おっぱい? それともUFOと宇宙人?「チブサン古墳」【熊本】

チブサン古墳
熊本県山鹿市のチブサン古墳は、壁画がおっぱいに見えるため乳の神様として崇められていますが、別の壁に奇妙な人物も描かれています。UFOと宇宙人の姿だとも言われるのですが……?

熊本県菊池川流域に集中する装飾古墳

チブサン古墳
古墳時代(1300〜1600年前)には全国各地に30万基以上の古墳が作られました。その中でも内部の石室や石棺を彫刻や彩色で飾り付けたものを装飾古墳と言います。装飾古墳は全国で約650基が発見されていますが、そのうち5分の1にあたる117基が熊本県の菊池川流域に集中しています。

おっぱいのような壁画から「チブサン」と呼ばれる

チブサン古墳
装飾古墳の中でも屈指の保存状態と美しさを誇るのがこのチブサン古墳です。壁画正面にある二つの丸い模様が女性の乳房に見えることから「チブサン」と名付けられました。そのため地元では赤ちゃんを持つ女性の信仰を集める「乳神様」としても有名です。

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7つの円と3本の角を生やした謎の絵

チブサン古墳
私が興味を持ったのはおっぱい──だけではなく、この古墳の別の壁に描かれた奇妙な壁画に心惹かれたからです。上部に7つの円が浮かび、頭に3本の角を生やした人物が描かれています。一般的にはこれは7つの太陽を信仰している王冠をかぶった被葬者だと考えられています。

7機のUFOと宇宙人?

チブサン古墳
しかし60年代半ばからの宇宙考古学やオカルトブーム以降、これは7機のUFOと宇宙人を表現しているのではないかという説が話題になりました。そう言われると上空のUFOを遠隔操作している宇宙人っぽく見えてくるではありませんか。

一方「チブサン」は古代のアイヌ語で「船降ろしの儀式」を表す「チプサンケ」を意味し、天の船であるUFOを呼ぶ祭りという説もある。チプは船のこと、サンケは降臨させるという意味。またチュプという言葉は月や太陽を意味するという。

チブサン古墳壁画を見るために山鹿市立博物館へ

チブサン古墳
この記事の上の写真は公園内に設置されているレプリカですが、本物のチブサン古墳も事前に申し込めば見ることができます。小学生の頃から『ムー』を愛読している私は、ぜひともUFO説をプッシュしたい。ということでチブサン古墳を見学するために山鹿市立博物館へとやってきたわけです。

古墳時代後期の前方後円墳

チブサン古墳
チブサン古墳は古墳時代の後期(500年頃)に東西方向に作られた前方後円墳です。全長は44メートル。墳丘には武装した石人一体(この写真中央の石像)が立てられていました。この石人はレプリカで、本物は現在福岡県の九州国立博物館に保管されています。

前室と後室からなる肥後型石室

チブサン古墳
内部は正方形の大小の部屋が2つ(前室と後室)あり、壁は凝灰岩をドーム状に積み上げたものです。天井は大きな一枚岩。こういった形の石室を肥後型石室といい、熊本県に点在する古墳の典型的な形です。壁画は奥の大きな部屋(後室)の向かって正面に描かれています。

1972年以前はホームレスや子供が自由に出入りしていた

チブサン古墳
昔は石室には自由に出入りできたそうなのですが、1972年に石室の石を積み直してコンクリート製の見学通路が作られました。博物館の職員の方によると以前はホームレスが寝泊まりしていたり、子供たちがかくれんぼに使ったりしていたそうです。

見学者が行けるのは前室の中まで

チブサン古墳
現在は古墳の入り口は鍵で施錠されているので、事前に博物館に見学の旨を申し込めば中に入ることができます。と言っても見学者が行けるのは前室の中まで。前室と後室を隔てる壁に、ガラスの観察窓があるのでそこから覗き込むだけとなっています。

ここから先は残念ながら撮影禁止

チブサン古墳
そしてここから先は残念ながら写真撮影禁止。小さな窓から覗くとライトで照らされた壁画をはっきりと見ることができました。鮮やかな赤、青、白の色彩! 1500年以上前の絵が今も残されていることにとても感動しました。

ダイナミックな色彩のチブサン古墳壁画は海老原喜之助(洋画家:えびはら きのすけ 1904〜1970)、福澤一郎(洋画家:ふくざわいちろう1898〜1992)など美術界にも大きな影響を与えたと言われている。

もし盗掘されていなかったら宇宙人の遺体があったりして

チブサン古墳
それにしてもこの幾何学模様と三本角の人物はいったい何なのでしょうね? 石室の入り口は江戸時代から開いていたらしく、葬られていた人物や副葬品は全く残っていませんでした。残念ながら盗掘されていたわけですが、ひょっとして宇宙人の遺体が石棺に入っていたのかも──とワクワクしました。

学術的にはこの地域一体を支配した豪族の墓であると考えられているが副葬品がないためはっきりしたことは分かっていない。

菊池川流域になぜこれほど装飾古墳が集中しているのか?

チブサン古墳
熊本県北部の菊池川流域にこれほど多くの装飾古墳が集中していることも不思議です。『ムー』的に考えるなら、このあたりに古代たくさんのUFOが飛来したのかもと想像が膨らみますね。だって壁画には7個も謎の円(UFO?)が描かれているし。あなたはどう思いますか?

博物館の休館日にご注意を

チブサン古墳
なお見学は山鹿市博物館が開館している日しかできません。月曜日や年末年始などの休館日に気をつけて申し込んでくださいね。博物館前に集合して、職員の方が先導するクルマに誘導されて古墳入り口まで行く方法です。この近くにあるオブサン古墳も合わせてぜひ御覧ください。(2017年05月06日訪問)【麻理】

足を広げた妊婦さんの形? 安産の神様「オブサン古墳」【熊本】
熊本県菊池川流域には考古学的に貴重な装飾遺跡が集中しています。チブサン古墳の近くにあるオブサン古墳も一部に文様が残っています。まるで妊婦さんが足を広げたような形の古墳です。

参考文献

地図&情報

チブサン古墳(ちぶさんこふん)

住所 :熊本県山鹿市城字西福寺
電話 :0968-43-1145(山鹿市立博物館)
休業日:月曜休館、月曜が祝日のときはその翌日、年末年始
時間 :午前10時と14時の二回
見学料:大人100円
駐車場:無料
関連URL:チブサン古墳/装飾古墳(熊本県山鹿市)

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