」が六道珍皇寺に隣接する土地で発見されたのです。
冥土通いの井戸(地獄の入り口)を拝観できる
そしてさらに嬉しいことに、以前はガラス越しに遠くから眺めるだけだった冥土通いの井戸が一般公開。現在は近寄って見られるようになりました。ただし井戸を覗きこむことはできても、写真撮影は遠くからしか許可されていませんのでご注意を。
地獄の出口・黄泉がえりの井戸へ
ではいよいよ、地獄の出口を見てみましょう。境内奥へ歩くと砂利の敷かれた小道があります。その突き当りに黄泉がえりの井戸があります。井戸を覗き込むと、はるか下の方に水面が揺れています。背筋がゾクッ。
確かに嵯峨から宮中通いは辛すぎる
今はなくなってしまった福生寺は、その昔嵯峨にありました。夜中に六道珍皇寺から地獄へ入って、朝方嵯峨の井戸から出て宮中に猛ダッシュというのは、タクシーもない平安時代にはかなり大変そう。小野篁さん、入り口と出口が近くて良かったですね。
詳しいガイド付きの拝観がお勧め
冥土通いの井戸と黄泉がえりの井戸を見るためには、拝観料がかかりますが、江戸時代の地獄絵「熊野観心十界曼荼羅」をはじめとする六道珍皇寺の寺宝を詳しいガイド付きで拝観することができます。
また小野篁と閻魔大王の木像、亡者の魂を呼び寄せる「迎え鐘」などは自由に拝観できますので、京都観光の際にはぜひ足を運んでみてくださいね。(2015年10月31日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)
住所 :京都府京都市東山区大和大路町四条下ル4丁目小松町595
電話 :075-561-4129
休業日:12月28日~12月31日 ※境内は参拝自由
時間 :09:30~16:30 ※境内は参拝自由
拝観料:大人500円(※特別拝観の料金)
関連URL:大椿山 六道珍皇寺 公式サイト