古代の神殿?コロシアム?世にも美しき廃墟「佐渡金山・北沢地区施設群」【新潟】

佐渡金山・北沢地区施設群
ここは古代の神殿? まるで現実感のない風景です。この緑に覆われた世にも美しい廃墟は、かつて東洋一とうたわれた選鉱場跡です。新潟県佐渡ヶ島には世界文化遺産候補の数々の産業遺産が点在しています。

明治時代から栄えた佐渡ヶ島の北沢地区施設群

佐渡金山・北沢地区施設群
こちらは北沢地区施設群と呼ばれる場所です。北沢地区は明治期から佐渡鉱山の本部組織である御料局佐渡支庁が置かれて、佐渡鉱山全体の一大拠点となりました。当時の最先端の精錬技術がここに集中していた超ハイテク都市だったのです。

御料局……1885年には宮内省内に御料局が設置され,89年佐渡,生野両鉱山が皇室へ移譲され,89‐90年には府県,北海道をあわせて350万町歩の山林原野が皇室財産に編入された。

戦争に向けて工場・施設の大改修が行われた

佐渡金山・北沢地区施設群
第二次世界大戦へと向かいつつある1937年(昭和12年)以降、佐渡ヶ島は日本の国策の増産体制に足並みをそろえて施設の大改修を行いました。日本海の島に最先端のテクノロジーを駆使した工場や施設が集中していたなんてなんだかワクワクするようなお話ですよね(戦争だからワクワクしてはいけないのですが)。

鉱物を選り分けていた工場・北沢浮遊選鉱場跡

佐渡金山・北沢地区施設群
東西約115m,南北約80mの巨大な建築物。これは北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうじょう)です。浮遊選鉱(flotation method)とは採掘した鉱物を化学薬品とともに水槽に入れて撹拌し、必要な鉱物のみを取り分ける技法です。

鉱山縮小によって1952年には施設廃止に

佐渡金山・北沢地区施設群
月間5万トンの鉱石処理を可能にし、1940年には佐渡鉱山において史上最高の産出量を誇りました。しかし戦後の1952年に鉱山が縮小されるとこの施設は廃止されて、跡地にはプールやゴルフ練習場も建設されました。

観光シーズンには夜にライトアップされる

佐渡金山・北沢地区施設群
今では土台のコンクリートのみが残っています。緑に覆われた黄金の島の工場跡。なんてリリカルな廃墟でしょうか! 観光シーズンには夜にライトアップもされるんですよ。分かってます。佐渡ヶ島の観光担当の方は、北沢浮遊選鉱場の魅せ方を実によく分かってます。

製材及び雑作業場跡 50mシックナー

佐渡金山・北沢地区施設群
巨大な宇宙船? それともコロシアム? この円形の建物は製材及び雑作業場跡(せいざいおよびざつさぎょうじょうあと)・50mシックナーです。液体と混ぜ合わせて泥状に撹拌した鉱石を沈殿させて、鉱物のみを分離する作業をここで行っていました。

ツタがはびこる鋳造工場跡

佐渡金山・北沢地区施設群
こっちは鋳造工場跡です。木型工場で組まれた木型を元に作られた鋳型へ溶けた金属を流し込んで、様々な種類の機械部品を製造する施設でした。発掘作業によってコンクリート製の柱や巨大な地下穴、レンガ敷きの床が見つかっています。こちらもツタがびっしりと表面を覆っていますね。

フォトジェニックなレンガ壁の北沢火力発電所跡

佐渡金山・北沢地区施設群
レトロなレンガ壁の建物は北沢火力発電所跡です。1908年に完成しました。現在は資料館となっています。すごく絵になりますよね。この一帯の建築物はカメラマンにとって垂涎の被写体なのではないでしょうか。実にフォトジェニック。

次こそ世界文化遺産登録に登録されるか!?

佐渡金山・北沢地区施設群
新潟県と佐渡市はこれらの産業遺産を世界文化遺産登録に向けて日々活動していらっしゃいます。しかしこれまで暫定リスト入りした2010年度以降、国内推薦候補に4度も落選し涙を飲んできました。次は2023年度に5度目の挑戦となります。次こそは世界遺産入りなるか!?(2019年05月05日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

佐渡金山・北沢地区施設群
※以下宗太夫坑の資料館の住所・電話番号です

住所 :新潟県佐渡市下相川1305
電話 :0259-74-2389
休業日:年中無休
時間 :08:00~17:00(冬季は16:30)
入場料:大人900円
駐車場:500台
関連URL:史跡 佐渡金山

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