幻のUMAミイラと日本的ヴンダーカンマー「西生寺(2)・雷獣のミイラ」【新潟】

西生寺(雷獣のミイラ)
新潟県長岡市の真言宗のお寺・西生寺(さいしょうじ)には約650年前の日本最古の即身仏が祀られています。しかし西生寺のミイラは即身仏だけではありません。なんと幻の生物・雷獣までがミイラとして祀られているのです!

日本最古のミイラよりも見たかった雷獣のミイラ

西生寺(雷獣のミイラ)
前回の記事で、生き仏となった弘智上人(こうちしょうにん)について書きました。でも日本最古の即身仏は、実は私がここを訪れた第一の理由ではないのです。私が今回の旅で最も見たかったもの、それがUMA・雷獣のミイラです。

日本最古の即身仏(ミイラ仏)を拝みに行く「西生寺(1)・弘智上人」【新潟】
新潟県長岡市の真言宗のお寺・西生寺(さいしょうじ)には約650年前の日本最古の即身仏が祀られています。3000日にも及ぶ厳しい修行に耐え抜いて入定された弘智法印即身仏です。日本で最も古い即身仏を拝みに行ってきました。

西生寺の宝物館は日本のヴンダーカンマー!

西生寺(雷獣のミイラ)
弘智上人(こうちしょうにん)の木造のレプリカが祀られている宝物館には、お寺に代々伝わる寺宝がぎっしりと安置されているのです。一歩踏み込んだ時の印象は「ヴンダーカンマー」。ありとあらゆる摩訶不思議なコレクションが集められた「驚異の部屋」です。

学研『ムー』で見てからずっと見たかったUMA

西生寺(雷獣のミイラ)
そしてそのコレクションの中でも最も貴重な寺宝が、雷獣のミイラです。私は子供の頃に学研の『ムー』で雷獣のミイラの写真を見て以来、ずっとここを訪れたいと思っていたのであります。逸る気持ちを押さえつつ、まずは他の寺宝を見てみましょう。

アフリカの神・アークボーン

西生寺(雷獣のミイラ)
入り口すぐの奇妙な像。これはアフリカ・ザイールに伝わる民族神・アークボーン。えっ、お寺なのにアフリカの神様!? しかも梵字で名前が書いてあるし。アークボーンは子授けと安産の守護神です。西生寺の懐の深さにびっくりしますよね。

クジラの頭の骨・御霊験骨

西生寺(雷獣のミイラ)
これはクジラの頭の骨です。珍しいものだと思いますが、なぜここに? 魂が入っているご御霊験骨です。真言の「アバンウン」を唱えてから手のひらでなでて、具合の悪いところをその手でさすると良くなるみたいです。

ガイヤウルフ(大陸狼)の剥製

西生寺(雷獣のミイラ)
室内で最も大きな展示が2匹のガイヤウルフ(大陸狼)の剥製です。「因縁深き獣神」と書かれています。これらの剥製はもともとある工務店の倉庫にあったものだそうですが、家族に災難が続いたために困り果てた信者さんが西生寺に持ち込んだものなのです。

「燃やさないでくれ!」という声が響いた!

西生寺(雷獣のミイラ)
即身仏に伝説の妖怪、果てはドクロにアフリカの秘宝まで。新潟「ミイラ寺」紀行 | な!ナガオカという記事によると、ご住職がお経をあげてお焚き上げをしようとしたところ「燃やさないでくれ!いい子にしているから……! 自分たちはただ、多くの人たちに見てもらいたいだけなんだ」と声がしたんだとか。

結構愛嬌のある可愛い顔してます

西生寺(雷獣のミイラ)
そして以来2匹は宝物館の守り神として、ガラスケースの中で余生を送っているということです。結構な大きさだから一見怖そうですが、エピソードを知ると愛嬌がある顔にも見えてきますね。ナデナデしたいけどケースの外から見るだけです。

弘智上人のレントゲン写真

西生寺(雷獣のミイラ)
弘智上人のレントゲン写真もありますよ。これは昭和34年に新潟大学医学部が調査したときのものです。血液型はAB型。右端に映っている丸いものは弘智上人がなくなった時に身に付けられていた宋銭の紹元聖宝です。室町時代のものだとか。

弘智法印即身仏を槍で突いた奴の頭蓋骨

西生寺(雷獣のミイラ)
前回の記事で「約400年前に弘智法印即身仏を見つけた奴(やっこ:下級の奉公人)に槍で胸をつかれてその時に少し前かがみになってしまった」と書きました。その奴の頭蓋骨まで展示されています。彼はそのことをずっと悔いていたため、死後ここに首が祀られることになりました。

故田中角栄元首相の書

西生寺(雷獣のミイラ)
実は西生寺は故田中角栄元首相が篤(あつ)く信仰していたお寺さんです。度々祈願に訪れてはここで瞑想していたと言われています。これは田中角栄氏の自筆の書です。ダイナミックな筆ですね。

「まーそのー」って知ってる?

西生寺(雷獣のミイラ)
田中角栄氏が亡くなってもう30年近くが経ちますから、もうお若い方は教科書に載ってる「歴史上の人物」という感じかもしれませんね。でも私が子供の頃に加藤茶さんが「まーそのー」という彼の口癖を真似たギャグをしていたので、私と同世代の方はよく覚えているかもしれません。

雷獣のミイラとご対面!

西生寺(雷獣のミイラ)
さて、いよいよ雷獣のミイラとご対面です。雷獣とは落雷の時に天から落ちてくる幻の生き物です。日本全国に様々な伝承が残っていて、その姿は文献によって様々で定かではありません。イヌ、キツネ、タヌキ、カワウソ、イタチのような哺乳類に似ているとのことですが──。

雷とともに天から降ってきた雷獣

西生寺(雷獣のミイラ)
これが雷獣です! 古くから西生寺に伝わるミイラで、雷が大きな楓(かえで)の木に落ちた時に一緒に天から落ちてきたと言われています。それがいつなのか、なぜ西生寺に残されているのかは不明ですが、江戸時代には奉納されていたようです。

ネコ──にしては大きすぎるミイラ

西生寺(雷獣のミイラ)
あなたが言いたいことはわかります。「これ、猫じゃん」ですよね? でも頭からお尻までの大きさは35cmほど。普通の猫よりも一回り大きいです。そして耳が猫よりも尖っているように見えます。牙も猫とは違っているようです。

水かきのある動物!?

西生寺(雷獣のミイラ)
妖怪ミイラ完全FILE』という書籍によると、この正体は絶滅したテンの一種の「キテン」ではないかということです。しかしある専門家はこのミイラの足の指に水かきがあることを発見しました。それならばネコでもテンでもないことになります。

はたしてこの獣はいったい何なのか?

西生寺(雷獣のミイラ)
いったいこの生物は何なのか? DNA検査をすればすぐに判明するのだと思いますが、謎は謎のままにしておいたほうがヴンダーカンマー的宝物館にはふさわしいのかもしれませんね。あなたはどう思いますか?(2019年05月06日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

西生寺(さいしょうじ)

住所 :新潟県長岡市寺泊野積8996
電話 :0258-75-3441
休業日:不定休
時間 :09:00~16:00
拝観料:500円
駐車場:無料(20台)
関連URL:西生寺 | 新潟県長岡市寺泊|日本海を一望の景勝地

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