偶然立ち寄ることになった新潟県胎内市のクレーストーン博士の館。これがもう鉱物マニアや理科趣味人の心の琴線をかき鳴らす、それはそれは素晴らしいスポット! 世にも珍しい鉱物が、世にも美しく展示されたワクワク博物館です。
ここは絶対に見るべきだ!という第六感が働く
胎内温泉に向かう途中で「クレーストーン博士の館」という看板を見かけました。20年以上にも及ぶ珍スポットハンターの第六感・心のベルがじゃんじゃん鳴り響きます。私ほどのベテランとなると名前を見ただけで珍スポットを嗅ぎつけてしまうのであります。なんてね。急遽予定を変更して立ち寄ることにしました。
鉱物研究の学者・クレーストーン博士の研究室を見学
これがもう大当たりでした。クレーストーン博士の館は、「クレーストーンという鉱物を研究している架空の博士が建築した架空の研究所」というコンセプトで作られた博物館です。そして我々見学者は博士が胎内川で鉱物採取している間に、勝手に研究所にお邪魔する──という形を取っているのです。
クレーストーン博士の書斎机
クレーストーン博士はたいへん趣味が良い方で、研究所内部はクラシカルな木製家具が置かれ、100年〜150年前の博物学を研究している学者の私室のようなインテリアなのです。これはクレーストーン博士の書斎。レトロな真鍮のバンクライトにティーセットまで置かれていて、素敵でしょう?
クレーストーン博士の館見取り図
クレーストーン博士の館の構造はこのようになっています。この六角形の半分のような部分が博士が集めた鉱物の展示室となっています。基本的には壁のない大きな1室が鉱物コレクションの部屋なのですが、所狭しと珍しい石や実験器具が置かれているんです。
博士の鉱物採取七つ道具
こちらは博士の鉱物採取道具を置いていある収納棚。私は宮沢賢治の童話の世界を思い出しました。宮沢賢治の作品には鉱物がよく出てきます。賢治は少年時代に「石っこ賢さ」と呼ばれるほどの鉱物好きでした。クレーストーン博士はワタシ的には(勝手に)宮沢賢治のイメージとなりました。
博士は几帳面なタイプ?
こちらは化石のコーナー。美しいオーク色の木製棚・展示ケースに整然と並んでいます。なんて素敵なんでしょうね。一つ一つきちんとつけられたラベルを見ると、クレーストーン博士はかなり几帳面なタイプなのかしら。
美しい円錐形の鉱物観察台
鉱物を細かく観察できる机です。円錐形のテーブルに鉱物が乗っていて、レトロな虫眼鏡がついています。お客さんは虫眼鏡を手にとって自由に観察できますよ。わー、こんな観察台ほしいなあ! 理科趣味の方はきっと心が躍るでしょうね。
センスがありすぎる芸術的鉱物展示
この展示は芸術的でセンスありますね。地球儀を半分に割った器に、色鮮やかな鉱物がぎっしり乗っていますよ。まるでフルーツ盛りのよう。背景は季節ごとの地球の動きを描いた天動説の図かしら。博物館というよりまるで美術館のよう。
クレーストーン博士のスチームパンク的実験道具
クレーストーン博士の実験コーナー。いったい何を実験しているのかしら? 昔の実験器具のようですが、これもきっとクレーストーン博士のオリジナル実験器具なのでしょうね。ガラス瓶に収納してある鉱物が美しいです。
不思議な結晶の模型オブジェ
鉱物の結晶の形を表した模型。昔のゲームの『MYST』を思い出しました。部屋の中に不思議なオブジェとかたくさん置いてあって、それらを動かしたりして謎を解くゲームでした。飾り台がかっこよすぎてワクワクが止まりません。
光る石のコーナー
光る石のコーナー。ライトが当たっている時はごく普通の石。でもライトが消えて紫外線を当てるといろんな色にぼんやり光ります。この石は以前訪れた京都の「石ふしぎ博物館・益富地学会館」を思い出します。懐かしいなあ。

ユニークなフィギュア&鉱物
あっ、オケン石(オーケン石)だ! ふわふわしたうさぎの毛のような不思議な鉱物です。こんなふうに小さなプライザー(ドイツ老舗フィギュアメーカー)の人形が置いてあると物語を感じますね。探検隊の博士が、巨大なふわふわ石を見つけて首を捻っているようにも見えます。展示の仕方が神がかってます。
ちなみにオケン石は私も所有しておりますよ。小動物のようで可愛いのです。

輝く石油井掘さく用のドリルビット
おっ、なにやらスチームパンク的なオブジェがあるぞ! と思ったらこれは石油の井戸を掘るためのドリルビットなんですって。深度何千メートルもの地下の岩石を砕きながら進みます。左からスチールトゥースビット、ダイヤモンドビット、タングステンカーバイトトゥースビット。これらはビットの中でも一番小さいサイズなんだそうです。
鉱物マニア・理科趣味人・スチームパンカーにオススメ
もうとにかくずっと興奮しっぱなし。スチームパンク趣味もある私としては、大大大満足の博物館でした。鉱物マニア・理科趣味人・スチームパンカー、すべての方に見ていただきたい。こんな美しい博物館は初めてです。ここに住みたい!と震えるような博物館でした。(2019年05月04日訪問)【麻理】
追記:2021年04月11日 YouTube動画をアップしました。
理科趣味という言葉を知っていますか? この動画では理科趣味とは何か、理科趣味とスチームパンクとの関係、理科趣味の歴史を解説しています。また新潟県のクレーストーン博士の館に足を運んだ時のレポートも合わせてご覧になれます。
【基礎知識】理科趣味とは何か?スチームパンクと世にも素敵な鉱物博物館「クレーストーン博士の館」
参考文献
地図&情報
クレーストーン博士の館
住所 :新潟県胎内市夏井1250-30
電話 :0254-48-2011
休業日:4月~11月の月曜日~金曜日
(祝日を除く。また、夏休み期間の7月25日から8月31日までは無休で開館)
冬期間(12月1日~4月上旬で、4月の開館は積雪状況等により異なる)
時間 :09:00~17:00
入場料:300円
駐車場:無料