新潟県佐渡ヶ島。真野地区から赤泊地区に抜ける、県道65号線の梨の木峠に小さな地蔵堂があります。ここは梨の木地蔵。何万というお地蔵様が地面いっぱいに並んでいます。清浄な空気が漂う静かな地です。
漁師が海中より引き上げたご本尊
県道から少し坂になった小道を歩いていくと、小さなお堂が見えてきます。あたりは鳥の鳴き声が響いていて清浄な空気が漂っています。梨の木地蔵のご本尊の石地蔵は、昔漁師が海中より引き上げてこの場所に移されたものと言われています。
子供の病気が治ったら1体の地蔵を奉納
しばらくするとご本尊の石地蔵は子供の病気をかならず治してくれるという評判がたち、遠くからわざわざ佐渡ヶ島まで足を運ぶ親御さんが増えました。そして病気が治ったら一体の石地蔵を「身代わり地蔵」としてここに奉納することになったといいます。
まるできのこのように地面からお地蔵様が生えている
まるできのこのようににょきにょきと石地蔵が生えているようです。この何千、何万という地蔵はこれまで病気が治った子供の数なんですね。縁日のある8月24日とその前夜には多くの信者さんがお堂におこもりして真言を唱えるそうです。
比較的新しいお地蔵様でしょうか
足の踏み場もないぐらいにあたり一体お地蔵様だらけなので、注意深く歩かねばなりません。お地蔵様の大きさは4、5cmの小さなものから1m近くあるものまで様々です。こちらのお地蔵様は比較的新しい時代のものでしょうか。目鼻立ちもくっきりしています。
目も鼻もなくなってしまっている古いお地蔵様
苔むしていて、顔がもうよくわからなくなってしまっているお地蔵様もいます。昔のもので風雨にさらされて石が削り取られてしまったのでしょうね。私はこういう光景に心打たれます。それだけ我が子の快癒を願う親御さんが昔からたくさんいたのだと、そのひたむきさに感動するんですね。
桜の花びらが散っていて、いとあはれ(超エモい)
訪れたのは5月のゴールデンウィークでしたが、遅咲きの桜の花びらが少し地面に残っていました。これも日本人としては「もののあはれ」を感じますね。今の若い人はなんでもかんでも「エモい」の一言で片付けると批判もありますが、平安時代の人もなんでもかんでも「あはれ」と言っていたので似たようなものです。
できればこのままの風景を保ってほしい
梨の木地蔵について調べていた時、Googleの「クチコミ」に「もう少し綺麗に整備すれば、良い観光スポットになるのではないかと思われます」と書いていらっしゃる方がおられたのですが、ここはこのままの風景を保ち続けたほうが、個人的には嬉しいなと思いました。
お地蔵様を踏まないようにゆっくりと歩く
もちろん周りはゴミひとつなく綺麗に清められているのですが、下手に階段をコンクリートにしたり遊歩道など作るよりは、訪れた人がお地蔵様を踏まないようにゆっくりゆっくり足を運ぶ方が良いのではないかと考えるからです。
心がホッとする癒やしの地
抱腹絶倒、驚天動地の珍スポット──というわけではまったくないのですが、私はこんな場所も「世にも珍しいスポット」としてご紹介しています。バタバタと駆けずり回っている新潟旅行ですが、こんなところに来ると心がほっとしますね。(2019年05月05日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
梨の木地蔵(なしのきじぞう)
住所 :新潟県佐渡市豊田1932
入場料:無料
駐車場:無料