大阪名物のお笑いを学べる施設ワッハ上方。吉本新喜劇の運営と思われるかもしれませんが大阪府による公の施設です。お笑いをテーマにした文化施設を作っちゃうのはいかにも大阪。
橋下徹知事の移転縮小計画
正式名称は大阪府立上方演芸資料館。設立は1996年。お笑い芸人の横山ノック氏が府知事だった時、と言えば納得されることでしょう。しかし2008年就任の橋下徹府知事は年間運営費が4億3000万円もかかるワッハ上方に渋い顔。そして移転縮小の方針を発表。入り口には「要りまっせ! ワッハ上方」と書かれた移転縮小反対の署名を求める要望書が置かれていました。
島田紳助も苦言?
この問題に関して芸人の方々が大反対。元々橋下知事がメジャーになったのは、日テレの『行列のできる法律相談所』がきっかけなので、番組司会の島田紳助氏が橋下氏に説教するの、しないのなんて芸能ニュースも話題になりました。
大正~昭和初期っぽいレトロな路地
そんな賛否両論のワッハ上方とはどんなものなのか? 4階の展示室には大正時代~昭和初期っぽいレトロな路地が作られています。ミルクホールではエンタツ・アチャコや桂春団治など、昔のスタアの名演をラジオ・レコードで聴くことができます。
名人の芸をクイズで学ぶ
ミルクホールのマスター人形には、名演の音声をリクエストできます。漫才師・横山やすし・きよしご両人、六代目笑福亭松鶴氏の芸をテレビ番組で視聴できるコーナもあります。漫才、落語だけでなく、珍芸・奇芸のジャンルの資料もあり、クイズ形式で上方演芸を学べるんですよ。
あなたも上方芸人の仲間入り
お笑い写真館ではカツラなど変装グッズが棚に並んでいます。これを身につけて顔出し看板の後ろに立てば、あなたも上方芸人の仲間入り──たはは。このゆる~い感じがいかにも公の施設。ほのかな珍風味であります。
5万点の貴重なコレクションを所蔵
上方演芸、喜劇の歴史を学べるコーナ・演芸早わかり散歩道。歴代の名人たちの衣装や台本・遺品など、5万点ものコレクションの中から選りすぐりの展示品が並んでいます。大阪のお笑いってこんなに長く濃く続いてるんだなあ。どうりで大阪人ネイティブにお笑い魂が根付いてるワケだよ。
米朝師匠も資料を提供
私の大好きな桂米朝師匠も、台本など貴重な資料を提供されてます。彼は昔の芸人さんには珍しく大学出のインテリゲンチャで、廃れてしまった噺を文献から復活させたり古典落語の調査・研究に心血を注ぐなど、学者肌の功労者です。他にもたくさんの芸人さんが展示品を提供されたそうですよ。
無料で楽しめる演芸ライブラリー
素晴らしいのが演芸ライブラリー。各放送局の演芸番組、市販のDVD、CD、書籍の視聴・閲覧が無料で楽しめるんです。もう亡くなってしまった名人のラジオ・テレビ番組なんざ、マニアは大興奮ですよ。
存続させるにはどうしたら良いのか
でもアクセスの良い中心街にある必要はないのかもなあ。経費4億3000万のうち、吉本興業への賃貸料が2億8000万ってのはいくらなんでも高い気がするし……。赤字で四苦八苦している大阪に頼れないとなれば、企業や民間からの募金・寄付を考えたり、移転も視野に入れた方が良いのかも。なくなっちゃうよりはなんぼかましですよ。(2008年08月17日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
ワッハ上方・大阪府立上方演芸資料館(わっはかみがたおおさかふりつかみがたえんげいしりょうかん)
ワッハ上方は2019年04月24日にリニューアルオープンしました。このレポートは2009年の時点のものです。どうぞご注意くださいませ。住所 :大阪府大阪市中央区難波千日前12-7 YES・NAMBAビル 7F
電話 :06-6631-0884
時間 :10:00~17:00
休業日:水曜・木曜・年末年始
入館料:入場無料
駐車場:なし
関連URL:大阪府立上方演芸資料館 ワッハ上方