トキの学名はNIPPONIA NIPPON。まさに日本を象徴する鳥で、かつては日本各地に生息していました。新潟県佐渡ヶ島のトキの森公園ではトキの保護・飼育・繁殖に努め、トキに関する知識を一般に広める目的で運営されています。
明治以降の乱獲によってトキの数は激減、絶滅へ
オレンジがかったピンク色──朱鷺色(ときいろ)の羽が美しかったことから、明治以降の乱獲によって数が激減。1934年に天然記念物に、1952年には特別天然記念物に指定されました。しかし保護活動もむなしく、2003年に最後の1羽のメスのトキ「キン」が死に、日本産のトキは絶滅してしまいました。
2021年現在は国内で174羽のトキが飼育されています
しかし1981年に中国で存在が確認され、熱心な保護活動により毎年ヒナが増えていって、2021年現在は国内で174羽のトキが飼育されています。そのうち85羽が佐渡トキ保護センターにいます。
トキの森公園内にはトキの保護・繁殖・飼育を行う佐渡トキ保護センター、一般の方々にトキについて広く伝えるためのトキ資料展示館、トキふれあいプラザなどの建物があります。
最後のトキの名前は「キン」(雌)
最後のトキが「キン」という名前だったのはなんとなく覚えていました。キンは1968年に宇治金太郎さんという方が捕獲して保護センターに持ち込まれたのだそうです。なるほど、だから金太郎さんの名前を取って「キン」なんですね。
キンは人間でいうと100歳ぐらいまで生きました
これはキンの骨格標本です。キンは幼鳥から老齢期までセンターですごし、亡くなった2003年の時点で推定36歳。人間でいうと100歳の超高齢鳥だったそうです。お年寄りとなったキンは天気の良い日にはトコトコ歩いて運動場に通っていました。
涙がにじむキンの最期
最期の日。カーペットに寝ていたキンは突然首を上げて羽ばたき、3メートル飛翔してドアに頭からぶつかって死んでしまいました。特に何かに驚いたわけでもなかったそうです。最後に空を飛んでみたかったのかな。
宇治金太郎さんとの交流や、キンちゃん最期のエピソードを読んだ時は、思わず館内で涙ぐんでしまいました。だからちょっとコミカルなゆるキャラ・トキのサドッキーちゃんを載せておきます。へへ。
遠くからトキをそっと眺める
現在佐渡トキ保護センターで飼育されているトキはすべて、中国から提供されたつがいをもとに人工繁殖されたトキです。観光客は繁殖ケージの中に立ち入ることはできませんが、遠くからそっと眺めることはできます。
フラッシュ撮影・大声厳禁
トキは非常に驚きやすい怖がりな鳥なので、フラッシュ撮影や大声を出すことは厳禁です。窓の向こうのケージに目を凝らすと、白いトキが枝に止まって羽を伸ばしているのが見えました。でもほとんど動かずに日向ぼっこをしているようなので、あまりよく見えません。写真右は目一杯iPhoneの望遠モードで撮影したものです。
双眼鏡があると便利ですが、傘はさしてはダメ
トキの森公園に来る時の必須アイテムは双眼鏡ですね。今回うっかり家に忘れてきてしまったので後悔しました。トキは遠くの方にいますので、ここを訪れる方はぜひ持参してくださいね。それと逆に使ってはいけないのは傘や日傘です。トキが驚いてどこかにぶつかったら大変! どうぞお気をつけて。
屋外のケージも見学
屋根付きの回廊を抜けて屋外に出ました。ここも飼育ケージに近づいてはいけないことになっていますが、さっきよりは見やすいですね。明治時代中頃までは空をトキ色に染めるぐらいの大群が飛んでいたのに、今は仲間が少なくなってしまって可愛そうですね。人間として申し訳ない気持ちに。
動画で聞く、トキの鳴き声(地鳴き)
たまたま鳴いているところを録画できました。訪れた2019年5月5日のツイッターの動画をご覧ください。小さい鳴き声ですが聞こえるかしら。カーカーというカラスっぽい印象の声。
これは地鳴きと言って、季節やオス・メス、年齢に関係なく、普段のコミュニケーションや警戒などのために出す鳴き声だそうです。何のお話してるんでしょうね。
トキの鳴き声。カラスっぽいようなペリカンっぽいような。ペリカン目だからですね。 pic.twitter.com/PPvkQv6qIo
— 🎩蒸気夫人 Madam Steam🧑🏼🦰五十嵐麻理 (@IgarashiMari) May 5, 2019
あっ! あそこにトキがいる!
公園内の草むらに白い大きな鳥がいたのであっ!と思ったらこれは本物じゃなくて模型でした。昔の日本はこんなふうにどこにでもいる鳥だったんですよね。佐渡ヶ島ではごくまれに野生の放鳥トキが見られることがあるのですが、トキを驚かせないように決して近づいたり追いかけたりしてはいけません。
トキふれあいプラザではトキを間近で見られるかも
もう一つの建物がトキふれあいプラザです。ふれあいと言っても直接トキを触ったりできるわけではないですが、自然に近い生息環境でトキを観察できる施設です。餌を食べたり子育てをしたり、運が良いと飛翔するトキを見られるそうです。
トキが生活する様子をそっと覗いてみる
もちろんここでもフラッシュ撮影禁止。ガラスを叩くのも当然厳禁です。トキが歩いたり羽を広げたりしている様子をそっと覗かせてもらいます。館内は森をイメージしていて、落ち着いた雰囲気になっています。
気持ちよさそうな戸外のケージ
一応ネットで囲まれてはいますが、陽の光も降り注ぎ、中には小さな池(ビオトープ)やとまり木もあってなかなか快適そうです。私が訪れた時は残念ながら、トキは奥の方の日陰の部分にいて肉眼ではよく見えない状態でした。運が良いと窓の近くに寄ってきてくれたりするんですって。
ベストショットは撮影できず……
館内にこ「こにレンズを当てるとうまく撮影できる」という看板があったので、iPhoneで挑戦してみました。うーん、ちょうど逆光になってよくわからないボケボケの写真になってしまいました。あなたが訪れる時にはベストショットが撮影できるといいですね。(2019年05月05日訪問)【麻理】
サドッキーちゃん大丈夫?
おまけのサドッキーちゃん。手を降っても声をかけてもまったく反応がありませんでした。中の人はゴールデンウィークですごく疲れていたのかも。大丈夫……かな?
サドッキーさん。 pic.twitter.com/V1PkQ2VNka
— 🎩蒸気夫人 Madam Steam🧑🏼🦰五十嵐麻理 (@IgarashiMari) May 5, 2019
参考文献
地図&情報
トキの森公園(佐渡トキ保護センター・トキ資料展示館・トキふれあいプラザ)
住所 :〒952-0101 新潟県佐渡市新穂長畝383-2
電話 :0259-22-4123
休業日:毎週月曜日(3月~11月までは無休)、年末年始
時間 :08:30~17:00
入場料:大人400円
駐車場:無料
関連URL:トキの森公園のご案内 – 新潟県佐渡市公式ホームページ